beacon

藤枝ダービーは藤枝明誠が逆転勝ち。藤枝東は連勝が6でストップ

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半42分、藤枝明誠高はMF鳥居煌正(15番)が決勝点。松本安司監督も「良く頑張ったと思う」と評したMFが先発起用に応えた

[9.23 高円宮杯プリンスリーグ東海第13節 藤枝明誠高 3-2 藤枝東高 藤枝総合]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023東海は23日、第13節を行い、暫定3位・藤枝明誠高(静岡)と同5位・藤枝東高(静岡)との藤枝ダービーは、藤枝明誠が3-2で逆転勝ちした。

 試合後、藤枝明誠の松本安司監督はマジメにコツコツと戦い、勝ち切った選手たち称賛。その一方、「ただ、勝点3を取ったというだけ。勝点3は嬉しいですけれど、後半のゲームは次に何も残らない」と厳しかった。大事にしていた前後半の立ち上がりで失点。後半は足を攣らせる選手が続出し、頑張ることで何とか乗り切ったゲームだった。

 普段、90分以下のトレーニングで力を出し切っている選手と、出し切れていない選手がいることを指摘。また、「バランス、距離がバラバラ」とチームが最も重視している部分が欠けていただけに、改善することを求めていた。

 試合は藤枝東がボールを保持する展開。前半7分、自陣深い位置でのパス交換によって相手のプレッシングを攻略すると、グラウンダーの縦パスをつける。これをFW植野悠斗(3年)が右のスペースへフリック。FW湯山大輔(2年)が一気に抜け出し、ファーサイドへラストパスを通す。MF武田陸(3年)のタッチはやや乱れたものの、立て直し、カットインから右足シュート。これが見事にファーサイドのネットを揺らし、藤枝東が先制した。

 前半途中までは藤枝東が会心の内容。GK藤崎蒼葉(3年)やDFラインから徹底してショートパスを繋ぎ、判断良く縦パスやMF野田隼太郎主将(3年)のサイドチェンジで局面を変える。技巧派レフティーMF渡辺皐(3年)が絡んだサイド攻撃の質は高く、そこから武田のクロスや湯山のスルーパスなどでチャンスを量産した。

 対する藤枝明誠は13分に左CKからMF鳥居煌正(3年)が決定的なヘディングシュート。だが、藤枝東GK藤崎がファインセーブでかき出す。26分にも右サイドからパスを繋ぎ、MF矢頭勇亮(3年)が縦への仕掛けから左足シュート。だが、これもGK藤崎に阻まれてしまう。

 それでも、前半の飲水タイムに2トップの一角を務めていたFW林賢人(3年)の立ち位置を変更。相手のキーマンである野田へのパスを制限したことで、流れは徐々に藤枝明誠へ傾いていった。

 藤枝明誠は、前線で存在感を放つ林らが相手のパスミスを引っ掛けて前進する。また、左の矢頭の鋭いドリブルが効果を発揮。そして、最前線では注目FW遠野翔一(3年)が浮き球を胸で収め、空中戦で競り勝つなど相手を苦しめる。32分には矢頭のパスで遠野が左中間を抜け出して左足シュート。これはGKに止められたが、こぼれを拾った林がターンからの右足シュートで決め、同点に追いついた。

 さらに41分、松本監督が「今年一番成長した選手だと思う。ハートが良い」と評したMF谷澤大介(3年)が左中間から仕掛けて左足シュート。間髪入れずに矢頭がドリブルからゴール前へボールを入れると、藤枝東DFのクリアがゴールに吸い込まれ、オウンゴールとなった。

 逆転した藤枝明誠は、42分にも遠野の左足シュートのこぼれを鳥居が決めて3-1。松本監督が「守から攻のところはスムーズに行っていた」というように、藤枝明誠は好守を精度、迫力のある攻撃に結びつけ、2点リードで前半を折り返した。

 藤枝東は1失点目から失速してしまい、藤枝明誠の勢いを断ち切ることができなかった。相手の変化に対し、空いたSBを上手く活用できなかったこともあって苦しい展開に。それでも、後半2分、左中間でボールを引き出した植野が相手DFとGKのタイミングを外す形でラストパスを通す。これをファーサイドの湯山が決め、1点差とした。

 藤枝明誠は中盤で攻守に利いていたMF阿部隼士主将(3年)が負傷交代。前半終盤の戦いを維持できず、徐々に守勢を強いられてしまう。藤枝東は10分、右クロスから武田、植野、武田が3連続シュート。だが、藤枝明誠守備陣の必死の守りの前に追いつくことができない。

 その後も長短のパスで相手を押し込み、前節4得点の植野のヘッドや左SB河野勇翔(3年)の左足ミドルが枠を捉えるが、藤枝明誠GK野村寛礼(3年)が対応。この後、藤枝東は怪我を抱える植野が途中交代したが、投入された選手たちが特長を出しながら反撃していた。

 だが、藤枝明誠は遠野と林が相手の脅威になり続け、ボールが入ると個の力で押し返していく。また、守備面では林が終盤も抜群の運動量を見せていたほか、松本監督が「後ろも頑張った」と評したようにCB青木壮太(3年)を中心としたDFラインや際で戦う矢澤が踏ん張って見せる。

 藤枝東は後半だけで13本のシュートを放ったが、決め切れずに連勝ストップ。後半は気の利いた動きを続ける野田やCB河西祐哉(3年)を中心に球際の強度や前への姿勢が増していたものの、相手の堅い守りをこじ開けることができなかった。中盤の要であるMF金澤駿(3年)を欠くなど主力数人が欠場したことも影響したようだ。鷲巣延圭監督は「負けちゃいけないですけれども、(ここで)負けて良かったなって、思えるようにしたいです。(勝ち続けて見逃していたことでも)見ないといけないこともある」。守備面や相手に守りを固められた際の戦い方など改善していく。

 一方、藤枝明誠は前節(対刈谷高)、シュート数17-4で1-1ドロー。この日も体力面や立ち上がりの課題が出た。林は「次の試合に活かしていかないといけないし、(次の試合への準備は)明日から始まっていると思うので、強度高くやっていきたいと思っています」。そして、目標のプレミアリーグプレーオフ進出、選手権予選突破への意気込みを語った。

「自分たちはプレミア昇格を狙っているので、プレミア昇格も意識しつつ、最後の年で絶対に選手権全国にも行きたいので、練習からもっと厳しくしてかないといけないし、やっていない選手をやっている選手がもっと言わないとチームの底上げはなっていかないと思う。試合に出ている選手がもっと声を出してあげて、チームの士気を高めて行きたいと思っています」。遠野も「今日は後半に落ちてしまったので、前後半で合わせて明誠らしいサッカーができたらと思います」。勝った中で反省。厳しさを持って目標達成へ向かう。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プリンスリーグ2023特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP