beacon

「NIKE FC」が関西で「決定力」をテーマとしたトレーニング、可能性示した9選手が新たに「HYPERVENOM CAMP」へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

 ナイキジャパンが手がける育成年代の特別強化プログラム「NIKE FC」は、7月29日、今年3回目のセッションをJ-GREEN堺(大阪府堺市)で開催した。今回参加したのは、中学2年生から大学1年生までの43名。「HYPERVENOM TRAINING」と名付けられたトレーニングのメインテーマは、日本人選手に不足していると言われている「決定力」、そして“試合を決める強烈な個性”だ。

 すでに2度開催されている埼玉セッションと同様、特別コーチを務めるイバンの指導によるトレーニングは熱気を帯びた。

 ウォームアップを兼ねた5人組のパス回しは「ノールック」や「リフティング」、タッチ数の制限などいくつかのバリエーションで行われ、判断スピードとパスの質が求められる。イバンは続く「4対4+フリーマン」のパス回し、「縦パスからのシュート練習」でも“クオリティー”と“クイックネス”を厳しく要求。パスを受ける体の向きや視界の確保、相手のマークをいかにして外すかなどの細かい指示が飛び続け、イバンが説明するたびに質は次第に高まり、プレーヤーの集中力も時間を追って研ぎ澄まされていく。

 この日、イバンを中心とするコーチ陣が何度も口にしたのは「フィニッシュ!」という言葉だった。

 PAの2倍の広さで行われた「3対2」のトレーニングは、フィニッシュにつなげる“最後の崩し”を想定したもの。しかしプレーヤーの多くは対面する相手との1対1を意識し過ぎるあまり、なかなかシュートを打つことができない。

「ゴール前だぞ! 3対2の状況で、どうしてシュートを打たない!」

 数的優位をうまく利用して判断とプレーの精度を高めれば、必ず良い状態でシュートが打てる。相手との駆け引きを制してゴールが見えたら、積極的にシュートを狙う。時間を追ってそうした意識が植え付けられるようになると、選手たちのプレーにも大きな見られるようになった。攻守がめまぐるしく入れ替わるトレーニングには、非常に大きな効果があった。

 その後は「6対6」のミニゲーム、サイド攻撃を意識した「6対5」と続き、最後は「5対5」のミニゲームでフィニッシュ。猛暑の中で行われた約3時間半のトレーニングは非常にハードだったが、“体を動かす時間”と“頭で考える時間”が絶妙にコントロールされた充実の内容だった。イバンが言う。

「埼玉セッションとは違う内容でやりましたが、目的は同じです。今回は“試合を決めることができる能力”を養うことを目的としていますから、すべての選手に対して、ゴールを意識させるためのトレーニングメニューを組みました」

 大阪セッションから8月の「HYPERVENOM CAMP」に進出するのは、今西錬(バッジーナ大阪)、田中泰生(久御山高)、國塩宙樹(久御山高)、廣瀬憲吾(茨木高)、吉中耕太(茨木高)、中山洋人(芦屋学園高)、本田周作(滝川二高)、山田裕也(滝川二高)、山野宗一郎(滝川二高)の9名。イバンは今回も、“手応え”を感じたようだ。

「今回も9人の選手を選びましたが、彼らと、その他の選手の間に大きな差があったかと言えば、決してそうではありません。ただ、選ばれた9人が何らかの可能性を持っていると判断したことは間違いありません。日本の選手たちは、コーチの指示にしっかりと耳を傾け、プレーでそれを体現しようとしてくれています。ただ、攻守ともに“ゴール前で何をすべきか”のディテールについては、まだまだ伝わり切っていない部分もある。だから、次回のキャンプでは、その部分についてより深く指導したいですね。もっとも、サッカーに対する情熱は素晴らしいと感じていますし、それはおそらく、日本にも子どもたちの情熱を高めてくれる指導者がたくさんいるということを意味しているのだと思います」

 8月のキャンプに参加する9名の合格者から、名門校でプレーする2人に話を聞いた。京都・久御山高のMF田中泰生はキレのあるドリブルを特徴とするアタッカーだ。

「自分のプレーを出すことができたと思います。久御山高ではゲーム形式のトレーニングが多いので、今日のように、局面ごとに切り取ったメニューは久しぶりでした。自然と攻撃パターンを覚えられるような練習が多かったと思うし、コーチからの指示もすごく細かかったので勉強になりました。8月のキャンプに参加する権利をもらうことができたので、次も頑張りたいと思います。僕は将来のことを具体的に考えているわけではないのですが、こういう場をきっかけとして、もっと上手くなりたいと改めて感じました」

 続いて、兵庫・滝川二高でプレーするFW本田周作。2年生の彼はインターハイに出場するチームのメンバーから漏れ、「その悔しさをぶつけたい」と話してくれた。

「今日はかなり気合を入れて来たので、合格することができて嬉しいです。僕はチームでFWをやっているのですが、普段あまり意識できていなかったことを細かく指導してもらえて、とてもいい経験になりました。やっぱり、大事な試合とか、チームとして絶対に点が欲しいと思う時に取れるFWになりたい。そのためには、日頃から細かいことを意識してプレーすることが大事だと改めて思いました。キャンプにはうまい選手が集まると思うので、楽しみです」

 「NIKE FC」による特別プログラムは、いよいよクライマックス。3度のセッションで合格通知を受け取った26名の選手たちは、8月1日と2日の2日間、埼玉スタジアム2002に集結し、さらなるレベルアップのための特別プログラムである「HYPERVENOM CAMP」で“強烈な個性”を磨く。

TOP