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復帰の10番MF古川が劇的V弾!エース不在の1か月間でさらに進化した静岡学園が開幕9連勝!

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後半アディショナルタイム、静岡学園高MF古川陽介が右足で決勝ゴール

[7.10 プリンスリーグ東海第10節 常葉大橘高 2-3 静岡学園高 常葉大橘高G]

 エース不在の期間にまた成長した静学が開幕9連勝! 10日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東海第10節で首位・静岡学園高(静岡)が常葉大橘高(静岡)と対戦。後半アディショナルタイムにMF古川陽介(3年)が決めた決勝点によって3-2で勝ち、開幕9連勝を飾った。

 静岡学園はこの日、常葉大橘のコンパクトな守備とショートカウンターに苦戦。だが、再び勝ち切る強さを見せた。先に決定機を作り出したのは常葉大橘の方。前半5分、右サイドを抜け出したMF吉原健太郎(3年)のラストパスがゴール前のMF杉本将太郎(3年)へ通る。だが、ゴール至近距離からの右足シュートは静岡学園GK生嶋健太郎主将(3年)が止め、こぼれに反応したFW豊泉優大(3年)の右足シュートはクロスバーを叩いた。

 静岡学園は15分にMF小泉龍之介(3年)が負傷交代。だが、引きずることなく攻め続け、20分にはMF荒井駿希(3年)のカットインシュートが枠を捉える。直後にはMF玄理吾(3年)のパスで荒井がポケットを取り、その折り返しをMF菊池柊哉(3年)が左足で叩く。

 また、CB三宅優翔(3年)の対角のミドルパスから左の快足MF川谷凪(3年)がドリブルで仕掛けるなどゴールへ迫るが、常葉大橘はCB上村龍太郎(3年)とCB小林愛翔(3年)の両CBを中心とした我慢強い守りから、キープ力の高い豊泉やFW高橋快(3年)へ縦パスを通して攻め返す。静岡学園は奪い返すことができずに後退させられるシーンが増え、攻撃面でもやや急ぎすぎるような展開になっていた。

 すると31分、常葉大橘は左SB松田光平(2年)のスルーパスで高橋が左サイドを抜け出し、そのまま左足で先制点。一方の静岡学園は押し込んでいたものの、際のところでも踏ん張る常葉大橘からなかなかゴールを奪うことができない。

 それでも前半45+1分、右サイドからショートパスを繋いで左へ展開すると、左SB野村海翔(3年)が縦へ仕掛けてGKとDFラインの間へ絶妙なラストパス。これをU-17日本代表候補MF高橋隆大(2年)が1タッチでゴールへ押し込み、同点に追いついた。

 後半はこの日右SB起用だったU-17日本代表候補DF行德瑛(2年)と野村の両SBが高い位置取りを続けるなど攻撃の圧力を高め、得点ランキング首位FW持山匡佑(3年)のドリブルシュートなど仕掛ける回数を増やした。そして14分、野村がゴールエリアへ入れた左CKをU-18日本代表候補の188cmCB伊東進之輔(3年)が頭で合わせて2-1。だが、常葉大橘は20分、豊泉が無回転FKをゴールへ叩き込み、同点に追いついて見せる。

 静岡学園は26分にインターハイ予選決勝前に左腿裏を負傷し、1か月間以上離脱していた古川を投入。その古川が1対2の状況でも失わずに打開するなど左サイドで異質のキープ力を発揮し、クロスなどへ持ち込んでいく。そして、32分には野村のクロスから持山が決定的なヘッド。だが、常葉大橘も最後まで身体を寄せて相手の攻撃をわずかに狂わせるなど、2-2を維持する。

 試合はそのまま後半アディショナルタイムへ突入。連勝ストップかと思われた。だが、静岡学園は45+2分に決勝点を奪う。左サイドからカットインした古川がMF清水和馬(3年)とパス交換。DFに囲まれていたものの、最後は足裏を使ってシュートコースを作り出し、右足を振り抜く。このエースの一撃で3-2となった。サブ組の選手たちの方へ走り出した10番は、膝から滑り込んでゴールパフォーマンス。緑のユニフォームは少しだけ勝ち越し点を喜ぶと、すぐに引き締め直して試合を再開し、3-2で試合を終えた。

 静岡学園はエース不在だったインターハイ予選決勝(対清水東高)で1-3から追いついてPK戦で勝利すると、その後のプリンスリーグ東海でも浜松開誠館高(静岡)、藤枝東高(静岡)の強敵2校に勝利している。川口修監督は「試練だけど、良い経験だと捉えている」。古川を欠いたことで思うような戦いができていなかったようだが、その中でも静学らしく戦うことを目指し、勝ち続けてきた。また、チャンスを得たMF西村湧志(3年)が台頭するなど、個性豊かな世代はまた進化を遂げている。

 そして、この日は「苦しい試合でもしっかり勝ち切ったり、無失点で抑えたりして、自分いなくても勝てて、スタメンを一から奪い返すぞという気持ちでこの一週間臨んでいました」という古川が決勝点。伊東が「内容は良くなかったんですけれども、前へ前へという気持ちを全員が持っていて逆転して勝ち切れた。粘り強さというか勝ちグセがついてきている」と分析していたように、今年の強みと言える強さも示した静岡学園が大目標の一つであるプレミアリーグ昇格へ一歩前進した。

 8月のインターハイでは仙台育英高(宮城)との初戦から難敵続くブロックに入った。それでも、川口監督は「良いチームとたくさんやりたい。(逆境の展開だったり)相手が強ければ強いほど力が出せると思う」。こだわる質の部分の課題や立ち上がりの悪さがあることは確か。それでも、静岡学園は激しいチーム内競争でよりレベルを高め、インターハイで1試合でも多く戦うこと、そして日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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