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[MOM920]東山DF福重瑛貴(2年)_指揮官長男が藤枝東のキーマン封じ&ダメ押し弾も!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.16 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 藤枝東高0-2東山高 Eスタ]

 全国優勝するために東山に、父の下に来た。東山の右SB福重瑛貴(2年)は「守備か攻撃かといえば攻撃の方が自信があって、攻撃的SBを目指している」というが、この日は名門・藤枝東の攻撃陣を無得点に抑える立て役者のひとりだった。

 相手の強力ドリブラー、左FW小谷春日(2年)とのマッチアップは序盤から見応え充分。何度もオープンスペースでボールを受けていた小谷は小刻みなタッチのドリブルからゴールへ迫ろうとしていたが、福重は「7番(小谷)のスピードが速いのは知っていた。相手は縦を抑えたら切り返してくる。ビデオとか見て研究していた。それで切り返した時に身体の当たり合いでは負けない自信があるので、そこでしっかりボールを奪うことができる。11(櫻井)、7が相手の攻撃の起点なので、そこを潰したら前が取ってくれると思っていた」と縦に切れ込まれても振り切られることなく身体を寄せ続け、切り返しでスピードダウンした瞬間にフィジカルの強さを活かして潰しにかかった。

 周囲との連係によって2人がかりで相手の“危険人物”を止めるシーンがあった一方、1対1でも強さを発揮してストップ。藤枝東は小谷と右FW櫻井敬基(3年)の両翼の位置を入れ替えたりしながら何とか打開しようとしていたが、東山は他のDF陣も1対1でよく食い下がっていたため、藤枝東は得意のサイド攻撃で本領を発揮しきれなかった。元京都DFでもある東山の福重良一監督は「やられる時間帯ももちろんありました。でも、90分間守備のところはよく対応できていたと思います」と自身の長男でもある福重ら4バックの好守を讃えていた。

 中学時代は親元を離れ、宮崎の名門・日章学園中でプレー。ただレギュラーではなかったという。自分を変えるために考えた選択。それは地元へ戻り、父が指揮する東山へ進学することだった。もちろん成長して全国優勝するため。「監督と一緒に全国で優勝しようと思って東山に来ました。(父は)やるんやったらオレも腹くくってやろうと言って。サッカーだけじゃなくて私生活の部分もしっかりやろうと。ボクがみんなと同じことをしていたら示しがつかないし、流されていたらいけない」。自分がしっかりとした私生活を送らなければ、監督も信頼されなくなってしまう。ケジメをつけて日常、練習、試合に臨んできたことがこの日、ひとつの結果として表れた。

 その福重はこの日、攻撃面でも力を発揮した。前半35分に相手DFを鮮やかに抜き去り決定的なクロスを上げると、後半42分にはスルーパスから右足シュートを放った右MF高木將圭(1年)をサポート。流れの中だったが右SBはポストを叩いたシュートのこぼれ球に猛然と飛び込んで右足でゴールへ押し込んだ。これが東山をプレミアリーグへ導く大きな1点となった。「1、2年だったから捨て身というか失うものがない。思い切ってやろうというのがあった」と振り返ったように勢いで勝てた部分もあると認識している。ただこの日の勝利はチームにとっても大きな自信となった。

 プレミアリーグに臨む来年は自身にとっていよいよ高校ラストイヤー。全国大会で優勝するために東山に来た福重にとってそれを実現するチャンスはもう来年しかない。それだけにこの日の勝利にも気を抜くことなく、貪欲にチームとともに成長する。

[写真]後半42分、2点目を決めた東山DF福重が指を突き上げて喜ぶ

(取材・文 吉田太郎)
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