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万能型からスペシャリストへ、高校選抜MF稲見はドイツで安定感発揮し、対戦相手、仲間から学ぶ

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日本高校選抜のMF稲見哲行は対戦相手、仲間から学んで成長を遂げる

 万能型からスペシャリストへのきっかけになるか。29日に第56回デュッセルドルフ国際ユース大会初戦(対スタンダール・リエージュ)を戦う日本高校選抜のMF稲見哲行(矢板中央高→明治大)は、同チームの活動で“本職”のボランチ、CBに加えてSBでもプレーしてきた万能型プレーヤー。元々守備力の高さに定評がある稲見はまず、ボランチや最終ラインの選手として試合を締める役割を担いそうだ。

 CB星キョーワァン(現駒澤大)以来となる矢板中央高(栃木)からの高校選抜入り。コーチ陣からは「自分のプレーをやってこい」「常に安定したプレーをしろ」という言葉で送り出されたという。それに対して稲見は「それが自分の強みだと思ってもらえているので、やっていきたい」ときっぱり。どこで起用されてもハイアベレージのプレーで高校選抜の勝利に貢献する。

 ボランチとしては高校選手権で2試合連続ゴールを決め、ボール奪取力の高さ、相手の攻撃を跳ね返す高さも発揮。CBも2試合で務め、矢板中央の4強入りに大きく貢献した。万能性の高さは高校選抜でも示し、欧州遠征メンバー入りのアドバンテージになったが、いずれのポジションでも先発を勝ち取るような選手になりきれていないと本人は感じている。

「どこでもできるのが自分のストロングポイントでやっているんですけれど、(高校選抜には)みんな各ポジションのスペシャリストみたいな選手がいっぱいるので、どこでもできるだけじゃなくて、どこでも強みを発揮できることが必要」。

 現在、進路の明治大ではCBに挑戦中。このポジションで“スペシャリスト”になることを目指している。「最近、CBで出ることが多いので、CB向きのプレーにシフトしている。弾くプレーや構えるプレー。ボランチの時とCBの時では守備の距離間も違うので、シュートを打たせない。奪いにいくというよりも相手に対応するディフェンスのように変えています」。

 デュッセルドルフ国際ユース大会では「ボランチとしてももちろんですけれども、CBとして(角田)涼太朗とか(生駒)仁、(蓑田)広大と学ぶお手本、自分より経験がある選手がいるので、相手からも学ぶし、仲間からも学んでいきたい」とCBを極めるための情報を得ようとしている。

 そして、明大でCBとして磨いてきた部分や、「球際の部分でインターセプトや空中戦でどれくらい通用するのか」試し、相手を上回って勝利に貢献する意気込みだ。例え、出番を増やすことができなくても、その悔しさをエネルギーにする心構え。「行って終わりじゃなくて、『また来てやるぞ』という感じでやって、試合に出る時間も少なかったらリベンジの気持ちを持ってまた(大学選抜や将来、欧州に)来たいと思います」。明治大の先輩からも「行ってからが大事」とエールを受けたという稲見はどんな形になっても、この経験を将来に繋げるつもりだ。

 まずは目の前の戦いで勝利すること、優勝することに集中。明治大には昨年の高校選抜主将のMF住永翔や一昨年の高校選抜主将のMF中村健人がいる。「先輩は優勝していない。優勝すれば、先輩を越えられると思う」と微笑。欧州遠征から帰国翌日の4月5日が19歳の誕生日の稲見は、デュッセルドルフ国際ユース大会で優勝し、みんなと喜び合ってから誕生日を迎える。

(取材・文 吉田太郎)
●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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