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[関東大会予選]県立真岡が磨いてきた力表現。後半ATの決勝点で関東切符獲得!:栃木

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後半アディショナルタイム、真岡高はMF山本真弘(3年)が決勝ゴール

[5.15 関東高校大会栃木県予選準決勝 真岡高 1-0 國學院栃木高]

 2021年度関東高校サッカー大会栃木県予選準決勝が15日に行われ、県立の真岡高が決勝進出と関東大会出場を決めた。後半アディショナルタイムにMF山本真弘(3年)が決勝点を決め、國學院栃木高に1-0で勝利。真岡は16日の決勝で佐野日大高と戦う。

 磨いてきた武器で紙一重の勝負を制した。殊勲の山本は「相手は足元とか上手いので、守備から入って、『自分たちの方が体力は絶対に上だな』、と(川上栄二)監督も言っていたので、後半勝負決めようと思ってやっていました」と振り返る。

 対戦した國學院栃木はMF但野修平(2年)やMF後藤颯汰(2年)、MF堀田悠斗(3年)をはじめ、良い意味で“遊び”を持った選手たちが落ち着いてボールを繋ぎ、強力アタッカー・FW鯉沼宏輔(3年)らがドリブルで打開を図ってくる。立ち上がりから運動量を持ってボールを奪いに行った真岡だったが、思うように攻撃時間を増やせた訳ではない。

 それでも、川上監督が「守ってカウンターできるチームになってきた。守備で我慢強さが出てきたのが良いと思います」と頷いたように、危ないシーンを作られながらも各選手のハードワークとGK大石誠也(3年)の好守などによって無失点を続ける。

 真岡も個々の技術力が高い。ボールを奪い返すと山本らが正確に繋ぎ、右サイドでは“真岡のアザール”MF金田禅奈主将(3年)が1対1、1対2の状況でも圧倒的なスピードと突破力を披露。また、CFの高田聖也(3年)が簡単にボールを失わず、MF鈴木隆大(3年)が豊富な運動量で相手の守りを撹乱しようとしていた。相手を押し下げ、前半34分にはDFと入れ替わった高田が決定的なシュートを放つ。

 一方の國學院栃木は低い位置からの攻撃が増えていたが、それでもポゼッションする力とゴールへ向かう姿勢も見せる。特に鯉沼が相手のチャージを受け流すように、何度も前進。前半33分には左サイドを攻略し、左SB岡野孝俊(3年)のラストパスをFW谷中啓介(3年)がニアで合わせる。また、鯉沼がドリブルでゴール前まで持ち込んでシュートを放つが、決め切ることができない。

 真岡は後半、金田の突破やMF岩渕浩平(2年)の抜け出し、セットプレーなどから決定機を作る。國學院栃木も幅を使った攻撃や但野のスルーパスで決定機を作ったが、シュート精度を欠いた。真岡は試合終盤へ向けて、徐々にセカンドボールの反応などで優位に。そして、アディショナルタイムに1点をもぎ取った。

 真岡は繋いで前に出て来ようとする國學院栃木に対し、FW鶴見悠(3年)らがハイプレスを掛けて右サイドでボール奪取。MF上野大和(2年)がDF背後へパスを送ると、抜け出したFW福井悠成(3年)が右足を振り抜く。これはGK菊田謙心(1年)に止められたが、こぼれ球を山本が右足で押し込み、待望の先制点。喜びを大爆発させた真岡はその後、大石のファインセーブなどで國學院栃木の反撃を封じ、関東切符を勝ち取った。

 昨年末の横山杯で真岡は「(強豪校相手に)良い試合はやるんだけど、集中力が持続しなかったり、自分たちでリズムが合わないとチグハグになり、チームがまとまっていかないことがあった」(川上監督)。矢板中央高や佐野日大高などの私学勢に勝つために、球際や運動量、チーム全体で鼓舞する力を求め合ってきた。

 この日は磨いてきた力が大きな勝因に。だが、選手たちに満足感は見られない。金田は「関東大会行けることが決まったんですけれども、まだまだチームは成長しきれていないし、守備の面はここで課題が出たと思うので、(少しでも改善して)佐野日大戦勝ちをもぎ取って優勝したい」と力を込めた。前回開催された2年前は決勝で佐野日大を破って優勝。今回も決勝で佐野日大を破り、公立の伝統校・真岡が頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)

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