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「選手層を厚くすることができた」神戸弘陵が三田学園下し、兵庫新人戦3連覇。競争、自信、悔しさ…を次に繋げる

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神戸弘陵高が兵庫県新人戦3連覇

[2.6 兵庫県新人大会決勝 神戸弘陵高 3-0 三田学園高]

 慎重に感染症対策を講じながら行われていた令和3年度兵庫県高等学校サッカー新人大会。2月6日の決勝では、神戸弘陵高三田学園高が対戦。両校が兵庫県大会の決勝で顔を合わせるのは、令和元年度の選手権予選以来となった。

 強い風が吹く中、先にチャンスを掴んだのは神戸弘陵。9分に、DF大前慶悟(2年)がゴール前に送ったロングスローを昨年の新人戦決勝でも決勝点を挙げていたMF中地奎人(2年)が頭で押し込み、先制。三田学園はMF宮島幸大(2年)の突破からMF三澤玲太(2年)がシュートするも、枠を捉えることができず。神戸弘陵が1点をリードしたまま折り返した。

 後半に入ると、神戸弘陵がさらに攻撃の勢いを増す。18分にはDF大橋聖音(2年)のクロスにFW谷内口力希斗(2年)が頭を合わせて落とし、FW村井陸斗(2年)が右足を合わせてゴールに叩き込み、勝利を手繰り寄せる2点目。さらに28分には村井が突破して出したパスを谷内口がヘディングで3点目を奪った。

 三田学園は選手交代もしながら活性化を図っていったものの、神戸弘陵の集中力の高い守備に阻まれて、得点を返すことができずに試合は終了。神戸弘陵が新人戦の3連覇を達成した。

 今大会で三田学園は、決勝の前日に行われた準決勝も含めた2つの試合が対戦相手の辞退により不戦勝となっていたこともあり、「コンディションでは(連戦になっていた)相手よりも良い状態だったが、決勝戦まで勝ち抜いてきた相手にはやはり勢いがある」と感じたという福原幸明監督。「相手に良い部分を消されていたのもあるけれど、狭いところだけでなく普段通り横の幅も上手く使いながら、もっとボールを持ちたかった」と悔しさを滲ませた。2年前の選手権予選以来、決勝の経験がなかった三田学園の選手たち。この決勝で味わった悔しさが、これからの成長の糧となる。

 一方、決勝戦まで予定通りに試合を行うことができ、大会を通じて失点なく新人戦3連覇を成し遂げた神戸弘陵の谷純一監督は、「選手や戦術もいろいろと試しながらこの大会を戦うことができたので、選手層を厚くすることができた」と振り返った。とはいえ、コンディション不良や怪我によって出場できなかった選手もいる。「怪我から復帰しても、優勝したメンバーからポジションを取り戻せるかどうか」、競争はより激しくなる。「選手たちにとってはこの優勝が自信になったと思うが、ここで慢心することなく」、チーム内で競争しながら春から多くの試合を経験することでさらに選手たちが成長してくれることに期待を寄せた。

 決勝に臨んだ両校だけでなく、準決勝までに敗れてしまったチームや残念ながら辞退せざるを得なかったチームにも、コロナ禍の中でも感染症対策に努めながら大会を開催してもらうことでしか得られなかったことがあるだろう。「悔しさを味わった選手たちが、どのようにして先に繋げていくか」(三田学園・福原監督)。新たなシーズンは、まだ始まったばかりだ。

(取材・文 前田カオリ)

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