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[MOM2457]桐光学園FW西川潤(新2年)_まさに“異次元”…世界を見据える『02ジャパン』のエース

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先制点を決めた桐光学園高FW西川潤(新2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.31 船橋招待U-18 桐光学園高1-1京都橘高 タカスポ]

「次元が違ってきましたね」という鈴木勝大監督の言葉にふさわしいハイパフォーマンスを見せた。京都橘高戦の後半からピッチに立った桐光学園高FW西川潤(新2年)は、わずか25分間のプレーでまたしても得点を記録。自らの基準を“世界”に見いだすU-16日本代表のエースがブレイクスルーの時を迎えている。

 互いの攻撃が決定打に欠けるなか、スコアを動かしたのは伝統のライトブルーに身を包んだ背番号10だった。後半23分、MF阿部龍聖(新3年)のスルーパスにフリーで抜け出すと、飛び出してきたGKをものともしない左足シュートを披露。正確なボールをゴール左隅に流し込み、貴重な先制点を導いた。

 来年行われるU-17W杯を目指す“02ジャパン”では、早生まれの最上級生にあたるため、森山佳郎監督から「チームの中心としてやっていけ」と言われているという西川。前日に続いて短い時間で結果を出して見せ、「仕掛けて何とかしようと思っていますが、決めるかどうかが“上”でできるかどうか」と、自身のタスクを着実にこなしている。

 もっとも、このレベルの結果に満足するつもりもない。「自分は『直線』の動きばかりで、『曲線』の動きが足りない」という課題は「なんでこんなに寄せられるんだろうと考えた」ことでたどり着いた境地。「世界を意識している」からこそ、屈強な守備陣とのマッチアップを意識し、「曲線の動きでスペースをつくって仕掛けていきたい」と目線を上げながら戦っているようだ。

 そんな意識高きアタッカーが見据えるのは、新高3世代ながらガンバ大阪入りを果たし、すでにJリーグの舞台でも出番を得ているFW中村敬斗の存在。昨年のU-17W杯で4得点を挙げた結果には「ヤバいですよね」と尊敬の眼差しを隠さない半面、メラメラとライバル意識もあらわにする。今季の数値目標を問いかけた際、真っ先に「敬斗くんは何点取ってますか?」という質問が返ってきたのはその証だ。

 また、高校入学時から重点的に取り組んでいるという身体作りにも先輩の影が見られた。「身長は同じくらいなんですけど、敬斗くんは75kgくらいあって、すごいな、いつも何してるんだろうなと(笑)。自分はまだまだ細いんで、もっとパンプアップしないといけないです」。そんな“食トレ”には指揮官も言及。「アイツは最後まで残ってメシ食ってますからね」と目を見張っていた。

 ルーキーとして経験した昨季はプリンス関東で7位に沈み、インターハイと選手権では全国大会に出場できず。そうして迎える新シーズンは、チームの全国大会出場とプレミアリーグ参入に加え、日の丸を胸にU-17W杯出場権をつかむことが使命となる。「去年は現実を見たので、『今年こそ』というつもり。これからです」。妥協を知らない16歳が“異次元”の未来を切り開く。

(取材・文 竹内達也)

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