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入学式前から神村学園の10番背負う新星。FW名和田我空が前橋育英相手にインパクト十分の2発!

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神村学園高の超新星、FW名和田我空

[3.19 サニックス杯予選リーグ 前橋育英高 4-2 神村学園高 グローバルアリーナ]

 入学式前の“中学生3年”にもかかわらず、強豪・神村学園高(鹿児島)の10番。その事実から、FW名和田我空(21年U-15日本代表候補)に対するチームの期待の高さが伺える。九州新人大会の代替大会に続いて挑んだサニックスカップでも、名和田は期待に恥じないプレーを披露。既に多くのJクラブのスカウトから、注視される存在となっている。

「パワーはないので、ゴリゴリ行けるような選手ではない。トラップやパスの正確さ、判断の速さで負けたら勝負出来ないと思っているので、常に周りを見るようにしています」。自己分析通り、最大の特徴は技術の高さと判断の正確さ。ボールを持ったらパス、ドリブル、シュートのどれを選択すべきか瞬時に選び、その選択にミスがない。

 スタッフからの評価も高く、栢野裕一コーチは「次の事も考えているし、判断してからの選択も正しい。『そこに行くよね』というプレーができるので、見ていてストレスがない」と口にする。サッカーを良く知っているため、中盤より前ならどこでもこなせるのも、強みだ。

 今大会は初戦の東福岡高(福岡)戦でゴールを奪ったが、続く鳥栖U-18(佐賀)戦と柏U-18(千葉)戦では無得点。「初戦で点が獲れたのは良かったのですが、その後のサガン鳥栖、柏レイソルとの試合で何も出来なかったのが、自分の今の力。前を向いて勝負出来るかなと思っても出来ないし、後ろ向きでも負けていた」と反省を口にする。

 九州新人大会の代替大会から休む間も無く、これまでとは違い強度の中で試合に出続ける難しさがあったのは間違いない。それでも、有村圭一郎監督は「壊れずやり続けられる選手が重宝される。(名和田には)大事に扱うよりも、厳しい状態での試合をこなしながら強くなっていけと話している。強度を考えて1本だけやるのではなく、2本でも3本でもこなして欲しい」とスタメンで使い続けてきた。

 連戦でも指揮官が起用し続ける理由を本人も理解しており、こう話す。「疲労も溜まっていた中でも、FWをやっているからには結果を残さないといけない。結果には拘りたいし、連戦を戦う選手権やインターハイでも、自分の力を100%発揮出来るような身体にしていきたい」。

 大会3日目の前橋育英高(群馬)戦でもスタメンで出場。2点のビハインドを追いかける展開となった前半25分には、右サイドを抜け出したFW西丸道人(1年)の右クロスを頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。圧巻だったのは、1-4で迎えた後半20分のゴール。「4点獲るつもりで後半に挑んだ」と振り返る名和田は、中央から出たDF中島大誠(2年)のパスを左サイドで受けた。素早く相手のサイドハーフが寄せてくるのが見えたが、ボディフェイクで逆をとると「間を入って行けば抜けると思った」と進行方向にいた2人のDFの間を割ってゴール前へ進出し、左足シュートをゴール右隅に叩き込んだ。チームは2-4で敗れたが、2ゴールを奪った名和田のインパクトは強烈だった。

 元々は宮崎県出身だが、小学生の頃にテレビで見たMF高橋大悟(現清水)に憧れ、中学から神村学園の門を叩いた。2歳上に当時から注目を集めていたMF大迫塁(2年、C大阪内定)とFW福田師王(2年)がいたのも鹿児島行きを決意した理由で、2人からプレーのアドバイスを受けながら、スクスクと成長していった。

 高校選抜での活動を終え、現在はヨーロッパのクラブに練習参加している福田が戻ってくれば、マークが分散され、今大会以上に大暴れする可能性は高い。「師王さん、塁さんが相手から怖がられているのは間違いない。同じように相手に嫌がられるプレイヤーになりたい」と話す注目株が、これから本格挑戦する高校サッカーの舞台でどんな輝きを放つのか期待したい。

(取材・文 森田将義)

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