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[MOM981]流通経済大柏MF相澤祥太(2年)_両軍指揮官賞賛、王者の新司令塔

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.23 ジャパンユーススーパーリーグ 流通経済大柏高6-2四日市中央工高 流通経済大柏高G]

 対戦相手の四日市中央工高の樋口士郎監督は「あの子、代表ですか?」と報道陣に尋ねた後、「ゲームを本当に落ち着かせることができる。ウチが前から行き始めたら、あの子が落ちてきてゆっくりさせたり、大人みたいな嫌らしさを感じますね」と流通経済大柏高(千葉)の10番、MF相澤祥太(2年)を評価していた。その言葉通りの80分間。相澤がゲームの大半の時間を“支配”していた。

 流経大柏の本田裕一郎監督も「(現時点では)相澤が中心になるだろうと思います。(ボールが)落ち着くよね。普段の生活のリーダーシップはないんですけど(苦笑)。ゲームになると中心になる。本当に上手いですから。もっとああいうのを去年発揮してくれればね」と昨年のプレーを残念がったほど。昨年は「最強世代」と評されたチームの中で先発起用される試合もあったが、1か月間Aチームから落選していた時期があるなど、攻撃面を評価されながら最後まで絶対的な存在になれなかった。

 それでも今年は大きな期待にプレーで応える可能性と意欲がある。とにかく相手にボールを触らせない。この日は前線の選手たちがゴールを連発したために自らが得点を狙いに行くことをせず、下り目の位置で攻撃の組み立てに徹していた。そこから長短のパスを披露。絶妙な位置でボールを受けると、独特のフォームのキックでスペースへボールを落としたほか、ショートパスでも受け手が次のプレーをしやすいような正確なパス捌きを続けていた。

 後半、相手のマークが厳しくなると、DFラインにまで引いたり、動きに変化を加えながら攻撃をコントロール。例え2人がかりでプレスに来られても簡単に逆を獲って攻撃をスタートさせてしまう。四中工は巧みにいなされてしまうなど、最後まで相澤を捕まえきれなかった。

 相澤自身は攻撃の組み立てだけに執着するのではなく、ここぞの場面で仕事のできるMFとなることを理想としている。1月の2014時之栖カップ 新春高校サッカー強化研修大会(通称・裏選手権)では日本航空戦で決勝ゴール。「前線が獲れなかった時にボランチでも点獲れる選手になる。点が欲しいですね。チームが獲れなくなった時にオレが獲らないといけない。そういう時に自分が活躍できればいい」という。

 攻撃面では新潟入りした先輩MF小泉慶に「オレを超えている」と言わしめるほど。ただ、まだまだ守備面、運動量では課題が多く、公式戦での試合経験も少ない。精度も、スピードもこれからより求められていくはずだ。より高いレベルの相手を想定してたくさんのことをやっていかなければならない。ただ、1年間かけて関係者からの評価も勝ち取る。「取り戻すしかないですね」と不敵に宣言。そして日本一のボランチを目指すMFは成長して、大黒柱としてチームに勝利とタイトルをもたらし、1年後、「プロサッカー選手になって、早く(小泉)慶さんに追い付きたいです」という目標を果たすつもりだ。

(取材・文 吉田太郎)

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