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[新人戦]浜名が宿敵・藤枝東に雪辱勝利。公立の伝統校が静岡連覇に王手

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公立の伝統校、浜名高が静岡決勝進出

[1.27 静岡県高校新人大会準決勝 浜名高 2-1 藤枝東高 愛鷹多目的競技場]

 浜名が宿敵撃破。27日、令和5年度静岡県高等学校新人体育大会サッカー競技準決勝が沼津市の愛鷹多目的競技場で開催され、浜名高藤枝東高に2-1で勝利。2連覇をかけ、28日の決勝で静岡学園高と戦う。

 浜名が選手権予選で3年連続敗れていた藤枝東に雪辱勝利だ。21年度準々決勝で0-3、22年度準決勝は延長戦の末に1-3、そして23年度準決勝は0-1で3連敗。「でも、近づいてはいると、自分たちで思っていた」(内藤康貴監督)という相手に借りを返した。

 守備の時間が長くなった浜名だが、先行する形で試合を進められたことも大きかった。前半13分、相手のわずかな隙を突く形でFW津田廉大(2年)が抜け出し、最後はこぼれ球をMF鈴木士道(1年)が右足でゴールへ流し込む。エースFW川島琉之亮(2年)を怪我で欠く浜名がリードを奪った。

 安易に失点してしまった藤枝東だが、切り替えて反撃する。14分にはMF泉孝太郎(1年)の右足ミドルがクロスバーをヒット。鷲巣延圭監督が「線は細いけれどフィジカルで負けることがそんなにない。やれていたのはこの大会の発見の一つ」と評したMF長島悠真(2年)が中盤でボールを刈り取る。

 切り替えの速い守備からボールを保持して相手を押し込んだが、浜名も負けていない。奪い返したボールをMF野澤康佑主将(2年)が収め、相手守備のタイミングをズラして前進。技巧派レフティーが攻撃面で違いを生み出すなど呑まれずに試合を進めていた。

 藤枝東は新エースのFW湯山大輔(2年)や泉がその攻撃力で相手ゴールへ迫る。だが、押し込みながらもなかなか決定打を放つことができず、鷲巣監督は「バイタルに入っていくアイディアがもっと必要だと思います」と指摘。それでも前半40分、左利きの10番MF柳川結飛(2年)の左CKを、この試合で復帰したCB村上樹主将(2年)が頭でゴール右へ流し込んだ。

 1-1。藤枝東は相手に攻め返されても村上のカバーリングなどで封鎖。だが、再び浜名が次の1点を奪う。後半8分、中央でこぼれ球に反応したCB小島一輝(2年)がダイレクトでゴール方向へボールを蹴り込む。フワリと舞ったボールはGKの頭上を越えてそのままゴールイン。「(シュートというよりは)中に放り込もうと思って。良いところに当たったので、もしかしたらと思いました。めちゃくちゃ嬉しかったです」。昨年の優勝を知るCBはCB松本遼(2年)とともに前へ出る守備でも貢献していたが、攻撃面でも大仕事をしてのけた。

 それでも、藤枝東は左利きのCB逢坂峻(2年)とCB村上からボールを正確に繋ぎ、後半に右から左サイドへ移行したMF藤井有志(2年)が鋭いドリブルを連発。1対1では止まらないような動きを見せていた。

 一方の浜名はサイドの攻防で後手に回る時間も長かったが、SHが献身的にプレスバックを続けるなど人数を掛けた守り。また、中央では運動量豊富なMF縣大翔(2年)が奪い返しやセカンドボールの回収で貢献し、「1人ずつ攻略していく」(内藤監督)攻撃に持ち込もうとする。その縣や野澤が中央でマークを外して相手を後退させると、そのスルーパスからMF鈴木恭慈(2年)らが決定的なシュートへ持ち込んでいく。

 藤枝東は25分、村上の縦パスから前を向いた湯山の右足シュートが右ポストをヒット。余裕のあるタッチで攻撃に係る柳川や泉が崩しに係わり、38分には藤井の突破から決定機を作り出す。だが、浜名DF陣がゴール前でシュートを連続ブロック。縣は「藤枝東は3年間ぐらいずっと負けていたんですよ。その先輩たちの分の借りが返せたし、結構自信には繋がったと思います」と微笑む。勝利への執念と粘り強さも発揮した浜名が、藤枝東を乗り越えた。

「こういう試合をたくさんやりたいなと思っていたので凄く、嬉しいです」と浜名・内藤監督。チームは昨年12月の参入戦を突破し、今年は15年ぶりにプリンスリーグ東海へ復帰する。そのシーズン前に同じプリンスリーグ勢の藤枝東やプレミアリーグ所属の静岡学園と対戦し、スピード感や強度を体感できるのは大きい。
 
 ただし、スタッフ、選手たちに満足感はない。野澤は「やっぱりこういう試合でも自分たちのサッカーっていうのを出していかないといけないと思うんで、そこはここからの課題です」。決勝は昨年勝利している静岡学園との再戦だ。内藤監督は「待って、受けてっていう戦い方は嫌なので、ブロック敷くとか、そういうのはもう一切するつもりないので、前から行って行ってってことを行き続けられるかどうか」と引かずに前へ出て戦う考え。そして、距離感良く、より多くのパスを繫いでゴールを奪い、再び勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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