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[MOM3393]作陽DF原田涼汰(2年)_攻撃力を引き出す守備リーダー

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作陽高DF原田涼汰が身体を張って相手の突破を食い止める

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.6 岡山県高校新人大会準決勝 作陽高 3-0 岡山龍谷高]

 テンポの良いパス回しから果敢にサイドバックがオーバーラップを繰り返し、時には3人目の飛び出しからゴールに絡むほど攻撃的なスタイルが作陽高のスタイル。厚みのある攻撃がハマった時はハーフコートゲームに近いほど一歩的に攻め込めるが、前がかりになる分、手薄になった守備のリスクも大きい。特に技巧派が多く、主導権を握る展開が多くなりそうな今年は、守備のリスクマネジメントが求められる。

 実際、今大会はここまで2試合連続で失点を献上してきたが、この日は無失点。3ゴールを奪った攻撃に目が行くが、酒井貴政監督が「前が安心して攻められるのは、後ろが安定しているから。ルーズボールの処理であったり、サイドバックのカバーリングなどが安定しているから、前が思い切って仕掛けられる」が話す通り、守備陣の奮闘が大きかった。

 中でも、存在感を示したのはDF原田涼汰(2年)だろう。競り合いの強さが魅力のセンターバックだが、この日目立ったのは周りを活かすコーチングの部分。「カウンターを受けないためにも全員が上がらずにリスク管理を意識した。ボランチも二人ともが上がるのではなく、片方が上がれば片方が落ちることを徹底した」。

 カウンターの起点となる岡山龍谷のFW久我隼士(1年)に対しては、ボールを入れさせないのが狙い。立ち上がりは久我への配球を封じきれなかったため、ハーフタイムに修正し、後半は中盤に配球ルートである中央を封じさせることでピンチの芽を摘んだ。逆光に苦しみ、持ち味のヘディングは苦しんだが、巧みなリスクマネジメントで危ない場面をほぼゼロに抑えたのは収穫。試合後は、「ここまで毎試合失点してきたので、ゼロで抑えられて良かった」と胸を撫でおろした。

 中学時代に2歳上の先輩だったMF矢木海成への憧れと、「パスが下手だったので作陽に入れば変われるかなと思った」ことが決め手となった高校での成長は著しい。作陽のスタイルはセンターバックが攻撃の起点となるため、ボールを受ける回数が多いが、上手く味方に繋げることができず、「センバをしたくないと思った時期もあった」。だが、「ここで諦めたらいけない。一生懸命周りについていった」成果が実り、昨年はスタメンの座を獲得。今ではコンビを組むDF山本修也(2年)と共に、攻撃のスイッチを入れる回数も多い。

 そうした迎えた昨年度の選手権は2試合に出場したが、出られた喜びよりも悔しさの方が強い。「1対1は結構やれた」と振り返るが、2回戦の東福岡高戦はラインコントールの遅れとマークミスから逆転ゴールを決められた。

 同じ悔しさを味わないためにも、今年は自らがチームを引っ張り、チームを勝利に導ける選手への変貌を誓う。これまでは先輩についていくのでいっぱいだったが、副キャプテンになったこともあり、新チームになってからの練習では今まで以上に声を出すようになった。心身共に成長を遂げている原田の存在は頼もしい。今後も、守備の要として存在感を発揮してくれそうだ。

(取材・文 森田将義)

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