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「強い」青森山田が2年ぶり4回目の選手権制覇!プレミアリーグとの2冠達成!

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青森山田高が4度目の選手権制覇!

[1.8 選手権決勝 青森山田高 3-1 近江高 国立]

 青森山田が高校日本一! 第102回全国高校サッカー選手権決勝が8日に東京・国立競技場で行われ、青森山田高(青森)と近江高(滋賀)が激突。青森山田が3-1で勝ち、2年ぶり4回目の優勝を果たした。青森山田はプレミアリーグファイナルでも優勝しており、高校年代2冠を達成している。

 青森山田はMF松木玖生(現FC東京)らを擁して3度目の優勝を飾った21年度大会以来、2年ぶり7回目の決勝進出。プレミアリーグとの2冠を懸けた決勝の先発はGK鈴木将永(3年)、4バックは右SB小林拓斗(3年)、CB小泉佳絃(3年)、CB山本虎主将(3年)、左SB小沼蒼珠(2年)。中盤はアンカー気味の菅澤凱(3年)と芝田玲(3年)がダブルボランチを組み、トップ下が福島健太(3年)、右SH杉本英誉(3年)、左SH川原良介(3年)、そして1トップは4得点で得点ランキング2位のFW米谷壮史(3年)という不動の11人先発を務めた。

 一方、近江は前回大会まで2回戦が最高成績。「~Be Pirates~(海賊になれ!)」を合言葉とする“滋賀のパイレーツ”は3度目の出場となった今大会、インターハイ優勝校の明秀日立高(茨城)やタレント軍団の神村学園高(鹿児島)を破るなど躍進を遂げ、初の決勝進出を果たした。05年度の野洲高以来、滋賀県勢18年ぶりの優勝を懸けた決勝のGKは山崎晃輝(2年)、3バックは安田旭(3年)、西村想大(3年)、金山耀太主将(3年)。2ボランチは西飛勇吾(3年)と川上隼輔(3年)。右WB鵜戸瑛士(3年)、左WB廣瀬脩斗(2年)。2シャドーは山門立侑(3年)と浅井晴孔(3年)で、1トップに小山真尋(3年)が入った。

 立ち上がりから相手に圧力をかけて得点を奪い切る青森山田に対し、近江が序盤を凌げるかが一つのポイントと見られていた。その中で近江はスムーズな入り。自陣で奪ったボールを簡単には蹴り出さず、パスを繋ぎ、鵜戸のドリブルなどで前進する。

 青森山田は前半11分にこの日初のロングスロー。右サイドから小沼が投げ込むも、近江GK山崎が飛び出してキャッチする。近江は守りの要である西村や準決勝の左WBからこの日は3バックの一角に入った金山のカバーリングなどによって、相手に決定打や連続攻撃を許さない。

 そして、得意とするドリブル、ショートコンビネーションにチャレンジ。だが、青森山田は菅澤の力強いインターセプトや大会屈指のCBコンビである小泉と山本、また小林を中心に堅い守り。18分には速攻から杉本の右クロスを米谷が右足で狙うなど、人数を掛けて攻める相手を幾度かひっくり返し、カウンターを打ち込んだ。

 近江も数的同数のようなピンチで青森山田の仕掛けを食い止めるなど、簡単には得点を許さない。それでも、青森山田が拮抗した展開を動かす。33分、山本のインターセプトから芝田が右の杉本へさばく。そして、杉本が斜めのパスを中央へ差し込むと、福島がコントロールからの右足シュートを決めた。

 同じく優勝を懸けたプレミアリーグEAST最終節でも先制点を決めている福島のゴールで青森山田がリード。近江も44分、西から山門を経由してDFのギャップへ走り込んできた浅井へボールが通る。だが、左足シュートは青森山田CB山本がブロック。青森山田が近江のドリブル、パス交換を十分に出させず、1-0で前半を折り返した。

 近江は後半開始から小山に代えてMF山本諒(2年)を最前線へ投入。また金山と廣瀬のポジションを入れ替えて反撃に出た。その近江が開始直後に追いつく。2分、中盤で前を向いた浅井がドリブルで1人、2人と外して前進。そして、右中間を突いた金山へスルーパスを通す。金山が平行のラストパスを入れると、最後は山本が右足でゴールへ押し込んだ。

 完璧な崩しで同点。だが、青森山田がギアを上げる。相手を押し込み、小沼のクロスなどからゴールへ迫る。そして後半15分、GK鈴木のロングキックから中央にいた川原が1タッチのスルーパス。これで米谷がDFラインの背後を取る。最後は1対1となったGKをかわし、右足でゴールへ流し込んだ。米谷の得点ランキング首位タイへ浮上するゴールで2-1。近江は廣瀬とDF 川地一颯(3年)を入れ替え、巻き返そうとする。

 だが、青森山田が次の1点を奪う。25分、相手CKからセカンドボールの攻防を制した杉本が独走。敵陣中央まで運んで左の川原へさばく。右中間でリターンを受けた杉本がゴール方向へ蹴り入れたボールが相手オウンゴールを誘って3-1。青森山田はさらに杉本のインターセプトからのロングカウンターや芝田のスペースへ侵入するドリブルなどから追加点のチャンスを作り出す。

 青森山田は33分、川原と福島に代えてMF谷川勇獅(2年)とMF後藤礼智(3年)をピッチへ送り出す。また40分には杉本とFW津島巧(3年)をスイッチ。近江は36分に浅井とFW荒砂洋仁(3年)を入れ替えた。
 
 30年近く指揮を執った黒田剛前監督(現町田監督)から22年11月にバトンを受けた正木昌宣監督の下でも青森山田がやるべきことは変わらない。終盤も走り、戦う青森山田が攻勢を継続。45+2分には米谷と小沼に代えてMF齊藤和祈(3年)とMF別府育真(2年)を投入した。そのまま3-1で勝利。“高校年代のラスボス”と評された青森山田が強さを見せつけ、55,000人超の観衆の前で高校日本一に輝いた。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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