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選手権のヒーローたちが日本高校選抜選考合宿をスタート。競争だけでなく、刺激し合う活動に

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選手権決勝を戦ったMF芝田玲(青森山田高/3年、右)とDF金山耀太(近江高/3年)がボールを奪い合う

“高校サッカー部の日本代表チーム”の活動で得た刺激、経験を将来に繋げる。20日、日本高校サッカー選抜選考合宿が、静岡県内でスタートした。初日は参加した37名を4チームに振り分け、GKを含めた9対9ないし、9対9プラスフリーマンのハーフコートゲーム(10分)を3本実施。その後、メンバーを再構成してまた3本のゲームを行い、トレーニングを終えた。

 日本高校選抜は2月にNEXT GENERATION MATCH(国立)でヴィッセル神戸U-18と対戦する。その後、欧州遠征などが予定されている。今回、選考合宿メンバーには第102回全国高校サッカー選手権で優勝した青森山田高(青森)のDF山本虎主将(3年)、GK鈴木将永(3年)、DF小泉佳絃(3年)、MF芝田玲(3年)、MF杉本英誉(3年)の5人や同準優勝校の近江高(滋賀)DF金山耀太主将(3年)ら選手権のヒーローたちを中心に招集。いずれもU-17ワールドカップ日本代表メンバーの日大藤沢高(神奈川)DF布施克真(2年)、神村学園高(鹿児島)MF名和田我空(2年)、日章学園高(宮崎)FW高岡伶颯(2年)も名を連ねている。

 この日は卒業式のDF尾崎凱琉(大阪桐蔭高3年)が不在だったものの、参加した37選手が非常にアグレッシブなプレー。MF太田隼剛(市立船橋高3年)の突破からFW山本吟侍(高川学園高3年)がゴールを破り、名和田と高岡が競い合うように連続でゴールを決める。また、青森山田の選手同士が激しくボールを奪い合うようなシーンも見られた。

 加えて、MF中村健太(堀越高3年)がゴールラインを割りそうなボールに対して諦めずに身体を投げ出す勇気のあるプレー。青森山田の選手たちやMF神田拓人(尚志高3年)、MF松田悠世(桐光学園高3年)ら昨年のU-17日本高校選抜経験者が中心になってゲームを進めようとしていた一方、金山や太田、連続ゴールを決めたMF吉田裕哉(明秀日立高3年)、FW臼田成那(明桜高3年)といった代表、高校選抜歴のない選手も負けじと自分自身をアピールしていた。

 他にも存在感を示した選手たちが多く、メンバー選考の難航が予想されるような初日だった。指揮を執る米澤一成監督(京都橘高)は「(この選考合宿へ向けて)きちっと動いてくれてたんやろうなっていうのは感じたので。いい意味で(選考が)難しいです」とコメント。また、指揮官は同じく全国から集まったユースレフリーが主審・副審を務めたことが、試合をより引き締めた要因に挙げていた。

 4日間の選考合宿でメンバーは38名から、一旦23名にまで絞られる。ただし、米澤監督は「ここで漏れた子でも、次活躍してる子はいっぱいるので。高体連の代表(候補)に選ばれること、そこに参加することが、僕は彼らのステータスというよりは刺激になるんちゃうかなと思ってるんですね。(今回の合宿で)各チームのいい奴らが集まって、お互いに刺激する、『こんなやつおるんや』っていうのが、みんなのいい刺激になればなと思います」と語る。

 そして、「(大学進学し、プロを目指す高校3年生は)この4年間、『こんなヤツおったっていうのを鮮明に覚えていてもらって、切磋琢磨して日本のために活躍してくれたらなっていう風に思ったりはします」。日本高校選抜メンバーに選ばれても、選ばれなくてもこの合宿で刺激を受けて、次の1年や大学4年間、そして将来に繋げてくれることを期待した。

 選手たちも貴重な経験を糧にする意気込みだ。金山は「いいものは吸収して、しっかり自分の成長に繋げていきたい。自分、まだまだ声出してないですし、一人ひとりの意識っていうところは本当に見習っていかないといけないなと思います」と語る。もちろん、メンバー入りを果たしてより多くの経験を積むことも選手たちの目標だ。山本は「本当に自分のプレーに自信持ってやんないと生き残れないということは一番思ったんで、本当に弱気になることなく、本当に強気でプレーして、次、人数絞られますけど、そこにもしっかり入っていけるようにしたい」と力を込めた。21日は大学生との練習試合を実施。それぞれがアピールし、学ぶ戦いにする。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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