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[新人戦]団結して戦った國學院栃木が選手権予選に続き、栃木決勝進出。MF高橋遙希主将の追撃弾など大一番でも自分たちの技術を発揮

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後半8分、國學院栃木高MF高橋遙希が右足シュートを決めて1点差

[2.10 栃木県新人大会決勝 矢板中央高 3-1 國學院栃木高 栃木グ]

 22年ぶりに県決勝へ進出した選手権予選に続き、新人大会でも県決勝へ進出。優勝には届かなかったものの、國學院栃木高は決勝で自分たちの戦いを見せた。

 選手権予選決勝の再戦となった矢板中央高戦。前半は相手の圧力の強さに苦しんだ。GK、最終ラインから丁寧にボールを繫いでいたものの、相手のプレッシャーを受けてボールを失う回数が増えてしまう。

 抜群のキープ力を見せるMF高橋遙希主将(2年)とタイミング良くボールを引き出すMF斎藤旺雅(2年)の2シャドーが係ると、攻撃が好転。「Bチームからのし上がってきた」(中田勇樹監督)というFW高橋力駆(2年)の思い切りの良いシュートや、MF関優太(2年)の左足FKで相手ゴールを脅かした。

 セットプレーで失点するなど前半は0-2。それでも、「『ビビらず、自分たちの持ち味のボールを失わない技術を出そう』とみんなで話して臨めた」(高橋遙)という後半は國學院栃木が特長を発揮し、会場を沸かせた。

 チームを勢いづけたのは、主将のファインゴールだった。後半8分、左SB池葉颯大(2年)からのパスを受けた高橋遙は、「前向いた瞬間、『ここは行くところかな』って自分で判断して『勝負してやろう』と思った」と左中間からドリブル突破。飛び込んできたDFを1人、2人とかわして右足を振り抜く。これがゴール左に決まり、1点差となった。

 シャドーからポジションを一つ下げた高橋遙や斎藤、関、突破力に優れた右SB川原來愛(1年)がボールに触れる回数を増やして前進。コンビネーションでの崩し、クロスへ持ち込んだ。高橋力がDFと入れ替わってシュートを撃ち込んだのをはじめ、同点のチャンスを創出。だが、ゴール前で粘り強い矢板中央DF陣にボールをかき出されるなど1点が遠かった。

 後半アディショナルタイムの失点によって1-3で敗戦。高橋遙は「僕たちはメンバーがガラリと代わりましたし、全然力もないんですけれど、今の3年生がいいものを残していってくれたんで、そこにプラスアルファして、より良いものにして、これから選手権、インターハイ狙って必ず全国行きたいです」と力を込めた。

 栃木県は縦に速いサッカースタイルのチームが多いと言われる中、ドリブルを交えてゆっくりとボールを動かし、崩す戦い方にこだわってきた。年々積み上げてきたチームは、選手権予選に続いて新人戦でも県決勝進出。また、高橋遙は「サッカー面はもちろんなんですけど、学校生活の部分とか、人として社会に出た時とかに活躍できるような人間作りとかもうるさく言ってくれて、色々な指導をしてくれるんで、サッカー面以外にも、その人間としての指導が物凄くありがたい」と恩師・中田監督の存在に感謝する。

 國學院栃木は今年1月22日に同校OBであり、G大阪などで活躍した武井択也氏のサッカー部新監督就任を発表。J1でプレーした元プロ選手が栃木県内の高校を率いることは初ということもあって話題となった。だが、選手、保護者は「(高校からの説明がなく)ネットニュースで知った」一報に大きく動揺。新人大会は、現体制への思いを込めて一体となって戦ったという。

「中田監督と一緒にこれからもサッカーして、いいサッカー作って全国へ行きたいです。新人戦、(未定だが)中田さん最後とか記事で出されていたんで、絶対優勝したいっていう気持ちが自分たちの中であって、2年生中心に立ち上がって、みんなで団結して、ミーティングも何度か重ねて、必ず優勝しようってことで。結果、準優勝だったんですけれど、(決勝の)後半の途中までは頑張って戦うことができました」と高橋遙は選手たちの思いを代弁する。

 団結して新人大会を戦い抜いたチームは、大目標達成を目指す。「みんなで協力して面白いサッカーして、栃木のサッカーの歴史を変えるようなサッカーをして、全国大会に必ず出場したいです」。日常から自分たちで考えるサッカーに取り組んできた國學院栃木は今大会で出た課題を改善し、より強くて魅力のあるチームになる。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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