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2年生で前橋育英の「14」背負ったボランチ、MF徳永涼は2人の先輩やライバル刺激に「3冠」「ステップアップ」へ

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前橋育英高MF徳永涼はU-17日本高校選抜選考合宿でチームの中心的存在に

 22年シーズンの注目ボランチが、プロ入りした先輩たちから学んだことは大きい。前橋育英高(群馬)MF徳永涼(2年=柏レイソルU-15出身)は、1学年先輩で長崎入りしたMF笠柳翼と2学年上の先輩で神戸を経て今季から徳島でプレーするMF櫻井辰徳について「サッカー面だけでなくて、寮で一緒だったのでオフ・ザ・ピッチの過ごし方が凄く影響を受けた」と語る。

 徳永は21年シーズン、名門・前橋育英のボランチとして台頭。ボールを失わない技術力とバランス能力、ゲームメーク力に自信を持っている。加えて、守備面は山田耕介監督も驚くほどの読みと対応。相手からボールを奪う、その攻撃を遅らせることで味方を楽にしていた。

 シーズン当初は、左サイドから中盤中央の低い位置へ下りて来る笠柳にボールの運びを頼る部分があった。だが、「チームの成長を見た時に、やっぱり笠柳は前でプレーした方が良い」と意識して改善。シーズン後半へ向けて守備力、前へボールを運ぶ力を伸ばし、よりピッチで存在感を放つようになった。

 第100回選手権では、高校最後の戦いに闘志を燃やす3年生の中で冷静に、また客観的に状況判断。コントロールタワーとして、チームのバランスを調整し、好内容や勝利に結びつけていた。

 だが、大津高(熊本)との準々決勝では攻勢に試合を進めながら0-1で敗戦。「最後の選手権に掛けて自分たちが思い描いていたサッカーが形になってきたのは本当に良かったんですけれども、だからこそ、もう一歩二歩行きたかったというのはあるので、それが悔しい結果だなと感じています」。納得の内容と、伴わせることができなかった結果。決定的なパスやミドルシュートを出せなかった徳永は、課題を改善して「ステップアップ」することと「3冠」を掲げて新チームをスタートしている。

 選手権後に参加したU-17日本高校選抜選考合宿では、チームメートが徳永を信頼してボールを集めて来る中、ボールを前進させたり、バランスを整えたり、相手の攻撃を潰したりすることで中心的存在の一人に。一方で東京国際大との練習試合では「自分はフィニッシャーになることと、フィニッシュの一個手前になることが課題」とボランチから最前線まで飛び出して決定的なシュートを打ち込んでいた。

 今回、前橋育英でダブルボランチを組むMF根津元輝(2年)が1歳上の日本高校選抜入り。徳永にとって根津は「一番近くにいて最大のライバル。自分がいて欲しいところに元輝はいるし、元輝がどういうプレーをしようというのはアイコンタクトで分かる状況にあるので、元輝の存在は自分の中で大きい」という存在だが、一緒にU-18高校選抜入りできなかった悔しさはエネルギーになっている。

 徳永はプロ入りした笠柳と、櫻井の背中から多くを学び、成長に繋げてきた。2人を「半端ないと思った選手」として挙げる徳永は、「(2人は)プレーの一つ一つの質だけでなく、人としての立ちふるまいが素晴らしいから。笠柳翼さんは本当にサッカーに取り組む姿勢から、凄い自分に還元してくれたところでもあるし、サッカーの技術一つとっても本当に質が高くて、教わってインパクトが大きかったです。櫻井さんは自分が1年生の時に良くお世話になっていたんですけれども、一発で変えれるキックを持っていて、右足も左足も凄く精度の高いボールを蹴り分けられるので、人間性の部分もそうなんですけれども、この人は凄いなと思います」。彼らは高校3年生時にプレーヤーとして、人間としてもさらに進化。徳永はライバル、根津たちと切磋琢磨しながら2人に近づき、目標達成を目指す。

「22年の目標は育英でやるのが最後なので選手権・インターハイ・プレミアリーグは自分たちが取るというのがあって、個人としては日本代表やJのスカウトの方々に注目されて、もっと自分がステップアップしていくということが今年の目標です」。前橋育英にとって重要な番号「14」を2年生から背負う注目ボランチが22年、進化と勝利を続ける。
 
(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)
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