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[プリンスリーグ東海]帝京大可児に気迫の勝利!勝ち点3もぎ取った10位・磐田東は期待の戦力加入で冬の躍進も

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[9.12 高円宮杯プリンスリーグ東海第13節 磐田東高 2-1 帝京大可児高 安久路]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ東海は12日、第13節を行い、10位・磐田東高(静岡)と9位の帝京大可児高(岐阜)との一戦は2-1で磐田東が勝った。

 ともに残留へ向けて負けられない両校の戦い。磐田東は第11節の東海学園高戦を4-0で今季初白星を上げ、一方の帝京大可児は同節に首位の磐田U-18を1-0で破るなど後半戦は2勝1分と好調だ。その中で迎えた一戦は帝京大可児と勝ち点6差の磐田東の気迫が勝る。山田智章監督は「きょう、静学がジュビロに勝ったら首位に立てるということでモチベーションが高かった。そういう話を試合前にした。モチベーションというのは体を動かす原動力だから。『オマエらは常にそういう気持ちでいなければ。下はないから上目指すためにやるしかない』と」。この日の第1試合で行われた首位攻防戦で2位・静岡学園高が6-1で磐田U-18を破って首位奪取。その姿を見ていた主将の右SB近藤克哉は「自分たちの前の試合でそういう試合を見たから、静学みたいに思い切り良くプレーして点取って勝とうという話をしていた」。その姿勢がいい形で白星を引き寄せる。

 試合は志津健一監督が「(チームとして)面白いと思う。球動かすのは上手い」という帝京大可児が10番MF杉原諒省や2年生レフティーのMF福田航希を中心にボールを握る展開。そして「シンプルなところは無駄に手数をかけない」(志津監督)というチームは連動した動きで2列目の選手が背後を狙うなど磐田東のバックラインにプレッシャーをかける。だが、指揮官も指摘したようになかなかリズムを変えられず、ノッキングを起こしてしまうシーンもしばしば。単調になってしまった攻撃は磐田東に対応されて攻め切ることができない。逆に磐田東はトップ下のドリブラー、10番MF金田将広の突破やFW宮本研伍の抜け出し、そして「攻撃好きなので、気合入るとどんどん上がっていってしまう」という右SB近藤のオーバーラップなどでPA近くまでボールを運んでいく。

 ともに決定打を放てないまま試合が進む中、磐田東はセットプレーで試合を動かした。前半26分、磐田東はMF伊藤優希が左足で放り込んだ右FKをCB市之瀬直留がダイビングヘッドでゴール左隅へ決めて先制点。さらに前半アディショナルタイムには右サイドを宮本が破り、その折り返しを金田が身体全体でゴールへ押し込む。いい時間帯に追加点を奪った磐田東は後半開始直後にも宮本がビッグチャンスを迎えるが、これをゴール右へ外すと、徐々に帝京大可児のパスワークの前に磐田東の運動量が低下し始める。それでもMF柴田大嗣がスライディングタックルでのボール奪取から一気に前線までボールを運び、ゴール前のこぼれ球に頭から飛び込んだ市之瀬のスーパークリアなど磐田東は執念の守りを見せる。

 27分に「彼の特長」(志津監督)という交代出場MF土屋希成の抜け出しと杉原の好パスに背後を取られて帝京大可児に1点を返されたが、金田が「ビリだし、上位チームが結構勝っているので負けれない試合が続くのはみんな分かっている。勝つだけでした」という磐田東は2点目を許さず。試合開始前のアクシデントで緊急出場となったGK増田港太の奮闘や前線からフルパワーで相手を追い回す宮本、また金田の抜群のキープ力も効果を発揮して磐田東が2-1で勝利した。
 
 山田監督が「今年はそこそこ力ある。でも勝ち切れない、決め切れない」という今年の磐田東。選手たちも自分たちの力に自信を持っているが、近藤が「自分たちも『できる』と思っている。でも、その自信が悪い方に向かっちゃって、1点決められて2点目決められたりしちゃうとやる気なくなったりするところがある」と話したように、その自信がマイナスの面を生んでしまっていた。それでも、この日は「全員で声かけあって、ピンチの場面でも文句言わずに自分たちの流れに持っていきたかった」(近藤)と全員で勝ち点3獲得へ集中。後半は運動量が落ち、また追加点を奪えずに苦しい展開となったが、それでも勝ち切った。

 チームの目標はプリンスリーグでの逆転残留、そして選手権での全国大会出場だ。選手権予選は決勝トーナメントに進出すれば、「高校サッカーをやりたい」という理由で磐田U-18から磐田東サッカー部に転籍した2年生FW久米皓次郎が加わる。現在はまだ登録上の関係で公式戦に出場することができていないが、昨年の国体静岡選抜でもある久米が出場した8月の和倉ユース(U-18)サッカー大会で磐田東はエース金田を欠きながらも川崎F U-18や桐生一高に勝利。近藤も「真ん中でボールもおさまるし、全然取られない。人一倍(周囲を)見ていて、味方も意表突かれるようなパスが出てくるし、攻撃の起点になる。楽しみ」という存在が加わるだけに、MF和田新吾(元名古屋、現磐田東高コーチ)を擁して全国大会初出場を果たした05年の高校総体以来となる躍進やプリンスリーグ終盤戦へ期待も高まっている。そのためにも選手権では1次トーナメントを突破し、プリンスリーグでは逆転残留できる位置までチームを引き上げること。期待の戦力を加える磐田東が冬に歓喜の瞬間を迎えるか、注目だ。

(取材・文 吉田太郎)
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