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[関東ROOKIE LEAGUE]CB牧野歩「このルーキーで全国優勝」。市立船橋は前橋育英に2度追いつかれるも執念のドロー

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この日1得点の前橋育英高FW川村惟斗(左)に対し、市立船橋高CB牧野歩がタックルを決める

[4.22 関東ROOKIE LEAGUE Aリーグ第1節 市立船橋高 2-2 前橋育英高 時之栖うさぎ島G]

 22日、関東・静岡の強豪校の1年生が90分間ゲームのリーグ戦で力を磨く「2023関東ROOKIE LEAGUE」が開幕し、Aリーグ第1節で市立船橋高(千葉)と前橋育英高(群馬)が対戦。ともにAチームがプレミアリーグEASTで戦う両校による強豪対決は、2-2で引き分けた。

 試合は鮮烈ゴールで幕を開けた。前半5分、市立船橋MF左近作怜が左中間から中へ持ち出して右足コントロールショット。これがファーポストを叩き、ゴールラインを超えた。スーパーゴールによって、市立船橋が先制。立ち上がりにリードを奪い、雰囲気良く試合を進めた。

 だが、前橋育英は16分、FW川村惟斗が左中間での巧み身のこなしから左足シュート。この日、判断の速さとテクニックを発揮していたFWがニアへ沈め、同点に追いついた。両校は互いに攻め急ぐことなく、攻撃を組み立て直しながら丁寧にビルドアップ。サポートの距離が良く、1タッチを交えてボールを動かし合った。

 また互いに切り替えの速い攻守を見せていたが、前橋育英ボランチのMF竹ノ谷優駕スベディが一際目立つ動き。しなやかな身のこなしでセカンドボールを回収し、ボールを受けて、さばいてを繰り返す。また、体の強いSH大金怜央が右サイドでチャンスメーク。一方の市立船橋はCF蓼沼大翔が最前線で起点となり、10番MF長野恵弥がセンスのあるパス、ボールキープを見せていた。

 そして、前半43分、市立船橋は「ボールを取ったら流れで自分が上がっていって、起点になれたので良かった」と振り返るCB牧野歩が右サイドから一気に攻め上がり、スルーパス。これに反応した長野が相手DFのタイミングを外して中央へラストパスを通す。最後は蓼沼が左足ダイレクトで決め、再び勝ち越した。

 だが、前橋育英は怯まない。この日は、プレミアリーグ、プリンスリーグ関東2部、そして県トレセンのメンバー合わせて10名以上が不在。だが、「(伊藤祐介)コーチから『プレミア、国体(県トレセン)のメンバーいなくてもあんまり変わらない』と言われたので、そこで雰囲気変えて後半に挑みました」(竹ノ谷)というように、ムードを変えて残り45分間を戦った。

 立ち上がりはプレスの掛け方を変えた市立船橋に苦戦したが、疲れの見える相手を徐々に攻め立てる。市立船橋は球際で粘り強いMF森露羽安や対人守備で奮闘する左SB野地透生、右SB秋陽凪が相手の攻撃に食い下がり、GK高橋海夏の好守もあった。

 前橋育英は交代出場で迫力のあったFW佐藤輝空がゴールへ向かい、左足を振る。29分に攻撃的な右SB坪井蒼季のクロスに竹ノ谷が合わせたヘッドはポスト。だが、31分、竹ノ谷の絶妙な右アーリークロスを交代出場MF辻翔太朗が右足ダイレクトで合わせて同点に追いついた。
 
 市立船橋のリーダー、牧野は「いつも自分がチームを励ます声とかキャプテンとして出せているんですけれども、自分のミスで失点してしまったので落ち込んでしまって、あまりチームのために声とか掛けることができなかった」と唇を噛む。

 だが、次の1点を許さなかった。前橋育英のMF八木英舟や佐藤にゴールを脅かされたものの、牧野やCB藤本夏向が体を張ってゴールを死守。狙っていたカウンターは決まらなかったものの、2-2のまま試合終了を迎えた。

 粘ってドローへ持ち込んだ市立船橋の牧野は、「まずは全国大会優勝という目標があって、このルーキーで全国優勝を目指している。個人としては、この3年間は上のチームに絡みつつ、全国優勝してプロにいきたい」と力を込めた。次節はライバル・流通経済大柏高との千葉ダービー。「明日、負けたらいけない」という一戦で勝って、今後への弾みをつける。
 
(取材・文 吉田太郎)

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