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[J-VILLAGE CUP U-18]U-17日本高校選抜は川崎F U-18に敗れ、連覇ならず。23年度選手権での活躍やプロ入りを目指す

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川崎フロンターレU-18は前半27分、10番MF尾川丈が決勝ゴール

[3.20 J-VILLAGE CUP U-18予選リーグ U-17日本高校選抜 0-1 川崎F U-18 Jヴィレッジ]

 U-17日本高校選抜はプレミアEAST王者に連覇を阻まれた。第5回 J-VILLAGE CUPU-18予選リーグ最終節でU-17日本高校選抜と川崎フロンターレU-18(神奈川)が激突。川崎F U-18が1-0で勝ち、3連勝の予選リーグ1位で決勝(21日、対大宮U18)進出を決めた。

 第101回全国高校選手権で活躍した1、2年生を中心に構成されているU-17日本高校選抜は、初戦で清水ユースと1-1ドロー。FC SKA(ブラジル)との第2節を8-0で勝利していた。一方の川崎F U-18は神村学園高に5-0、浜松開誠館高に7-0と2連勝で予選リーグ首位。U-17高校選抜が参加20チームの予選リーグ成績上位1、2位が進出する決勝へ駒を進めるためには、川崎F U-18との最終節で勝った上に、他会場の試合結果次第という状況だった。

 U-17高校選抜の先発はGK中村圭佑(静岡学園高2年)、右SB野田隼太郎(藤枝東高2年)、CB八巻涼真(浜松開誠館高2年)、CB塩川桜道(流通経済大柏高2年)、左SB市川和弥(尚志高2年)、中盤中央にMF神田拓人(尚志高2年)、MF碇明日麻(大津高2年)、MF長準喜(昌平高2年)。右SH松田悠世(桐光学園高2年)、左SH福永裕也(京都橘高2年)、最前線に今大会3得点のキャプテン、FW西丸道人(神村学園高2年)が入った。

 一方の川崎F U-18はいずれもU-18日本代表候補のGK濱崎知康(2年)、MF由井航太(2年)、FW岡崎寅太郎(2年)、そして彼らとともに主軸として昨年のプレミアリーグEAST優勝を経験している右SB江原叡志(2年)、左SB元木湊大(2年)、10番MF尾川丈(2年)らが先発に名を連ねた。

 勝つしか無いU-17高校選抜だったが、前半はバチバチの攻防戦の中でなかなかチャンスを作ることができない。尾川やMF名賀海月(2年)、由井ら個々の技術力が高い川崎F U-18にボールを保持される時間も増え、迫力のあるボール奪取から一気に攻め込むようなシーンはわずか。右の松田がタッチライン際でDFを剥がしたほか、西丸のインターセプトを起点とした攻撃からクロスへ持ち込んだが、濱崎やCB林駿佑(中3)、CB山中大輝(1年)ら川崎F U-18の守りを脅かすまでには至らない。

 前半27分、川崎F U-18が先制点を奪う。相手GKからのビルドアップを岡崎が足に当てると、こぼれ球を拾った尾川が右足シュートをゴールへ流し込んだ。U-17高校選抜は前半、塩川、八巻を中心としたDFラインが守備意識高く守っていた一方で後ろに重くなる展開。相手SB江原のスピードに乗った攻め上がりやFWの裏を突く動きに対して意識がやや後ろへ向いてしまっていたようだ。それでも、DF陣は的確な対応を見せ、神田や碇が中盤で運動量を増やして対抗。長がターン一発でDF2人をかわすなど技術力を発揮して前進し、福永とのコンビから市川がクロスへ持ち込む場面もあったが、全体的にクロス、セットプレーの数を増やせなかった。

 川崎F U-18はMF加治佐海(1年)がタイミングの良いボール奪取や仕掛けを披露。後半立ち上がりも、加治佐や岡崎、MF志村海里(2年)がドリブルからシュートへ持ち込む。それでも、U-17高校選抜は「もう少し前からいかなアカンでと言っていた」(米澤一成監督、京都橘高)という後半に押し返す。そして、前夜合流したFW山本吟侍(高川学園高2年)とMF 金城蓮央(神村学園高1年)を同時投入。前線でボールを収める山本、西丸を中心にゴールを目指し続けた。

 また、野田が対人守備の強さを示し、GK中村が岡崎の決定的な一撃をファインセーブで食い止める。1点差を維持し、MF安齋悠人(尚志高2年)を左サイドに投入したU-17高校選抜は安斎、松田の両翼の仕掛けを軸としたサイド攻撃。セットプレーを獲得し、金城のロングスローから八巻のヘッドがゴールを襲う場面もあった。

 だが、川崎F U-18は要所でGK濱崎が安定したキャッチングを見せていたほか、DF陣がシュートブロックするなど、ゴールを許さない。また、局面によっては入れ替わることも覚悟の上で球際の攻防に激しく飛び込んでいた。濱崎は「今年は攻撃だけじゃなくて守備も力を入れてやっていますし、ゴール前の守備は去年少し課題も出たので、そこを(長橋康弘)監督と選手で合わせながらプレーできていたので、シュート打たせないところ、最後逃げないというところはできていたのかなと思います」と頷く内容。U-17高校選抜はDF青谷舜(桐光学園高1年)を加え、塩川を最前線へ上げて反撃したが0-1で敗れ、決勝進出を果たすことはできなかった。

 川崎F U-18の濱崎は「(相手が高校)選抜というところで強いというのは思っていました。そこで勝てれば自分たちの自信になると思いましたし、プレミア開幕まで時間もないところで自信になったと思います」と胸を張る。一方のU-17高校選抜FW西丸は「チームとしてもだいぶ完成度が上がってきてやれる手応えもありました。(でも、)おそらく他チームの結果次第でいけるみたいなところがあって100%チームに集中できていなかった。守備メインになった時にもっとランニング増やしたり、キープする時間を増やさないとチームもキツくなっていたので足りなかった」と指摘する。

 U-17高校選抜は湘南U-18との順位決定戦(21日)へ。これが23年U-17高校選抜として最後の試合となる。今回のU-17日本高校選抜メンバーは来年の日本高校選抜候補と言える存在だが、米澤監督は合宿始動時に「このメンバーでやれるのは今回だけ」と選手たちに語ったという。1年後にプロ入りし、高校選抜の活動に参加しない選手が増えて欲しいという思いがある。「みんな上行けばそれで良いと思う。(もちろん高校選抜も大事だが、)個人のことを考えると上に行った方が良い。プロへ行く・行かないを考えたり、やってきたことが軸になって来年やってくれる期待感がある。キャラクターも良いので。チームになっていたので、新たに違う子たちが入ってきて、継承してくれれば良い」(米澤監督)

 今年、1歳年上の日本高校選抜候補合宿も経験している西丸は、U-17高校選抜について「18の方と比べて周りに合わせようとする選手が凄く多いので、やりやすくて、チームも凄く元気あって『やってやろう』という感じが凄くしていたので良いチームだったと思います」と振り返る。そして、「またここに来てプレーしたいという気持ちは凄くありますけれども、プロ行っている選手は良い意味で呼ばれていないので、自分はそっちの方で入れるようにこの経験を活かしてプロにいきたい。自分もまだまだできると思いますし、彼らは彼らで頑張ると思うので、対戦する時は自分がまた点を取ってつぶせるようにしたい」と力を込めた。23年度の高校サッカーの主役候補たちは、今回の活動で学んだことを持ち帰り、選手権での活躍やプロ入りに繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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