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昨年は国体3位。強敵との対戦や敗戦を成長に繋げてきた注目CB田中誠太郎、今年は高川学園で結果を

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中国地方屈指のDF、高川学園高CB田中誠太郎(新3年)

 全国でトップレベルに触れるたびに、新たな課題を見つけて取り組み、大きな存在になってきている。山口の名門、高川学園高のCB田中誠太郎(新3年)は今年の中国地方屈指のDF。昨年からDFリーダーとして高川学園を支え、全国高校選手権出場に貢献している。

 昨年は早生まれ選手として国体少年男子の部にも出場。優勝候補の大阪府を完封するなど、山口県にとって49年ぶりとなる4強、初の3位の立て役者となった。年代別日本代表など各府県のタレントを相手に守備能力の高さを発揮した一方、「攻撃好きです」という田中はCBの位置から見せる豪快な攻撃参加でも存在感を放っていた。

 だが、同じく全国上位を目指した選手権は2回戦で涙。主導権を握りながら0-1で仙台育英高(宮城)に競り負けた試合について、最後に集中力が切れたことが敗因だったと考えている。その部分の改善に加え、取り組んでいるのが肉体強化だ。

「あの選手権で負けてから、自分でももっと力つけるためにウェートトレーニングにも力を入れているんですよ。自分を変えようと」。連日60kgのベンチプレスを10×3セット行うなど筋肉の増量にチャレンジ。現在は身長180cmで体重は72kgと選手権前に比べて3kg増加させた。

 これまでも、悔しい敗戦を成長に繋げてきた。1年時の国体は初戦で大阪府に1-3で逆転負け。大阪府の10番はすでに横浜FM入りを決めている興國高FW樺山諒乃介(新3年)だった。「アイツは1対1凄かったです。こんなヤツいるのかみたいな感じでした」。年代別日本代表にも選ばれていた樺山と対戦したことでトップレベルを知り、そこから1対1で絶対に負けないことや、最後の一歩まで諦めずに身体を張ることを徹底。個をレベルアップさせて全国でも通用するDFになった。

 潰しの部分やカバーリング、攻撃力を強みとする田中はトレーニングでもインターセプトからそのまま攻め上がり、チャンスメーク。参考にしているのは2学年上の大黒柱・CB田近洸貴(現びわこ成蹊スポーツ大)だ。その先輩は攻め上がりからワンツーなどでPAまで持ち込んでゴール、アシストも記録。「僕が高川入った時に田近さんがいたんですけれども、その人がCBからボールを奪って攻めていた。あの人を超えられたら良いCBになれるのかなと自分の中で考えています」という田中は、先輩を超えるような攻撃的なCBを目指す。

 その田中について、江本孝監督は「クレバーで対人に強い。闘争心がかなり出てきた。田中が気合入っている時はチームが良い雰囲気になる」と説明する。以前は自分の世界に入って声が出なくなることもあったようだが、意識して改善。後方からチームを鼓舞して周囲の闘志、集中力を引き上げている。

 注目度が高まってきているが、「注目してもらえることはありがたいし、もっと注目されて力をつけていって、プロにもなりたいと思っていますし、上の世界でやっていきたいです」ときっぱり。強敵との対戦や敗戦を成長に繋げてきたCBが、今年は高川学園で結果を残し、将来の可能性を広げる。

(取材・文 吉田太郎)

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