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新生・京都U-18は0-3からのスタート。ブレずに目標へのトライ続ける

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新生・京都サンガF.C.U-18は完敗からのスタート。ブレずに目標のスタイルへのトライを続ける

[8.29 スーパープリンスリーグ関西第1節 履正社高 3-0 京都U-18 履正社茨木G]

 0-3というスコア、ミスが続いた試合内容。京都サンガF.C.U-18の新体制での船出は、完敗からのスタートとなった。

 今季は前嶋聰志監督がコーチから昇格。選手ではキャプテンとなったMF中野桂太(3年)らが引き続き主軸となる一方、初めてリーグ戦のピッチに立つ選手がスタメンの半数を占める布陣でキックオフを迎えた。

 開始直後から見えたのは、最終ラインからパスをつないでいくポゼッションだ。DF陣にGKや中盤の選手が絡んでボールを動かそうとするが、相手の果敢なプレッシングを真正面から受けてしまい、なかなか前進できない。自陣でボールを失う、もしくは敵陣へアバウトなキックをしてしまい攻撃陣に収まらない場面が続出。そこから、相手の鋭いカウンターを食らい続けてしまう。

 先制点を奪われた後、試合は雷により一時中断。約1時間のインターバルの間に問題点を整理して「ここから仕切り直しだ!」と士気も高めて再開したが、試合展開はなかなか変わらない。左サイドからMF中野瑠馬(3年)が何度かドリブルで敵陣深くまで侵入するが、チーム全体でシュートが1本も打てないまま前半終了。後半は少しずつボールが持てるようになって4本のシュートを放ったが、いずれもエリア外からのもの。決定的なチャンスは、最後まで作れなかった。

 試合後、中野桂は「最初から圧倒された。相手のプレッシャーは想定して準備してきたけれど…」と悔しさをのぞかせた後、問題点を指摘した。「前半は選手間の距離が遠かった。前半の(雷による)中断中に話したのも、お互いの距離感やボールを持った時のテンポを上げていこうという内容でした。後半は少しずつ攻めれるようになってきたけど、点を取るチャンスはほとんどなかった。自分たち(サイド)にボールが入った時も、仕事ができませんでした」。これについてはMF遠山悠希(2年)も「前からのプレッシャーに対する練習もしてきたけれど、いざ本番となるとプレスにびびってしまったところがあったと思う。前へつなげず、後ろ向きなプレーが続いてしまった」と話している。

 相手のプレッシングの圧力が想像以上だったこと。それに対応すべき守備陣に、リーグ戦デビューとなる選手が多かったことも影響した。ピッチ上で解決策が見つからない状況で技術を発揮させてもらえず、上手くいかないことでポジショニングにも狂いが生じていく。まさに悪循環だった。

 そんな中で今後へつながるものを探すとすれば、最後まで目標とするスタイルにトライし続けたことだろうか。前嶋監督が「2点差になった時点でやり方を変えるのは簡単だけど、活動再開からここまで彼らが頑張ってきたことを無にしたくなかった」と話したように、上手くいかない中でも、選手たちは下を向かずにプレーし続けた。

 どうすれば相手のプレスを回避できるのかを考えて、実行する。前半は相手の格好の餌食となってボールを何度も失った伊藤大和(1年)が、後半はプレッシャーを受けにくいポジションを見つけながらパスを展開できるシーンが増えていった。前嶋監督は「ボールを持つためには勇気や知識が必要になる。プレッシャーから逃げず、そうしたトライを続けられるかどうか。やり続けます」と敗戦を受け入れた上で、言葉に力を込めた。

 その思いは選手たちも同じだ。中野桂は「去年のクラブユース選手権で負けた名古屋U-18(準決勝・1-5で敗戦)は連戦の中でもしっかりボールを持てていて、だからこそ優勝できたと思う。自分たちはビルドアップができない中で走って走って戦ったけれど、それだけでは(大会を勝ち抜く体力が)もたない。それは全員が感じていたことです」と昨年の経験を説明する。遠山も「今日は自分たちの質が低かったからミスが増えたし、失点もしてしまった。細かいところから、基礎をもっと高めないといけない。ボールを動かして、相手も動かして、隙ができたところへ攻撃を仕掛けていきたい」と現状と向き合っている。

「まだ公式戦では、何もできないチームです。だけど…」(中野桂)
言葉が詰まったその先を、確かなものにしてみせる。そのための戦いは始まったばかりだ。

(取材・文 雨堤俊祐)
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