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高い技術と抜群の予測力で攻守両面において効き続ける存在へ。昌平MF大谷湊斗は「結果を残せる」ボランチ像を確立する

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高い技術で大学生と渡り合った昌平高MF大谷湊斗(2年=アメージングアカデミー出身)

[1.22 練習試合 U-17日本高校選抜候補 1-4 東京国際大]

 1年生の頃からとにかく上手い先輩たちに囲まれて、自分の立ち位置を手に入れようと奮闘してきたのだ。確固たる自信を纏っていないはずがない。だからこそ、今度はそれをチームメイトに還元し、グループを牽引し、勝利に導く役割を担うことを求められていることも十分すぎるほどにわかっている。

「今年はもう(長)準喜もいないので、自分がリーダーシップを取ってやらないといけないですし、守備も攻撃も両方やりたいです。そこから最終的には高校選抜に入って、年代別代表やプロも目指していきたいですね」。
 
 昌平高(埼玉)で存在感を示し続けてきた、2024年の主役候補。MF大谷湊斗(2年=アメージングアカデミー出身)は今まで以上に向ける視線の位置を高いところに置いて、高校最後の1年へ挑んでいく。


「呼ばれた時は嬉しかったですし、自分は全然やれると思っていたので、自分のプレーも今のところは結構出せているんじゃないかなって、でも、もっとゴールに向かって、得点して、結果を残したいですね」。モチベーションに満ち満ちていた。U-17日本高校選抜候補の選考合宿に臨んだ大谷のことだ。

 2日目は日本体育大、3日目は東京国際大と対峙したトレーニングマッチでも、大学生を向こうに回して得意のドリブルで推進力を発揮すれば、守備でも球際に厳しく寄せてボール奪取するシーンも。さらに自信を持っている空中戦にも果敢に挑んでいく。

「年齢は関係ないので、自分のプレーをしっかり出したところを評価してもらいたいです」。一度ピッチに立てば、相手が上級生であろうと、それこそ大学生であろうと、怯むつもりなんて微塵もない。自分の力でここまで高いレベルの競争を生き抜いてきた自負が、短い言葉の中に滲む。


 昌平では攻撃的なポジションを任されながら、なかなか完全に定位置を掴むまでには至らなかった昨シーズンの大谷が、一気に存在感を高めたのはリーグ戦も終盤を迎えていたタイミング。自分と同様に1トップ下やサイドハーフを務めていたMF長準喜(3年)とドイスボランチに固定され始めてからだ。

「ボランチは楽しいですね。自分もボールを触りたいタイプなので、後ろからボールを持てますし、パスもできて、ドリブルもできて、楽しいポジションです」。攻撃時に発揮するその高いスキルはさることながら、守備面でも予測の速さは抜群。セカンドボールをさらりと回収し、すぐさまアタックに繋げていく才覚も際立っている。

 同じタイミングでコンバートされた長準喜のプレースタイルには、大いに参考になる部分があったという。「準喜はバランスも取ってくれますし、守備でも攻撃でも助けられる部分は多かったので、メチャクチャやりやすかったですし、一緒にできて楽しかったですね。準喜は前への推進力が凄いので、自分も個人で打開できるような選手になりたいですし、ゴールに向かうことはより意識してやっています」。

 主にボランチで出場した高校選手権も、大事な経験を積む機会になった。「プレミアとはまた全然違う大会でした。凄く良い環境で試合ができますし、たくさんの人に見てもらえて楽しかったですね。緊張は全然しないので(笑)」。2回戦の米子北高戦では、右サイドでの粘り強いドリブルが劇的な同点ゴールの起点にもなるなど、攻守両面で一定の手応えを掴む。

 迎えた準々決勝。国立のピッチを懸けて激突した青森山田高は、やはり強かった。「技術では勝っていたと思うんですけど、フィジカルもプレーの速さも含めて、負けていたのかなと。失点するタイミングも早かったので、それがなかったらまだ勝負になったのかなとは思いますけど、強かったですね」。

 改めて強烈な基準を突き付けられたことで、目指すべき理想像もアップデートされた。「選手権以降は練習の質のところだったり、強度の部分も含めて、チーム内でも『もっとやっていこう』ということになりましたし、個人としても1人で局面を変えられる選手になって、しっかり結果を残して日本一になりたいと思っています」。そのためにシーズンの最初に組まれた選抜合宿でも、あらゆることを吸収しようという成長欲はプレーの随所に垣間見えた。


 2024年シーズンも、日常を戦う舞台は世代最高峰のプレミアリーグEAST。1年間そのレベルを体感したからこそ、チームとしても、個人としても、やるべきことは昨シーズン以上にはっきりしている。

「今年は準喜もいなくなって、自分でやらなきゃいけないことも増えると思いますし、責任を持ってチームを勝たせたいです。アシストはまあまあできたんですけど、やっぱりゴールの方が大事ですし、去年は外してしまったシュートもいっぱいあったので、そこの決定力も上げていって、ポジションとか関係なく、どんどん点を獲って、結果を残したいです」。

 これから先の未来を考えても、2024年は間違いなく勝負の1年。チームを逞しく引っ張りながら、確かな結果で自分の価値も高めてみせる。昌平の絶対的な中心軸へ。大谷が頼れる仲間たちと踏み出していく新しいシーズンは、もうすぐその幕が上がる。

(取材・文 土屋雅史)
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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