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富士市立MF内木璃斗がスルーパスで先制アシスト。攻守で活躍のボランチはより”脱力”する

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富士市立高MF内木璃斗主将(3年=FCV可児出身)は攻守両面で存在感のある動き

[9.2 高円宮杯プリンスリーグ東海第10節 富士市立高 1-2 浜松開誠館高 富士市立高校G]

 富士市立高(静岡)は1-2で逆転負け。ただし、幾度も一人でボールを前進させていたCB高橋伊吹(3年)や抜群のスピードを披露したFW山崎絢心(1年)ら個性を発揮した選手が多かった。

 中でも静岡県選抜MF内木璃斗主将(3年=FCV可児出身)が、一際目立つ動き。前半29分には中盤右寄りの位置で縦パスを受けると、相手の意表を突くスルーパスでFW佐々木英貴(3年)の先制点を演出した。

 当初左へ展開するかと思われたが、狙いは間接視野に入っていたという右の佐々木へのパス。「足元に出そうと思ったけれど、CBが食いついてきたので、内側のスペースを狙いました」。咄嗟の判断で一つ内側へのパスを選択。この判断と精度が富士市立に1点をもたらした。

 左右両足でボールを扱えるMFはスルーパスや運ぶ、失わないドリブルが得意。この日は守備でも光る動きを見せていた。中盤でボールを回収し、ビルドアップやスペースへの配球。「守備では自分でボールを取りつつ、攻撃ではチャンスを作りながら絶対に失わないというのが必要」。この日、富士市立は内木を中心に前半から距離感の良いサッカーを展開。だが、追いつかれた焦りもあったか、内木は自分のミスから逆転されたことを猛省していた。

 後半34分、内木は相手のカウンターを阻止する形でインターセプト。だが、攻め返そうとしたところで相手に囲まれてボールを失い、そこから速攻を受けてPKを与えてしまった。

 杉山秀幸監督は「一人で色々することができる。頼りになる存在」と信頼する一方、「力が入ってしまうところがある」と指摘。本人もまずは良さである奪ったあとに力を抜いて失わないこと、より“脱力”を意識していくことを誓っていた。

 この日、富士市立は課題だという後半に失速してしまう部分や、決める力を欠く部分が出ての敗戦。だが、手応えを感じるような内容だった。内木は「きょうのゲームやってみて(9試合で2勝の)前期よりも全然良さが出ていたし、球際の部分とか全体的に負けずにやれていて、失ったあとの切り替えとかいつもよりも速かった」。できたことを継続し、秋冬に結果も残す意気込みだ。

「プリンスは前期では勝点を取れなかったので、自分たちのサッカーをして、点を取って勝つことにこだわって、選手権では自分たちのサッカーができずに負けてしまうことがトーナメントではよくあるので、攻撃の部分をもっと磨いていって全国目指してやっていきたい。(個人としても)プロを目指してやっているので、選手権で活躍して大学でプロになれるように」。内木は静岡県選抜の一員として出場した8月のSBSカップでは十分なアピールをすることができなかった。それでも、この日は実力を証明。“脱力”して自分の良さを出すことを改善し、プリンスリーグ後半戦や選手権で躍動する。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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