beacon

「自分たちから獲りに行く」就実が瀬戸内に5発快勝。特に効果的だった2年生MFの働き

このエントリーをはてなブックマークに追加

就実高が5ゴールで快勝。特に効果的な動きを見せた2年生MF西村大和

[9.10 高円宮杯プリンスリーグ中国第12節 就実高 5-1 瀬戸内高 就実高祇園G]

 10日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ中国は第12節を行い、就実高(岡山)と瀬戸内高(広島)が対戦。MF平野翔生(3年)の2ゴールなどによって、就実が5-1で大勝した。

 開幕から4試合は白星がなかった就実だが、第6節の広島ユースセカンド戦で初白星を奪うと以降は着実に勝ち点を積み上げ、第11節を終えた時点での順位は暫定5位まで浮上。迎えた瀬戸内との一戦も、チームの充実ぶりを示す試合運びを見せた。

 試合前の予想では技術で上回る瀬戸内にボールを持たれる展開を予想していた。前日に行った瀬戸内を想定したトレーニングもシステムの噛み合わせが悪く、前から奪えない場面が続いたが、いざ試合になるとFW森山旦冴比(2年)を起点とした高い位置でのプレスが機能。「プレスを1枚剥がせたら上手く繋げるのに、バタバタしていた」(田中健二郎監督)という瀬戸内の精神状態も相まって、相手エリアで試合を進めていく。

「相手の方が技術的に上だったので、運動量とか根性、球際、ハードワークで勝とうと思っていました。試合前は結構ヤバいのかなという雰囲気があったけど、みんなの元気で乗り切れた」。前半の展開について、そう振り返るのはMF西村大和(2年)だ。

「彼らのポテンシャルがあれば、繋ぐサッカーも出来るはず」(須田二三明監督)と夏休みの間に磨いてきた後方からのボール回しも機能し、前半30分には右CKから放ったシュートのこぼれ球をDF峰沢悠月(2年)が押し込んで先制。37分には、中央を攻め上がったDF赤熊大和(3年)からのパスで平野がゴール前へ抜け出す。そして、GKをかわし、2点目を奪った。続く42分には、高い位置で相手ボールを奪った赤熊のパスから、MF池上裕稀(3年)が決めて、3-0で前半を折り返した。

 後半に入ってからは、システムを4バックから3バックに変更し、エースのFW澤田佳憲(3年)やFW野上凌雅(3年)を投入した瀬戸内に攻められる場面が増えたが、後半10分には平野がこの日2点目をマーク。17分にも低い位置から上がったクロスを森山が頭で合わせて、リードは5点差に。終盤、瀬戸内・野上に1点を返されたが、5-1というスコアと試合内容からはチームの充実ぶりが伺える。

 勝因となったのは特に前半機能した前からアグレッシブに奪いに行くスタイル。「待ち構えるのではなく、自分たちから獲りに行く。やっていて遣り甲斐のあるサッカーだと思う」と須田監督が評する守備方法は、陣形をコンパクトに保つため、がら空きになるスペースが出て来る。そこを予測やコミュニケーション、運動量でいかにカバーできるかが鍵だ。

 この日は「中盤の3人の運動量も多くて本当によく走ってくれた」(須田監督)というように、平野、MF宗政玲桜(3年)、西村のトライアングルが“就実らしさ”である走力を活かして空いたスペースをカバー。特に効果的だったのはアンカーを務めた西村の働きで、「相手の方が上手い中、セカンドを拾えたら相手のしたい事が潰せる」と振り返る通り、アタッカー陣が前から奪いに行ったボールのこぼれ球をしっかり拾って、2次攻撃に繋げた。

 守備で鍵となる働きを見せた西村だが、元々は最終ラインから引き出したボールを左右前方へと展開するのが得意なタイプ。だが、インターハイ予選後に怪我でプレーできない間に平野らのプレーを見て学び、新たな武器を身に付けた。チームがアグレッシブな守備を志向する上で、西村の成長は大きい。

 今年、創部11年目のチームながら、プリンスリーグで着実に成果を残すなど着実に就実のチーム力は高まっている。「監督が全国に行くと強く気持ちで話をしてくれたので、ここに行こうと思いました」と話す西村だけでなく、選手の全国大会初出場にかける想いも強い。選手権予選までの残り5試合でも勢いを継続し、岡山の歴史を変えるための準備を進めていく。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集

TOP