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[埼玉県1部L]巻き返しへ、総体予選3連覇へ、課題改善取り組む西武台が6-0快勝

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[5.5 埼玉県1部リーグ第3節 西武文理高 0-6 西武台高 西武台高第2G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016埼玉県リーグ1部第3節でともに昨年度の全国高校総体に出場している西武文理高西武台高が対戦。西武台が6-0で快勝した。

 前半17分までに3得点。いい形でボールを奪って攻撃に繋げた西武台が終始試合を支配して勝ち点3を獲得した。昨年は新人戦、関東大会予選、そして総体予選を制した西武台だが、今年は新人戦が県1回戦で浦和南高に0-2、また関東大会予選ではGK齋藤海星(3年)が直前で負傷欠場した狭山ヶ丘高との準々決勝で前半15分頃までに3点を奪われ、4-4からのPK戦で敗退。攻撃面での判断の遅れ、形の悪いボールの失い方からミスも絡んでの失点と課題を残す結果が続いていた。

 この日の西武文理戦では1年生GK島田呂舞を起用。選手層の厚み向上を狙う守屋保監督は3トップの中央に「身体があるし、速い」というFW進士晃太郎(3年)、右ウイングには「良くなりつつあった」というFW向山哲平(3年)を起用する。すると、この2人が期待に応える活躍を見せた。試合開始直後、左サイドから攻めた西武台は敵陣PA手前で落としを受けたMF今井祐太朗主将(3年)が右前方の向山へパス。ドリブルで仕掛けた向山が折り返したボールを今井が右足で撃ち抜いて先制点を挙げた。

 対する西武文理は8分、ドリブルで中央突破したMF宮崎宏海(3年)がそのまま右足シュートを打ち込む。この場面では守備にポッカリと穴が空いた西武台は序盤、スペースを突いてくるFW佐藤龍一(2年)やFW松山健一(1年)にボールを入れられるシーンがあった。だが、その後は対応力の高さを期待されてCB起用されたMF清野昂大(2年)らが、前線へのボールを通させない。

 そして西武台は14分にMF長島幸平(3年)がPAに入れた縦パスのこぼれを進士が右足で決めて2-0。さらに17分には長島の右足ミドルのこぼれに反応した進士が右足の強シュートを左隅へ突き刺して3点差とした。今井が「特に立ち上がりは攻守に渡ってハードワークきかせて試合の流れを掴むということを意識していました。みんなが意識してできた流れでした」と振り返る序盤の3得点で余裕の出た西武台は、ダイレクトの展開などで揺さぶりをかける今井と長島を軸にボールを支配。なかなかテンポが変わらず、この後スコアを動かすことができなかったが、昨年の全国経験者であるMF大井翔(3年)や宮崎中心に反撃しようとする西武文理のシュートをMF木原眞(3年)の右足ミドルのみに封じて3-0で前半を折り返した。

 西武台は後半4分にスペースへ飛び出した向山がGKとの1対1を制して4-0。特に右サイドから攻める西武台は向山のスルーパスやMF田中智也(3年)の鋭いターンからのシュートなどで決定機を作り続けた。そして17分には右サイドから2度のワンツーで抜け出した向山が右足で決めて5点目。20分に打開力に長けた注目FW山口拓真(3年)ら3人を同時投入した西武台は26分にMF中西健太(3年)のループパスに反応した山口が右足ループシュートで決めて6点目を奪う。いい形でボールをスペースへ運ぶシーンもあったものの、その数を増やせなかった西武文理は、終盤にCB大沢慶主将(3年)が放った直接FKがわずかにゴールを外れて無得点での敗戦となった。

 西武台の守屋監督は「インターハイまでにもう一度守備を効くようにして、シンプルな攻撃ができるようにしたい。もうひとつ、ふたつ気持ちも強くなってくれれば」。2日前に行われた浦和南との県1部リーグ(2-2で引き分け)など取られてから取り返すような展開の試合が多いだけに、守備の再構築は必須。この日連係良く得点に絡んだ向山や進士が台頭を見せている攻撃陣は、山口、FW丸山敦司(3年)、FW岩本匠吾(3年)といったドリブルを武器とする選手たち含めた競争から、組み合わせのバリエーションを増やしていく。関東大会で準優勝するなどライバル校たちから強いという評価を得ていた昨年から代は入れ代わったが、指揮官は「昨年よりも個はいいかもしれない。約束事ができるようになれば、上がってくると思う」と期待。今井は総体予選へ向けて「インターハイ3連覇っていう目標もありますし、プレッシャーに感じる部分もありますけれど(今年は)2つ落としていますし、チャレンジャー精神で戦っていければと思っています」と力を込めた。課題を改善して総体予選で埼玉のタイトルを奪い返す。

[写真]後半4分、抜けだした西武台FW向山(右)が4点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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