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Cチームの左SBがAチームのFW先発候補に。矢板中央FW人見は前育で全国準Vの兄と同じ“物語”を

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左SBからFW転向して一週間強。矢板中央高人見太陽は前線でダイナミックなプレーを続けていた

 高校選手権で全国準優勝した兄と同じ“物語”を描き始めている。18年度全国高校選手権8強の矢板中央高(栃木)の人見太陽(新3年)は、3月29日から31日まで行われた第24回船橋招待U-18大会でFWとして奮闘。大会初日のジェフユナイテッド千葉U-18戦ではCKのこぼれ球を押し込む形で決勝点を挙げ、翌日もベガルタ仙台ユースや京都橘高という強豪相手に空中戦で競り勝ち、味方のシュートシーンを演出していた。

 人見はCB、左SBとして矢板中央に進学。だが、なかなかAチームに上がれず、今年も船橋招待大会の一週間少し前までCチームで左SBを務めていたという。それが、183cmの高さに「可能性がある」(高橋健二監督)という理由でAチームのFWに大抜擢。「まだ感じが掴めないんですけれども、監督に『オマエは身長デカイから競り合って勝て』と言われてそこだけ徹底して、あとは感覚でやっています」というFWは、がむしゃらに身体を張った動きを続けてチームに勢いをもたらしている。

 当初、FW転向を打診された際には「えっ」と思ったという人見だが、「上に上がれるならばどこでも良いのでやってやろうと」意欲的にチャレンジ。まだ競り合う以外の部分ではプレッシングでパスコースを切れていなかったり、シュートも課題となっているが、チャンスをものにするために努力していく。

 下から這い上がっている最中の人見には、自分を勇気づけてくれるる存在がいる。それは兄のFW人見大地(現仙台大)だ。兄は前橋育英で2年時までAチームでプレーできなかったが、諦めずに努力を続けて3年生の秋に先発を勝ち取った。そして選手権は1回戦から決勝戦まで全試合で先発出場。準々決勝ではゴールも決めて全国準優勝に貢献した。

 その兄の姿を見ているからこそ、人見も諦めなかった。そして与えられたチャンスで好プレー。兄から「オレもできたから、オマエだって絶対にやれる」とエールを受けているという人見は、ここから兄と同じ“物語”を描いて「同じポジションなのでお兄ちゃんを越したいです」。現在は試合に出られていることへの喜びとともにプレーしているが、結果を出さなければ生き残ることはできない。勝負はこれから。自分の持ち味を活かしながら、できることを増やして活躍し、兄超えを果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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