beacon

[埼玉県1部リーグ]「要求のレベルが低い」終盤の3ゴールで競り勝った武南、日常からより刺激し合って目標達成へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.5 埼玉県1部リーグ第3節 大宮南高 2-5 武南高 西武台高第2G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016埼玉県リーグ1部第3節が5日に行われ、大宮南高と武南高との一戦は終盤の連続ゴールで突き放した武南が5-2で勝った。

 武南の名将・大山照人監督は試合後のミーティングで選手たちに対して「何も残らないゲーム」とバッサリ。何とか競り勝ったものの、攻守両面においてゴール前で責任感に欠けたプレーが見られ、わずかなミスが続くなど、相手を勢い付けてしまっていた。指揮官は「一人ひとり刺激し合う声やプレーもない。要求のレベルが低いですね。だからチームの中の味がないんです」。昨年からの主軸CB安島元気(3年)が欠場中ということもあってか、チーム全体的に声が少なく、選手間で厳しい要求が出てこない。それによってなかなか高まってこないチームに苦言を呈していた。

 この日は終盤に突き放して勝ったものの、勝敗は紙一重の差だった。前半20分に大宮南CB網野晃太(3年)に先制ゴールを奪われた武南は、37分にハイプレスで相手GKからボールを奪い取ると、最後はフォローしたMF奥村晃司(3年)がGKに倒されてPKを獲得。これをMF玉上雅大(3年)が左足で決めて同点に追いつく。さらに44分には右サイドでのパス交換から奥村がPAへフワリと浮いたクロスボールを配球。GKが飛び出してクリアしたボールを左SB砂川洸介(3年)が左足ダイレクトでGK不在のゴールへ沈めて逆転した。

 だが、右サイドで存在感を発揮するMF土門大悟(3年)を中心とした攻撃で相手の背後を取り、サイドを巧みなコンビネーションで攻略していた大宮南は後半6分に網野がクロスバー直撃のヘディングシュート。この跳ね返りをCB山野井歩夢(2年)が頭で押し込んで2-2の同点に追いつく。勢いに乗る大宮南はMF清水祐輝(3年)のヘディングシュートやカウンターから土門の放った一撃で一気に3点目を狙う。一方の武南は右サイドの玉上がキープ力を発揮。サイドから崩しを試み、シュートシーンをつくり出すが、大宮南GK角谷遙佑(3年)の好守に阻まれるなど勝ち越すことができない。

 武南は後半30分、PAのこぼれ球に鋭く反応したMF東哲平(3年)がPKを獲得。だが東が自ら放ったPKは角谷に止められて絶好の勝ち越しチャンスを逃してしまう。それでも地力の差を見せた武南は終盤に攻撃の圧力を増して連続ゴール。38分に左クロスのこぼれ球をFW各務崚右(3年)が胸コントロールからの左足シュートで決めて3-2とリードすると、後半アディショナルタイム突入後の46分には東の絶妙な右クロスを各務が右足ダイレクトで合わせて4点目を奪う。さらに48分には玉上が右サイドを個人技で突破。最後は中央に詰めた交代出場FW加藤壮磨(3年)が合わせて5-2で試合を終えた。

 1981年度に全国高校選手権で優勝している名門・武南は12年の全国高校総体で準優勝。全国舞台で存在感を発揮したが、選手権では06年度を最後に全国舞台に届いていない。だからこそ、トーナメント戦で勝ち抜くことのできる逞しいチームにならなければならない。「一発勝負を戦えるハートというのは大事な部分」と語る指揮官の期待に応えるチームに変化していくことができるか。奥村は「(まだまだ)全然気持ち入っていなくて、チームの中心となる選手がいないので自分がそうなったり、みんなで声かけていきたい。今年はインハイも選手権も全国に出ていきたい」。トレーニングからそれぞれがピッチに立ちたいという思いをぶつけ合い、要求を高めてチーム力を向上させる。そして試合ではより勝利、ゴールへの貪欲さを表現して目標達成へ。関東大会予選優勝校の正智深谷高や新人戦優勝の昌平高、西武台高、浦和東高などが覇権を争う激戦区・埼玉を突破して全国のピッチに立つ。

[写真]後半38分、武南はFW各務が左足シュートを決めて勝ち越し

(取材・文 吉田太郎) 

TOP