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もっと上手く、逞しく。高校選抜MF廣井蘭人は帝京長岡を助けられる選手へ

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帝京長岡高の日本高校選抜MF廣井蘭人

 昨年8月の段階ではまだ1年生チームでプレーする一人だった。だが、公式戦初先発となった9月のプリンスリーグ北信越・新潟明訓高(新潟)戦で先制点を叩き出すと、その後はチームの軸の一人に。選手権新潟県予選決勝でも先制点を決めた1年生レフティーはU-15日本代表候補入りを果たし、選手権でも履正社高(大阪)戦の決勝ゴールなど活躍を続けて日本高校選抜入りも果たした。

 帝京長岡高(新潟)MF廣井蘭人(新2年=長岡JYFC出身)は、現在の自分について「驚いています」と明かす。もちろん、選手権で活躍することを目指していたが、思い描いていた以上とも言えるような半年間。高い評価を得て、年代別日本代表候補合宿や日本高校選抜の活動とより成長する機会を得ることもできた。

 だが、注目されても変わらない「もっと上手くなりたい」の思い。上手くなり続けることが自分の道を切り開くことも分かっている。日本高校選抜として出場したデンソーカップチャレンジで同学年のMF荒井悠汰(昌平高新2年)が大学生とフィジカル面で渡り合う中、廣井は苦戦もしたが、「もっと上手くなって、違うところで勝ちたい」とこだわりを口にしていた。

 サニックス杯(福岡)ではチームの攻撃の中心として存在感ある動き。青森山田高(青森)のプレッシャーの中でも落ち着いてボールをキープし、味方に繋いでいた。「自分が失っていたらダメ」と語る廣井は成長を示していたが、疲労が溜まってきた時間帯やチームが苦しい時間帯でのプレーを反省。「もっと存在感を出していかないといけない。もっと上手く、逞しくならないといけない」。満足感は全く見られなかった。

 ゴール前の崩しの部分で「違い」を生み出せるところが最大の特長。選手権では先輩たちのサポートを受けながら自由にプレーさせてもらい、その中で結果を残した。2年生となる今年は、「基本は同じなんですけれどもスペースを作ったり、仲間のために潰れるとか求められています」。周りを活かすことはまだ得意ではないだけに、より味方を助けられるように取り組んでいく。

 サニックス杯の帝京長岡は、PK戦による1勝のみで最下位。失点も増えていたが、廣井は何よりもチームの得点が少ないことを悔しがる(6試合で計4点)。とは言え、帝京長岡は1年間かけてじっくりとグループを構築していくチーム。昨年の世代も選手権前まではなかなか上手く行かなかったというが、ハードワークと魅力的な崩しによって全国3位に入っている。廣井は「合う時が来ると思うので、腐らず頑張りたいと思います」。焦れずにチームメートとトレーニングを重ね、一つ一つ積み上げて行く構えだ。

 廣井は今年の目標について、「チームとしてはもちろん日本一が目標ですけれども、自分はチームの中心になってチームを助けられるような選手になりたいです」とコメント。技術だけでなく走力も磨き、パスを出したあともう一度ゴール前に入って行く部分などをレベルアップして「大事」という数字にもこだわる。

 将来へ向けて重要な一年であることは認識している。「見てくれているんで。チャンスはいっぱい転がっていると思うので、今年一年で掴み取りたい」。守備面やフィジカル面の課題を改善することはもちろんだが、自身のため、チームのためにももっと上手くなる。

(取材・文 吉田太郎)

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