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5年ぶりにプレミア参戦の米子北が初白星。ホーム観衆1400人の後押し受け、静岡学園に鮮やかな逆転勝ち

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米子北高が逆転勝ち。FW愛須隆聖(左)の決勝点を喜ぶ

[4.16 高円宮杯プレミアリーグWEST第3節 米子北高 3-1 静岡学園高 どらドラパーク米子陸上競技場]

“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 WESTは16日に第3節が行われ、米子北高(鳥取)と静岡学園高(静岡)が対戦。後半に静岡学園が先制したものの、その後に3得点を奪った米子北が逆転勝利を飾った。

 米子北が当時3年の昌子源(現鹿島)、静岡学園が当時3年の大島僚太(現川崎F)を擁した2010年度の全国高校選手権1回戦で激突(静岡学園が2-0で勝利)して以来、公式戦では13年ぶりとなる対戦。立ち上がりは「うまさでは日本有数のチーム。(プレッシャーを)かわされても連続で追って、いけるところまでいこうと話していた」と中村真吾監督が語った米子北が主導権を握った。

 厳しくプレッシャーをかけて奪ったボールをFW森田尚人(3年)とFW鈴木颯人(2年)の2トップに集めるが、前半5分の森田のシュートは静岡学園のU-18日本代表候補GK中村圭佑(3年)の右足セーブに阻まれる。6分には鈴木がゴールに迫るも、これも素早く前に詰めた中村にブロックされた。

 米子北は11分にも森田が右サイドからセンタリングを送るが、またも中村が的確な対応ではじいてシュートを打たせない。24分には静岡学園の最終ラインの背後を突き、抜け出した森田が右足で狙ったものの、大きく上に外れる。

 苦しい時間帯をしのいだ静岡学園の最初のチャンスは27分で、MF志賀小政(3年)が最終ラインの背後にパス。走り込んだMF福地瑠伊(3年)が飛び出してきた米子北GK尾崎巧望(3年)よりも先に触って頭上を抜いたが、戻ってきた米子北DF樋渡蓮音(2年)がクリアした。

 静岡学園は32分にもMF大村海心(3年)がドリブルで運んで右足でミドルシュートを放ったが、上に外れて決まらず。43分にはゴール前左サイドの混戦から、こぼれ球をMF高田優(3年)が狙った左足シュートも上に外れ、前半は両チーム無得点に終わった。

 少しずつ雨が降り始めた後半は、静岡学園のボール支配率が高まったものの、米子北も伝統の堅守速攻で対抗し、双方がチャンスを作る。8分には右サイドを抜け出した米子北の鈴木が右足で狙うも、左ポストに当たって決まらず。16分には静岡学園が左サイドから攻め込み、志賀のセンタリングをU-18日本代表候補のFW神田奏真(3年)がヘッドで合わせたが、GKの正面を突いた。

 拮抗した展開から、先にスコアを動かしたのは静岡学園だった。19分、ゴール前でパスを受けた神田が、キックフェイントと切り返しで米子北の守備網を振り切り、わずかにコースが空いた瞬間を突いて左足シュート。米子北の選手に当たってわずかにコースが変わったボールがゴール右スミに決まって先制点となった。

 一瞬のスキを突かれたような失点でリードされた米子北だが、その後のピンチをしのぐと、中村監督が「1点取れば流れが変わるだろうと思っていた」と振り返ったとおり、終盤に反撃に転じる。33分、FKをゴール前に送ったこぼれ球を拾った樋渡が右足でミドルシュート。「ミートが良かったので、打った瞬間に入ると思った」という鋭い一撃がニアサイドを破り、同点とした。

 静岡学園は39分に右サイドを抜け出した神田が左サイドに送り、志賀が内側に持ち出してから右足でカーブをかけたシュートを放つも、わずかに右に外れて決まらず。ピンチを逃れた米子北は41分、ゴール前まで攻め込んでMF仲田堅信(3年)がシュート、静岡学園の選手に当たって左サイドにこぼれると、詰めていた交代出場のFW愛須隆聖(3年)が蹴り込んで逆転した。

 さらに米子北は44分にも、右からのFKをMF田村郁颯(3年)がゴール前に送り、MF上原颯太(3年)がヘッドで落としたボールを森田が合わせて3点目。同点ゴールを機にたたみかけた米子北が、鮮やかな逆転勝利を飾った。

 第1節で大津高(熊本)を5-1、第2節では横浜FCユース(神奈川)を3-1で下し、開幕2連勝スタートで首位に立っていた静岡学園は、試合終盤に崩れて初黒星を喫した。川口修監督は苦戦の要因の一つを「グラウンドが難しかった。ボコボコしていてトラップなどが慎重になり、プレースピードが上がらなかった」と挙げつつも、「ただ、気迫の部分で米子北さんの方が上だった。内容的にも完敗」とコメント。試合後は選手たちを集め、ミスの多さに触れて「今日のプレーは、どう考えてもシズガクのサッカーじゃない」と厳しく指摘しており、「これで気が付かないと。テクニックだけでサッカーはできない。ファイトする部分、球際の部分が、これまでの3試合では最も欠けていた」と課題を挙げた。

 第1節はジュビロ磐田U-18(静岡)と引き分け、第2節は大津に2-4で敗れていた米子北は待望の初勝利。中村監督が「先に失点したけれど、すごくホームの雰囲気があり、応援してもらったことが大きかった。アウェイなら同じようにはいかなかったと思う」と語ったように、この日の会場には地元の小・中・高校生などが多数来場し、公式記録で1400人の観客が詰めかけた。特に同点となった後の盛り上がりはJリーグさながら。後押しを受けた選手たちが粘り強く勝機を引き寄せ、2018年以来の参戦となっているプレミアリーグで5年ぶりの白星を挙げた。

(取材・文 石倉利英) 
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