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選手権予選へ向けて貴重な実戦の機会に。米子北vs国見は互いに譲らず2-2、PK戦も実施

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米子北高(左)と国見高にとって貴重な実戦の機会に

[7.23 練習試合 米子北高 2-2(PK4-1)国見高 東郷運動公園]

 7月23日からの4連休、鳥取県に各地の強豪校が集まっている。米子北高(鳥取)の中村真吾監督が中心となり、フェスティバルのような形で練習試合を実施。初日は県中部の2会場に米子北、高川学園高(山口)、国見高(長崎)、神村学園高(鹿児島)と、地元の鳥取東高(鳥取)が集まり、Bチームの試合も含めて複数の試合が行われた。

 東伯郡湯梨浜町の東郷運動公園では、米子北と国見が対戦した。小雨が降り続き、人工芝グラウンドの足下が滑りやすい中でも開始から激しい球際の攻防が続く中、先制したのは国見。前半11分(35分ハーフ)、188cmの長身とスピードでプロ注目の逸材、FW中島大嘉(3年)が左からのパスをうまくコントロールして持ち出すと、最後は右足でGKの股間を抜くシュートを決め、ネットを揺らした。

 だが米子北も前半27分、MF中田来輝(3年)が決めて同点。1-1で迎えた後半立ち上がりの2分には、CKの流れからゴール前で混戦となったところを、MF竹中元汰(3年)が蹴り込んで逆転に成功した。

 その後も米子北はゴールに迫るシーンを作ったが、勝利に近づく3点目を奪えない。そうするうちに後半28分、国見が少ないチャンスを物にする。左CKの場面で相手GKの周辺に選手を固めると、ニアサイドへのボールを中島がヘッドで合わせ、同点とした。

 そこからはお互いに決定機の連続。同点ゴール直後の後半29分、中島が右サイドを抜け出し、飛び出してきたGK長崎の頭上をループシュートで破ったが、ワンバウンドしたボールが無人のゴールのクロスバーを越え、決めることができない。後半アディショナルタイムには米子北が左サイドからのフィードを、右サイドでフリーとなっていたMF木村愛斗(2年)が右足で合わせたが、惜しくも左に外れた。

 2-2の引き分けで終了したものの、米子北の中村監督の提案でPK戦を実施。2人がクロスバーに当てるなど外した国見に対し、米子北は4人全員が決め、勝利を収めた。

 米子北の中村監督は試合後、相手のエース中島に2失点を喫したことについて、「彼のような能力のある選手を、しっかり抑えなければいけない。あっさりやられてしまった」と守備の出来に注文をつけた。新型コロナウイルスの影響による部活動停止期間が明けてから一定の時間が経ち、「連係を合わせていくことは、少しずつできている」ものの、「今日のように1試合の中で一瞬、集中力が切れることがある。ここという場面で守り切れないし、決め切れない」という課題が見えるという。

 まだ練習試合の数が少なく、あまり実戦をこなしていない影響もあると中村監督は分析しているが、だからこそ今回のような県外の強豪校との対戦は貴重な機会。「インターハイが中止になり、経験を積めていないので、緊張感がある試合を増やしたい」という考えから、外部の有資格者が主審を務める体制も整えて実施している。24日以降も試合を重ねながら、選手権予選に向けてチーム力の底上げを目指す。
 
 国見の木藤健太監督は「攻守の切り替えなどのベースのレベルは、まだまだ低い。まだチームを作っている段階で、いろいろな選手、ポジションを試しながらやっている」と現状を説明した。21日に高川学園、22日には立正大淞南高(島根)と独自に練習試合を実施しており、「中国地方のチームのレベルの高さを感じている。九州とは違う良さがあるので刺激になるし、私自身も勉強させてもらっている」と語るように、やはり貴重な実戦の機会となっている。
 
 今年のチームの特徴を、木藤監督は「3年生が真面目で、決してうまくはないですが、一人ひとりの能力は高くなくても、チーム全体でカバーしながら戦おう、という意識がある」と評し、「こういうチームは、我慢しながら夏を越えると伸びてくると思う。こういう遠征を通して成長してくれれば」と期待を寄せる。ターゲットはもちろん、2010年度以来となる10年ぶり24回目の選手権出場。「もう一度全国で、という思いでやっている。それをチーム国見の全員が求めていかなければ、全国で戦えないと思う。そういう思いを全員に認識させて戦っていきたい」と言葉に力を込めた。

 この練習試合は26日まで続き、前述の各校のほか、神戸弘陵高(兵庫)、岡山学芸館高(岡山)、就実高(岡山)、作陽高(岡山)、佐賀東高(佐賀)などが参加。実戦を重ねながら、冬への力を蓄えていく。

(取材・文 石倉利英) 
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