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柏U-18が市立船橋下し、天皇杯本戦出場王手!:千葉県ユース選手権

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[2.26 千葉県ユース選手権 柏U-18 3-1 市立船橋高 日立柏総合G]

 平成26年度天皇杯千葉県代表決定戦への出場権を懸けた平成25年度第18回千葉県ユースサッカー選手権大会が26日、日立柏総合グラウンド(人工芝)で開催され、クラブユース連盟代表の柏レイソルU-18と高体連代表の市立船橋高が激突。前半に3得点を奪った柏U-18が3-1で勝った。柏U-18は1種代表と戦う天皇杯千葉県代表決定戦で勝利すれば、天皇杯本戦出場が決まる。

 今年、高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグEASTに昇格する両チームによる強豪対決。試合の軸は立ち上がりの2得点で柏U-18へ大きく傾いた。前半3分に市立船橋の大型FW磯野隆明(2年)が右足ボレーでシュートを放つが6分、柏は日本高校選抜の名手、GK志村滉(2年)にプレッシャーをかけたエースFW大島康樹(2年)がそのキックをチャージ。ゴール方向へ飛んだボールがそのままゴールネットへ吸い込まれ、意外な形で柏U-18が先制した。

 柏U-18はさらに8分、自陣からカウンター攻撃。左サイドからの大きな展開で一気にオープンスペースを突いたFW白川恵士朗(1年)が、DFの対応より一瞬早く左足を振りぬく。コントロールされた一撃はGKの指先を抜けて左ポストを叩き、ゴールラインを越えるファインゴール。強豪対決は序盤で早くも2点差がついてしまった。

 市立船橋はこの日、高校選手権8強を経験したMF打越大樹(2年)、FW矢村健(1年)、MF下村司(1年)が故障や体調不良によって不在。また朝岡隆蔵監督が「(現在は)いろいろなポジションやらせて、いろいろなことを学ぶ時間」と説明したように、市立船橋は主将のMF藤井拓(2年)が3-4-3システムのDFラインに入り、ボランチ候補のDF椎橋慧也(1年)を攻撃的なポジションに配置するなど、夏や秋へ向けて個人戦術を磨いている段階であった。その中での試合だったが、ミスや対応の遅れによって、もったいない失点をしてしまった。

 一方、インフルエンザで主力3人が不在の柏U-18も2-0としてからペースダウン。MF山本健司やMF中山雄太(ともに2年)を起点にボールを支配し、会津や左SB麦倉捺木(2年)が鋭くオープンスペースへ飛び出すなど優位に試合を進めていたものの、市立船橋の好守にボールを引っ掛けられてカウンターを食らうシーンも少なくなかった。ただ、市立船橋もボールを奪ってからの精度を欠いて攻めきることができない。MF古屋誠志郎(1年)や磯野がミドルシュートを放つシーンもあったが、ゴールの遠い市立船橋を柏U-18が突き放す。39分、柏は左サイドで再三スプリントを繰り返していた13年U-17W杯日本代表FW会津雄生(2年)が抜けだすと、その折り返しを大島が右足で沈めて3-0とした。

 前半、決して内容が良くなかったが、3-0で折り返した柏に対し、市立船橋は後半開始から3人を入れ替えて反撃する。朝岡監督が「守備のところではどこでボカしながらとか、どこを捕まえようとかいう連係は少しずつ出てきていたと思います」という守備が安定し、加えてFW永藤歩(1年)の快足が攻守両面で相手の脅威に。5分に永藤がGKと1対1となると、12分にはMF斉間隆希(2年)のループパスからFW北澤晃太(2年)が決定的な左足シュートを放つ。

 そして14分、相手DFからインターセプトした永藤がGKとの1対1を右足で制して市立船橋は1点を返す。その後も永藤や北澤を筆頭に高い位置からプレスをかけ続ける市立船橋は16分にこぼれ球を拾った北澤の決定的な左足シュートがゴールを襲い、28、29分にはDFの背後へ抜けだした永藤が立て続けに決定機を迎える。だが柏はGK松本健太(1年)の好セーブによって追撃を許さない。

 柏は後半もボールを保持し、敵陣の深い位置までボールを運んだ際は連続攻撃で相手ゴールを攻め立てた。ただ、後半はリスクを嫌ってか、深い位置までボールを運ぶ前に後方へ下げてしまうシーンが多く、市立船橋を押しきれなかった。一方の市立船橋も42分に右サイドでDFをかわしたMF小林瑞知(2年)の左足シュートが左ポストを直撃。後半の試合展開は十分に巻き返したが、2点目を奪うことができなかった。

 柏U-18は勝利して目標の天皇杯本戦出場へ前進したが、下平隆宏監督、選手たちに満足した表情は見られなかった。この日は相手のミスに助けられたために大きな問題にはならなかったが、ミスが多発。下平監督のいう「本気でプレッシャー来ている中でずらさない技術、ちょっと(パスや意図が)ずれても(ボールを)守る技術」を求めるが、選手間で声が出ず、出し手と受け手の意志が合わずに簡単にボールを失うシーンが目立った。指揮官は「ボールがちょっとずれたらプレーできないことが多すぎる。ちょっとプレッシャー受けたら、合わないとか。いつもいいボールが来るわけじゃない。そういうところが足りない気がする」。それぞれがよりメッセージを込めてボールをつなぎ、目指すサッカーを展開する。下平監督も「技術的には去年より高い」と認める世代だけに、及第点のプレーではなく、より意識高く、自分たちのスタイルと勝利にこだわっていく。

[写真]前半8分、2点目のゴールを喜ぶ柏U-18・白川(左)と大島

(取材・文 吉田太郎)

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