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サボらずに守備を続け、交代出場の2年生MFが決勝点。愛媛U-18がプレミア復帰へあと1勝

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後半31分、愛媛FC U-18は交代出場の2年生MF喜安康生(左端)が決勝点

[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 愛媛U-18 1-0 長崎U-18 エディオン]

 愛媛U-18がプレミア復帰に王手――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023に参入する権利をかけた高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 プレーオフ(広島)が9日、開幕。1回戦6試合が行われた。Aブロックの愛媛FC U-18(四国/愛媛)対V・ファーレン長崎U-18(九州2/長崎)戦は、愛媛U-18が1-0で勝利。愛媛U-18は11日の2回戦で市立船橋高(プレミアEAST/千葉)と戦う。

 ともに昨年に続くプレーオフ挑戦。Jクラブユース同士の熱戦は愛媛U-18が制した。前半は長崎U-18がボールを保持する展開。12分には、FW七牟禮蒼杜(2年)が左オープンスペースへ抜け出し、クロスをMF大山晃生(3年)が左足ダイレクトで狙う。

 愛媛U-18は思うようにボールを持つことができず、なかなか守備もハマらない序盤。だが、しっかりとセットしてから守る形で対応し、相手のミスを誘う。トップ昇格のU-17日本代表MF行友翔哉(3年)が鋭いドリブル、ワンツーでゴール前に潜り込もうとしたほか、FKを繋いでゴール前のシーンも。長崎U-18は同じくトップ昇格のU-19日本代表候補MF安部大晴(3年)やCB古田東也(3年)がボールを落ち着かせながら前進し、安部、七牟禮のシュートで相手ゴールを脅かした。

 後半4分には、セットプレーから決定機。左CKのこぼれから右SB高木獅道(3年)の放った左足シュートが右ポストを叩き、跳ね返りに反応した七牟禮のヘッドがクロスバーを弾いた。12分にも右サイドからボールを動かし、最後は左中間のFW菊池陸斗(3年)が1タッチの右足コントロールショット。ボールはゴール左隅を捉えたが、愛媛U-18の189cmGK牧口一真(3年、トップ昇格)にはじき出されてしまう。

 長崎U-18は下からボールを繋いで相手のプレッシャーを剥がしていたものの、安部がハーフコートに入ったところでの崩しや最後の質の部分を悔しがったように、精度、厚みをもうひとつ向上させることができなかった。一方の愛媛U-18は小野成夢(3年)、占部天寿(3年)の両CBがカバーリング、ヘディングと安定した守備を続け、MF川口蒼友(2年)が奪い返しなどで貢献していた。その愛媛U-18は右ハイサイドを効果的に活用するなど、後半は攻撃面が向上。そして、27分に「もう一個ボールを奪いたい。もう一個自分たちの時間を作りたい。アイツがハードワークできるので」(北内耕成監督)という理由で投入されたMF喜安康生(2年)が大仕事をしてのけた。

 後半31分、愛媛U-18は喜安が獲得した右CKを川口が左足で蹴り込む。これを喜安が押し込んで先制。投入4分後に値千金のゴールを決めた背番号23は、サブ組の選手たちの下へ駆け寄り、喜びを爆発させた。

 長崎U-18は終盤、古田を前線へ上げてパワープレー。アディショナルタイムにはFKでその古田がGKに競り勝つが、シュートに繋げることができない。愛媛U-18は主力の3年生4人を欠く中、思うような展開ではなかったものの、「守備のところでサボらずに頑張ったところで運がこちらに転がったという感じですかね」(北内監督)。我慢強い戦いで運を引き寄せて1-0で勝利。19年以来のプレミアリーグ昇格へあと1勝とした。

 愛媛U-18は昨年のプレミアリーグプレーオフで静岡学園高(静岡)を追い詰めながらも延長戦の末に惜敗。北内監督は「(そこから、この1年磨いてきたことは、)攻守に渡ってのハードワーク。球際もそうですし、奪い返すところもそうですし、奪ったら出ていくというところもそうですし、きょうはまだまだ出ていないので本来の力を出せればもっと良いゲームになると思う」という。

 攻守に渡ってのハードワークで対戦相手を上回ってきた愛媛U-18はプリンスリーグ四国で無敗Vを達成し、プレーオフ1回戦を突破した。プレミア昇格を掛けた大一番の対戦相手は、同じくハードワークを強みとするプレミアリーグEAST10位・市立船橋だ。小野は「この一年間悔しい思いを持って取り組んできたので、新しいチームでここまで来たので次勝って昇格したいと思っています」。我慢強い戦いで勝利した愛媛U-18が、昨年できなかったあと1勝に挑む。

(取材・文 吉田太郎)
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