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[NEW BALANCE CUP]“鬼パス”にも追い付くスピード。日章学園の高速SB蔵屋明徹が攻撃参加で流れ変える

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日章学園高の右サイドで存在感ある動きを見せた高速SB蔵屋明徹

[1.6 NEW BALANCE CUP準決勝 日章学園高 0-3 昌平高 時之栖裾野A]

「NEW BALANCE CUP 2022 IN TOKINOSUMIKA」(“裏選手権”)準決勝で存在感を示していた一人が、日章学園高(宮崎)の高速SB蔵屋明徹(2年=日章学園中出身)だ。試合開始2分で昌平高(埼玉)に先制点を許し、その後も押し込まれる時間が続く苦しい展開。だが、右SBの積極的なスプリントや斜めのパス、クロスが日章学園に流れを引き寄せた。

「攻撃に人数を掛けることが一番チャンスを作れるかなと思って、自分が(右SHの外側を)回ることによって相手がズレてくれれば、SHが中に持って行ったり、FWの足元が空いたりするので、使われる・使われないというよりも、前に行くためにオーバーラップするという感じです」と蔵屋。チーム一のスピードを持つSBは、走ることでチームの選択肢を増やし、相手の守りを乱していた。
 
 そして、本人が「マジか!」というような“鬼パス”にもエンドラインギリギリで追いついてクロス。原啓太監督が「良いクロスも持っているんですよ」と推すSBは前半に正確なクロスをゴール前に入れ、後半にもFW田上遼馬(1年)へ決定的なクロスを配給した。

 藏屋は「小学校の頃からスピードには自信があって、自分の特長が何かと言われたらスピードなので。それを活かすプレーをしないともったいない」と微笑む。初速は特別速くないと自己分析するが、「トップスピードに乗るまでがちょっと速くて」という加速力の持ち主。昨年のインターハイやプリンスリーグ九州でもスピードを活かした攻め上がりで目立っていた印象だが、今年は攻撃のカギを握る存在になりそうだ。

 日章学園はDFラインに昨年の経験者が揃う。蔵屋は「後ろがしっかりすれば、簡単に失点しなければ、絶対にチャンス来てそこ決めれば絶対に自分たちのチャンスに持っていけるし、後ろが一番大事かなと思っています」と分析。元々FWやSHでプレーしてきた攻撃的SBは攻撃から守備への切り替えや対応力をより磨いて守備の安定に貢献し、「前向きにスタートした時は誰にも負けない自信がある」という攻撃参加で違いを生み出す。

 本人は「長距離は得意ではない」と苦笑いするものの、運動量豊富でビルドアップ力も兼備。将来は「プロになるだけじゃなくて、プロの中でも有名になるくらい。蔵屋明徹と言ったら誰もが分かるような選手になりたい」。イングランド代表の右SBトレント・アレクサンダー・アーノルドが憧れ。22年は高速SBがゴールと守備の安定をもたらし、目標の日章学園復権の力になる。

(取材・文 吉田太郎)

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