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青森山田の3連覇阻止!一体感と「勝つ環境作り」にもこだわった日大藤沢が和倉ユース制覇!

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日大藤沢高が和倉ユース大会を制した

[8.10 和倉ユース決勝 青森山田高 0-0(PK0-1)日大藤沢高 城山陸]

 ユース年代最大級のサッカーフェスティバル、石川県ユースサッカーフェスティバルが今夏も石川県を舞台に開催されている。そのトップカテゴリーに当たる和倉ユースサッカー大会は10日、決勝を行い、青森山田高(青森)と日大藤沢高(神奈川)が激突。0-0で突入したPK戦を日大藤沢が1-0で制し、参加48チームの頂点に立った。

 3連覇を狙った青森山田を日大藤沢が止めた。今大会は浦和南高(埼玉)、四日市中央工高(三重)、大津高(熊本)、流通経済大柏高(千葉)、矢板中央高(栃木)、東山高(京都)、そして青森山田と名門校、強豪校を相手に堂々の7連勝。こだわってきたのは一体感だ。Jクラブ注目の198cmFW森重陽介(3年)は、「一体感は今大会のどのチームよりもあったなと自信を持って言えるので。自分たちはプラスの声、呼応することを練習から意識してやっているので勝利に繋がったと思います」と胸を張る。

 また、森重は「『準備でも勝つ』ということを今大会意識していました」と加える。佐藤輝勝監督も「『勝つ環境』を作るのは自分たちだから。伝統校とか強豪校ではなく、その環境を作るところが強いんだということが凄く響いたみたいで。みんなでゲームもそうだけど強いチームを作る環境作り、その環境は自分たちで作り出しているなとここまでのところで感じられているところですね」とコメントした。大会期間中は試合への準備や過ごし方を徹底し、ゴミ拾いやテント設営補助も。決勝も選手の希望によって2時間半前に会場入りし、入念な準備を結果に繋げた。

 ともに4-2-3-1システムで試合をスタート。青森山田はGK代田昂大(3年)、右SB渡邊来依(3年)、CB三橋春希(3年)、U-16代表候補CB山本虎(2年)、左SB西脇虎太郎(3年)、ダブルボランチが小栁一斗(3年)と芝田玲(2年)、右SH奈良岡健心(3年)、左SH高良幸之介(3年)、トップ下が小野理竜(3年)、そして1トップをエースFW小湊絆(3年)が務めた。

 一方の日大藤沢はGK岡本亜鶴主将(3年)、右SB坂口康生(2年)、CBアッパ勇輝(3年)、CB楠本爽(3年)、左SB尾野優日(2年)、ダブルボランチが野澤勇飛(3年)と宗次柊磨(3年)、右SH岡西亜憐(3年)、左SH吉田亘之介(3年)、トップ下が小柴海生(2年)、1トップに森重が入った。
 
 30分ハーフの短期決戦。日大藤沢はDFラインを高く設定し、ボールを積極的に繋ごうとする。5分には右クロスがファーへ流れたところを吉田が左足シュート。これは青森山田GK代田に阻止されたが、その後も右サイドの岡西がドリブルで仕掛けてゴール前のシーンを作り出す。

 だが、青森山田の出足の鋭い守備と迫力のある攻撃の前に押し込まれる時間帯が続いた。青森山田はクーリングブレイク後にギアチェンジ。小栁らが切り替えの速い守備でマイボールの時間を増やすと、奈良岡や小湊、高良が仕掛けてセットプレーを獲得する。そして、奈良岡のロングスローなどからゴール前のシーンを連発。27分には左クロスをファーの渡邊が落とし、走り込んだ芝田の右足シュートがクロスバーを叩く。28分には左CKから三橋が左足シュート。だが、これは日大藤沢GK岡本のビッグセーブに阻まれた。

 日大藤沢は後半開始から坂口をFW有竹翔吾(3年)へスイッチ。198cmFW森重をCB、アッパを右SBへ移行する。一方の青森山田は7分に高良とMF中川勇輝(3年)を入れ替えた。青森山田は再三セットプレーを獲得して相手に圧力を掛けるが、日大藤沢は声を掛け合いながら集中した守備。攻める青森山田、守る日大藤沢の時間帯が続く中、日大藤沢はアッパや森重を中心に空中戦で対抗し、セカンドボールを宗次らが回収して決定打を打たせない。

 逆に日大藤沢は15分、ボールを繋いで小柴が右足シュートを放ち、吉田と左SB前田俊亮(3年)を交代した後の23分にはカウンターから有竹がシュートへ持ち込む。だが、これは青森山田CB山本がブロック。その青森山田は24分に山本と小野をCB小泉佳絃(2年)とFW武田陸来(3年)、28分には芝田をMF櫻井廉(3年)と入れ替える。日大藤沢も小柴とFW岸本尚也(3年)をスイッチ。日大藤沢は我慢の時間帯が続いたが、佐藤監督が「今までだったら跳ね返せなかった。(選手間で)波長合わせられたり、主体的に1、2つ先に触ることができていた」というように最後まで踏ん張り、0-0で60分間を終えた。

 試合は1人目からサドンデス方式のPK戦へ突入。先攻・日大藤沢の森重が右足で決めたのに対し、青森山田1人目のシュートが枠を外れる。この瞬間、日大藤沢の優勝が決まった。まだまだ課題もあるが、インターハイ初戦敗退に終わった日大藤沢の選手たちにとって自信になったことは間違いない。森重は「全国レベルの戦いで優勝できたことは自分たちにも自信になったので、帰ってすぐにリーグ戦とかも始まってくるので、そこで『日藤違うぞ』と見せて選手権に出たいと思います」と意気込んだ。

 また、佐藤監督は「守備と攻撃の両方、バランスの良いチームを目指しているので。表裏一体で雰囲気のある、環境作りできる一体感を持って戦えるようにはしたいですね」。インターハイ初戦敗退の悔しさ、一体感を持って「勝つ環境作り」に取り組み、ピッチでも我慢強く戦って優勝。和倉ユースの覇者はプリンスリーグ関東昇格、そして選手権で輝くために、この夏、さらにチームを磨き上げる。

(取材・文 吉田太郎)

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