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[新人戦]「まずは福岡を獲ります」我慢強く戦った東海大福岡が注目MF擁する飯塚を延長戦で振り切る

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延長戦を制した東海大福岡高が準決勝へ駒を進めた

[1.27 福岡県高校新人大会準々決勝 飯塚高 1-3(延長)東海大福岡高 春日公園球技場]

 平成29年度福岡県高校サッカー新人大会の準々決勝が27日に行われ、飯塚高東海大福岡高が対戦。延長戦の末、東海大福岡が3-1で勝利し、準決勝へと駒を進めた。28日の準決勝では、東福岡高と対戦する。

 先に見せ場を作ったのは、東海大福岡だった。前半8分に中央でボールを持ったMF大森陸(2年)が右サイドに展開すると、フリーで抜け出したMF江草舜辰(2年)が中央にマイナスのパスを配球。走り込んだFW川本侑磨(2年)が、「クロスとかパスとか足を触れる場面があれば、思い切り振れとスタッフから言われていた」と狙い通り、右足を思い切りよく振り抜いた一撃がゴールネットを揺らした。

「獲るべき選手が獲ってくれた」(大丸忠監督)とエースの活躍によって、幸先の良いスタートを切った東海大福岡だが、そこからが続かない。DF冨士田康人(2年)が「飯塚は普通のチームとは違うので、いつやってもやりにくい。立ち上がりに押し込んで、ハーフコートで押し込むつもりができなかった」と振り返ったように、プロも注目する主将のMF橋岡佳(2年)とMF城戸海人(2年)を中心にテクニカルなドリブルとパスを繰り出した飯塚に手を焼く場面が続いた。

 23分には、中央でドリブルを仕掛けた橋岡がゴール前にスルーパスを展開。フリーで受けた城戸が右足アウトサイドでゴールを狙ったが、わずかに右へ逸れた。以降も、飯塚が見せ場を作ったが、「こういうゲームになるのは、分かっていたので、きちっと基本通りのことをやり続けることが大事だと思っていた」と大丸監督と振り返ったように、冨士田を中心に守備のポジションを徹底した東海大福岡が要所を封じ、1点リードで試合を折り返した。

 後半は反撃に出た飯塚のペースで試合が進んだ。後半途中からスピードのある突破が持ち味のMF増田大悟(2年)が入ると攻撃の勢いが更に加速。後半11分には、右サイドでパスを受けた増田がゆったりとしたボールキープから放った右足シュートが決まり、試合は振り出しに戻った。

 以降も、飯塚がアグレッシブな仕掛けを見せたが、19分に増田のシュートがクロスバーに嫌われるなど2点目が奪えないまま時間が過ぎると、次第に試合の流れが変わっていく。「後半は相手の足が止まるだろうなと話していた。自分たちは走ってきているので、自信を持って戦った」と冨士田が話すように、運動量の落ちた飯塚を尻目に、東海大福岡が走力と球際の強さを発揮すると、1-1で迎えた延長前半8分にはFW田原佑真(2年)が左からクロスを展開。相手のクリアミスをDF岩井響太郎(2年)が決めて、再びリードを手にすると、10分にも岩井の左クロスを川本がバックヘッドで合わせて、3-1で試合を終えた。

 延長戦での勝利となったが、大丸監督は「自分たちの良さを出すには我慢も必要。試合最後のところでは良さが出せたと思う」と求めるプレーを忠実にこなした選手たちを評価。一方で、「本当はもっとやれる。まだまだ全然、力を出し切っていない。今日は緊張していたので、もっと余裕が出てくれば良い」と次戦以降に期待を込めた。

 選手たちの今大会にかける意気込みは強く、試合内容にも4強入りにも満足していない。冨士田は「九州大会を獲るためにも、まずは次で東福岡に勝ちたい。ここ最近は、新人大会とインターハイ予選で決勝まで行けていない。自分たちが東福岡を倒して、まずは福岡を獲ります」と宣言した。

 一方の飯塚も負けたものの、「負けたけど、勝てるなという感じはあった」と橋岡が話したように収穫は十分だ。2015年に中辻喜敬監督が就任して以来、急激に力をつけ、昨年は選手権予選でベスト4まで進出。主力の多くが残る今年は虎視眈々と更なる上を狙っている。「今大会は勝ちよりも価値を求めてやろうと話していた。技術と知性を持って、ここまでやれるんだとかなりの手応えはあったけど、決めるべきところを決められないのは、フィジカルや能力の差。そこをしっかり鍛えて、インターハイや選手権に挑みたい」。中辻監督がそう話したように、この日の負けを無駄にはしないつもりだ。

(取材・文 森田将義)

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