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目指すはプレミア得点王。川崎F U-18FW五木田季晋はゴールで自らの存在価値を証明し続ける

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川崎フロンターレU-18のストライカー、FW五木田季晋

 水色と黒に彩られたエンブレムのウェアに袖を通した小学生の頃から、このクラブを背負ってプレーすることの意味は理解してきたつもりだ。アカデミーであっても、トップチームであっても、それは変わらないとずっと思っている。

「自分は勝つことにこだわらないといけないクラブにいると感じてきたので、トップチームが強くて、ユースは弱いというのではダメだと思いますし、だからこそプレミアリーグで優勝して、フロンターレの歴史に新たなものを加えていきたい想いはあります」。

 9番を任された川崎フロンターレU-18(神奈川)のストライカー。FW五木田季晋(2年=川崎フロンターレU-15出身)は自分のゴールで、育ててもらったクラブの新たな歴史の扉をこじ開けていく。

 2年続けてトップチームの“前座”を務めることになった、2月の『NEXT GENERATION MATCH』。1年前のこの大会では終盤の交代出場にとどまった五木田は、日本高校選抜と対峙する日産スタジアムのピッチへ、満を持してスタメンで解き放たれる。

 最前線に位置しながら、世代屈指のDFチェイス・アンリとやり合うシーンも。ボールを収めて基点を作りつつ、ハイプレスのスイッチ役としてもタスクをきっちりとこなしていたが、自身では納得の行かない様子だ。「自分たちのサッカーが80分間できたかというと、そんなことはないと思いますし、そこに自分たちの課題があるので、しっかり見つめ直してやっていかないといけないと思いました」。

 具体的な課題も、的確に把握している。「80分間の中で強度が落ちてしまいましたし、後半にはミスも増えて、自分たちの時間をなかなか作れなかったところもあるので、そこはしっかり改善していきたいなと思っています。勝負にはこだわっていたので、もちろん勝ったことは良いんですけど、内容もしっかり見ていきたいですね」。紡いだ言葉に、フロンターレの選手だという自負が見え隠れする。

 自身のプレースタイルも客観的に説明する。「自分は背後への抜け出しだったり、前線で収めるところがストロングだと思っているので、いかに抜け出したところで決め切れるかにこだわっていくことで、数字も出てくるのではないかなと考えています」。参考にしているのは、日本を代表するトップチームのストライカーだ。

「小林悠選手は動き出しのところもそうですし、チームが欲しいなと思う時に点を獲ってくれるところが本当に凄いですよね。『なかなか真似できないな』とは思うんですけど、そこに近付いていきたいという想いはあるので、そこは意識してやっています」。同じユニフォームで戦う最高の“お手本”を意識しつつ、フォワードとしての能力向上に励んでいる。
 
 同世代の仲間であり、ライバルの存在も、五木田には小さくない刺激をもたらしているという。「やっぱり高井幸大は意識しますね。もうトップチームで練習していますし、世代別の代表にも入っているというところで、同年代でそこまで行っている選手がいるので、そこに追い付いていかないとダメだなとは思っています」。U-15から切磋琢磨してきた高井のステップアップが、自らの進むべき道をより明確にしてくれたことも間違いない。

 クラブ史上初めて挑む高円宮杯プレミアリーグ。「お互いが良い刺激を与え合えるチームなので、試合を重ねるにつれて良くなっていくと思います」とチームを評する副キャプテンの五木田も、国内最高峰のステージで戦うことへの期待を、言葉の端々に滲ませる。

「本当に注目されるリーグですし、みんなが見てくれるリーグだと思うので、自分の特徴を出していきたいですし、チームとしても『フロンターレってU-18も強いんだ』と思ってもらえるような試合をしていきたいと思っています」。

 個人的な目標を問われると、フォワードらしい自信とメンタルが顔を覗かせた。「個人的には毎試合コンスタントに得点を獲るということを意識していて、それによってその先に得点王が見えてくるのかなと思っているので、そこを目指してやっていきたいと思います。得点王、狙います」。

 決して雄弁なタイプではない。だが、ストライカーは確かな結果を示せば、それが何よりも強烈なメッセージとなって、見る者の心に訴えかけてくる。五木田季晋は常に追い求めているゴールを重ね、その存在価値をプレミアの舞台で証明し続ける。

(取材・文 土屋雅史)

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