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[MOM2498]川崎F U-18FW山田新(3年)_ライバルは同級生プロ、『決定力』で肩を並べた2ゴール

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チームの全2得点を挙げた川崎フロンターレU-18のFW山田新(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.5 高円宮杯プリンスリーグ関東第5節 川崎F U-18 2-1 大宮ユース 川崎F麻生G]

 絶対的エースにライバル意識を燃やす背番号9が、ホームの麻生グラウンドで躍動した。大宮アルディージャユース戦でチームの全2得点を叩き出した川崎フロンターレU-18のFW山田新(3年)は、普段とは異なるサイドハーフ起用で少ない決定機をゴールへ結びつけた。

「身近に大きなライバルがいるので、より多くの点を取って、チームのエースになれるように頑張りたいです」。逆転劇を演出したFWがライバル視する相手は、同学年のFW宮代大聖(3年)。昨年秋のU-17杯にU-17日本代表メンバーとして出場し、川崎Fともすでにプロ契約を結んでいる世代きってのストライカーだ。

 そんな闘争心は1点目の場面でも表れた。後半5分、宮代のスルーパスに抜けてPKを獲得すると、「俺が蹴る」と胸のエンブレムを叩き、ボールを譲らずペナルティースポットへ。「結果が欲しかったので、絶対に蹴ろうと思った」。甘いコースのボールは相手GKに触れられてネットを揺らし、「ちょっと危険だった」と苦笑いも浮かべたが、どんなゴールでも1点は1点。貴重な同点弾を導いた。

 さらに後半23分、味方からの横パスをダイレクトで振り抜き、ゴール右上隅にコントロールショットをズドン。「運んでから打とうかと迷ったけど、身体で前に入られる気がしたので思い切って打ちました」。ゆったりと攻め込んでいた最中の一撃だっただけに、相手GKが意表を突かれたのは無理もない。後半に放ったシュート3本のうち、2本をしっかり決め切った。

 この日は、サイドを幅広く取って攻める大宮対策もあり、普段の最前線ではなくサイドハーフでの起用となった。「まずは守備から入って……」と自陣深くまでプレスバックをこなしつつ、「少ないチャンスを決めようと思っていた」と理想どおりの活躍。今季3得点目は宮代に並んでチームトップタイとなり、結果でライバルに肩を並べた。

 絶対的エースにライバル意識を燃やし、それ以上の結果を意識しているのは宮代の凄さを分かっているからこそだ。「大聖はチームが困っていてもボールを持ってくれて、一人でどうにかできる力がある。でも、僕はそういうタイプではないので、決定率を上げないといけないんです」。自らの生きる道を見きわめ、チームに役立とうとしているようだ。

 そんな山田が理想と掲げているのは、トップチームのFW小林悠。「動き出しがすごくて、相手を外すのがうまい」と、主にオフ・ザ・ボールの動きを参考にしているという。ここからリーグ戦が1か月半にわたって中断し、負けることのできないカップ戦が主な舞台となる。「まずは全国を決めること。全国では去年3位だったので、自分のゴールで1位になりたい」と、そこでも“決定力”を見せつける構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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