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空陸両用のグラディエーター。流通経済大柏DF田口空我の伸び続ける成長曲線

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流通経済大柏高が誇る空陸両用のグラディエーター、DF田口空我

[10.2 プレミアリーグEAST第13節 流通経済大柏高 1-1 柏U-18 流経柏G]

 空中戦。地上戦。次々と相手をなぎ倒していく。その存在感、圧倒的。「失点以外は相手のフォワードに何もさせていなかったと思いますし、全国でも大きな相手との競り合いというところに課題があったので、そういうところでも今日の相手は大きかったですけど、しっかり対応できていたんじゃないかなと思います」。
 
 空陸両用のグラディエーターにして、流通経済大柏高のディフェンスリーダー。DF田口空我(3年=ジェファFC出身)がさらなる飛躍の時を迎えている。

 福井で行われたインターハイ。流経大柏はプレミアリーグWESTで上位争いを繰り広げている大津高(熊本)と2回戦で対峙。0-3と衝撃的な完敗を喫する。試合後。田口も「自分がどういう声で発信できるかというのがまだまだ足りていなくて、セットプレーの部分でもキーパーに任せる部分が多くて、自分から『マークに付け』とかそういう声が出なかったので、自分の能力の低さが分かったかなと思います」と落胆の色を隠せなかった。

 だが、もちろんそれで終わるような男ではない。「一番最初に思ったのは『こんなに差があるんだな』と。もう本当に悔しいという気持ちだったんですけど、個人的には全国を初めて経験して、『ああいう相手と対戦できて良かったな』と思っています」。とりわけ192センチの長身を誇る大津のFW小林俊瑛(2年)とのマッチアップは、多くの気付きを与えてくれたという。

「初めての経験でしたし、これからプロを目指すんだったらああいう相手がたくさんいるので、ああいう選手に勝てるぐらいの技術だったり、ずる賢いプレーをできるようになれば、自分的にも成長できるんじゃないかなと思います。あれ以降は競り合いのところでちょっと身体を当てる工夫を、ゲームの時に意識してやったりしています」。

 この日対峙した柏レイソルU-18のFW真家英嵩(3年)も、187センチの長身ストライカーだったが、「今日だったら真家と身体を当てたりというところで、インターハイの経験が生かせたんじゃないかなと思っています」と振り返る田口は空中戦でも一歩も譲らず。相手の基点を1つずつ潰していく。

 さらに、的確なカバーリングで何度もピンチの芽を摘み取っていく。「もともとカバーリングは好きですし、味方がミスしてもミスしなくても自分が取りに行く気持ちはあるので、ミスされても自分的には『あ、ラッキー』みたいな感じです。自分の良いシーンが出せるので(笑)、ミスしてくれたらラッキーだなと思います」。“ストライカー的センターバック”とでも表現したくなるようなメンタルが、また興味深い。

 小学校から続けてきたセンターバックというポジションの面白さを、最近はまた違った形で実感しているという。「今までできるのは“パスを繋ぐ”というところだけだったんですけど、今は相手を見て、それを外してパスを出したり、前に刺すパスを出したりというのもできてきているので、そういうところは成長しているんじゃないかなと思います」。その陰にはあるコーチの存在がある。

「2年が終わった頃、(高橋)隆さんの練習の時に“外すポジション”というところを教わって、ポジショニングの位置が変わってから、パスを繋げるようになったかなと思っています。個人的に話すこともあるので、そういう意味であの人には結構教わっていますし、ダメなところはダメってハッキリ言ってくれるので、そういうところはやりやすいです」。高橋隆コーチの助言も得て、自分のプレーの幅も確実に広げている。

 いよいよここからは大舞台に向けた準備の時間。3年ぶりとなる冬の全国へ、着々と照準を合わせている。「自分的には、守備の面で自分がいれば失点しないというところで、どこでもカバーに行けるようにしていきたいです。チーム的に言ったら、失点はなくして、一番は点を獲って勝たないといけないので、自分がセットプレーで点を獲ったり、アシストできるようになったらいいかなと思います」。

 明るい語り口と、深々と頭を下げてお辞儀の挨拶ができる人間性も魅力的。田口の発散するポジティブなパワーは、流経大柏にとって絶対に欠かせない。

(取材・文 土屋雅史)
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