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[MOM3460]流通経済大柏MF廣谷瑠己(3年)_黙々とアップ続けて得たチャンス。積極プレーで劇的同点弾!

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後半45分、流通経済大柏高MF廣谷瑠己が劇的な同点ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.23 プレミアリーグEAST第7節 市立船橋高 1-1 流通経済大柏高 グラスポ]

 後半40分、流通経済大柏高(千葉)は5番目の交代カードとして、前節先発のMF都築駿太(2年)を投入する準備を進めていた。だが、榎本雅大監督の目に飛び込んできたのは、出番がなくなるかもしれない状況の中でも黙々とウォーミングアップを続ける3年生MFの姿。「パッと見たら、一人だけアップしていた。『こういう姿が大事かな』と思ったから、すぐに呼んだんですよ」。急遽ピッチに立ったMF廣谷瑠己(3年=AZ’86東京青梅出身)が、投入5分後に劇的な同点ゴールを決めた。

 この日、3年生11人が先発する中、廣谷は3年生で唯一のベンチスタート。榎本監督は「ちょっと前向きじゃなかったんですよ」とその理由について説明する。攻撃面に関しては先発クラスの力の持ち主。だが、どこか自分に自信を持つことができず、消極的になっていたという。

 だが、3戦連続未勝利のチームが追い詰められる中、「今日は自分の持ち味を出す。自分の持ち味をがむしゃらにでも出していきたい」と心は固まっていた。押し込みながら同点ゴールを奪うことのできないチームメートの姿に見入ってしまったりもしていたというが、諦めず、GKデューフエマニエル凛太朗(2年、寮で同部屋)とともに続けていたチームを救うための準備。そして、榎本監督の「コイツも気持ちあるんだろうなと思って」の起用に応えた。

 後半45分、流経大柏は左サイドをコンビネーションで崩し、左SB長谷部陽也(2年)がクロス。「市船の選手が中を固めていたので、ファーに流れて来るのに確信を持っていました。ファーに走り込んだらボールが来たので、当てるだけでした」という廣谷が左足ダイレクトシュートをゴールに突き刺した。

 重ねてきたクロスからのシュート練習の成果も発揮し、Aチームでの初ゴール。大興奮のチームメートから祝福された背番号22は、「いつでも行く準備は出来ていました。0-1で負けている中、『チームを助けたい』という気持ちを持って入って、結果が出せたので、本当に良かった」と素直に喜んでいた。

 この日はゴールシーン以外でも積極的な仕掛けを連発。身体を張ったプレーで頭部を負傷し、交代した渋谷諒太主将(3年)の姿も自身を奮い立たせた。「自分の特長を出す」ことを貫いた約10分間。消極的な姿勢は見られなかった。

 この日のプレー、ゴールで再確認したチームのためにプレーすること、またアグレッシブにプレーすることの大事さ。勢いだけでプレーすること無く、状況に応じて自分の持ち味を最大限に出して行く。次はインターハイ予選。「一発勝負というインターハイで結果を出し続ける選手になりたい」。この日流経大柏を救った3年生が、積極的なプレーで結果を出し続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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