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[新人戦]目標は4冠。勝ちにこだわりながら成長の東海学園、延長戦を制して愛知決勝進出

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延長開始すぐに生まれたFW浅野颯太(15番)の決勝点を東海学園高の選手たちが祝福

[2.10 愛知県高校サッカー新人大会準決勝 東海学園高 2-1 中部大春日丘高 CSアセット港サッカー場]

 令和5年度愛知県高等学校サッカー新人大会の準決勝が10日に行なわれ、東海学園高と中部大春日丘高が激突。延長戦の末、東海学園が2-1で勝利し、12日に行なわれる決勝へと駒を進めた。

「今年は4冠を達成することが目標。リーグ戦、選手権、新人戦、インターハイ全部取りたい」。DF宝田遼平(2年)がきっぱりと言い切ったように、今年の東海学園はとにかく結果にこだわっている。「前へ前へ行きすぎて見苦しい部分はあるかもしれない」と鶴田道弘監督が苦笑いする通り、華麗さよりも目指すのはゴールと勝利。そうした勝ちへのこだわりが感じられるゲームだった。

「もう少し落ち着かせることができれば良いけど、今はそれよりも自分たちがやれることをやろうとしている。自分たちのスキルで難しいのなら同サイドで行っても良いと伝えていた」。鶴田監督の言葉通り、序盤から東海学園はボールを持ったらサイドと相手の背後へのボールを徹底。守備でも高い位置でのプレスを徹底し、相手陣内で試合を進めていく。

 前半半ばまではシュートまで行き切れない場面が続いたが、前半22分には右サイドで仕掛けたMF藤田凜(2年)が左足でゴール前にクロス。後方から上がったDF早田廉(2年)が頭で合わせ、幸先の良いスタートを切った。

 後半は「ボランチが拾えるようになって、全体の繋がりが良くなった」(鶴田監督)。縦に素早く入れたボールのこぼれ球をMF諸木愛大(2年)、尾崎壮(1年)が高い位置で回収。素早く二次攻撃に転じると、後半9分にはスルーパスからゴール前を抜けたFW廣川拓海(1年)がシュートを放った。また、23分には廣川が競ったロングボールのこぼれ球をFW江藤遼馬(2年)が拾ってゴール前に持ち込んだが、追加点には至らない。

 対する中部大春日丘はDF陣を中心に体調不良者が出た影響もあり、前半は後ろからビルドアップしようとしてもボールが落ち着かなかった。ただ、要所では通用する部分も多く、「選手たちはハーフタイムに帰ってきても『十分戦えているから落ち着いてやろう』と言っていた」と木戸正人監督は振り返る。

 攻撃のギアを入れた後半は、「気持ちの強い選手で向上心もある」(木戸監督)という184cmFW長屋昂成(2年)を起点にチャンスを伺う。すると、27分にはPA内で長屋が倒され、PKを獲得。自らが冷静に決めて試合を振り出しに戻すと、そのまま延長戦に持ち込んだ。
 
 このまま一気に逆転まで持ち込みたい中部大春日丘だったが、東海学園はそう簡単に勝たせてくれない。延長前半2分、リスタートの流れから左サイドのMF北川翔太(2年)がクロスを上げると、途中出場のFW浅野颯太(1年)がヘディングシュートを決めて再び東海学園がリードを手にした。終盤は中部大春日丘がGKを上げてパワープレーに出たが、東海学園はDF百崎蒼太(2年)と宝田のCBが冷静に対処。2-1での逃げ切りに成功した。

 例年の東海学園はインターハイのシード権を獲得する新人戦ベスト4を目標にしているが、今年は「とにかく冠が獲りたい。絶対に獲るぞと言っている」(鶴田監督)。2010年以降、インターハイと選手権でコンスタントに全国大会へと出場してきたが、2020年度の選手権以降は檜舞台までたどり着けていない。「もう1回歴史を塗り替えるためにも、スタートが大事。勝つというのはこういう事かと掴み取って欲しい」と鶴田監督は口にする。

 理想とするスタイルはあるが、今は選手がやれることを徹底し、勝ちにこだわっている。今大会での勝ち上がりによって掴む物は多く、宝田はこう話す。「厳しい試合が多い中でも勝ち切れているので自信になっている。課題をどんどん見つけて、埋めていく練習ができているので、自信が付いている。一人ひとりが成長している」。

 中京大中京高と対戦する決勝も難しいゲームになるのは間違いないが、東海学園が再び持てる力を最大限発揮できれば一つめのタイトルが見えてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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