「僕はヴィッセルが大好きなんです!」 クラブ愛を公言する守護神。神戸U-18GK亀田大河がトップチームで知った明確な“基準”
[2.17 NEXT GENERATION MATCH 神戸U-18 0-1 日本高校選抜 国立]
そもそも大舞台に臆するようなメンタルなんて持ち合わせていない。その立つステージが大きければ大きいほど、見てもらえる観衆が多ければ多いほど、研ぎ澄まされた感覚で好セーブを繰り出せる自信は、間違いなくある。
「これだけ応援される中でプレーするのはほとんど初めてだったので、メチャメチャ嬉しかったですし、メチャメチャ楽しかったです。国立でやるのも初めてで、スタジアムも凄く大きくて、いつもにはない緊張感もありましたし、思ったより自分のプレーができたのも良かったです」。
1年生だった昨シーズンからタレント集団のゴールマウスを託されてきた、強心臓を誇るヴィッセル神戸U-18の守護神。GK亀田大河(1年=ヴィッセル神戸U-15出身)がチームにもたらす安定感は、今まで以上に際立ち始めている。
日本高校選抜と対峙する「FUJI FILM SUPER CUP 2024 NEXT GENERATION MATCH」。会場は日本サッカーの聖地・国立競技場。この一戦を楽しみにしていた亀田は、試合が始まるとその雰囲気に高揚感を隠せない。
「前半は無失点で終われましたし、ディフェンスラインもしっかりコントロールしていたので、守備陣は安定してできていたと思います。全体的に去年から出ている選手が多かったので、いつも通りという感じでした」。DF山田海斗(2年)とDF茨木陸(2年)のセンターバックコンビと構成するトライアングルは、昨シーズンのプレミアリーグから熟成させてきたもの。相手の勢いを冷静に削いでいく。
前半19分には右サイドを崩され、枠内へ収められたフィニッシュに丁寧なキャッチで対応すると、30分と38分にも相次いで打たれたシュートも、きっちり正面でキャッチ。全体の状況を把握し、事前に取っていた正確なポジショニングが光る。
「後半は相手のフォワードの選手も速い選手に代わって、前からプレスを掛けてきたので、ちょっと自分も慌てる場面があったんですけど、中盤の選手が声を掛けてくれているので、改善はできていたなと感じました」。ハーフタイムを挟むと、相手にリズムを掴まれる流れの中でも、前半同様に高い足元の技術でビルドアップにも積極的に参加。攻撃の起点としての役割も全うする。亀田は後半30分に途中交代。チームはそこから1失点を喫して0-1で敗れたものの、一定以上のパフォーマンスを披露した背番号1は及第点の出来だったと言って良さそうだ。
亀田にとって神戸U-15で臨む最後の大会となった、高円宮杯JFA第34回全日本U-15サッカー選手権大会で優勝を成し遂げ、日本一を知るGKとしてU-18へと昇格した昨シーズンは、プレミアリーグWESTの第4節でスタメンに抜擢されると、以降はすべてのリーグ戦の試合に出場。「大舞台というのは結構やってきているので、緊張より楽しさが強かった感じでした」と年代最高峰の舞台を楽しみつつ、腕を磨き続けた。
ただ、小さくない収穫も感じながら、同時に難しい時期を過ごしていたこともあったそうだ。「去年のプレミアではリーグ戦で最少失点やって、それは今年も続けたいですけど、去年は試合の中で得意なキックという武器があまり出せなかったので、スランプ気味にもなっていたんです」。
それでもプレミアのラスト5試合はすべてクリーンシートを達成。「スランプの時に(安部雄大)監督が信用して使い続けてくれたので、いっぱい経験を積めた恩返しという意味でも、今年は自分の武器をいっぱい使って勝利に貢献したいですし、もう2年生になるので、チームを引っ張っていけるような存在になりたいなと思います」。我慢強く起用してくれた指揮官やスタッフのためにも、今季は中心選手として今まで以上にチームを牽引していく準備も整っている。
まだ1年生だった昨季から、既にトップチームの練習に参加する機会に恵まれており、今季の沖縄キャンプにも帯同。J1のディフェンディングチャンピオンで主力を張るフォワード陣から、日常ではなかなか得られない“感覚”を突き付けられたという。
「サコさん(大迫勇也)もヨッチくん(武藤嘉紀)も(宮代)大聖くんも、フォワードは全員凄いんですけど、特に大聖くんのシュートは次元が違うというか、スピードと威力が今まで受けてきたシュートとはまったく違って、『アレを止めなあかんねんな』『アレを止めるのがプロなんか』と痛感させられました」。到達すべきレベルはハッキリした。彼らのシュートを止められるかどうか。基準は明確過ぎるぐらい明確だ。
GKとして参考にしている選手は2人いるという。「チームとしてはヴィッセルとバルセロナが好きなので、もちろん(前川)黛也さんはずっと見ていますし、テア・シュテーゲンのキックに憧れて僕もキックを磨いてきたので、今日もですけど、いつも試合前にはテア・シュテーゲンのキックと黛也さんのシュートストップの動画を見ていますね。その2人をずっと憧れにしてやっています」。目指すはテア・シュテーゲンと前川黛也のハイブリッドといったところだろうか。
口を衝いたヴィッセル愛も印象的だ。「僕はヴィッセルが大好きなんです!チームに入ったのはジュニアユースからですけど、スクールには小1から通っていましたし、大好きですね。去年もトップチームに何度か練習に行ったんですけど、その時はケガをした人の穴埋めが多かったので、今度は実力で行けるように頑張りたいですし、やっぱりヴィッセルでトップに上がりたいです」。
好セーブを繰り出せる自信は、間違いなくある。ここからはそれを確信に変えていく作業を推し進めていくだけ。神戸U-18のゴールに鍵を掛ける、左利きの護り人。亀田大河が力強く描いていく成長曲線は、その努力を止めない限り、どこまでもしなやかに伸び続けていくはずだ。
(取材・文 土屋雅史)
そもそも大舞台に臆するようなメンタルなんて持ち合わせていない。その立つステージが大きければ大きいほど、見てもらえる観衆が多ければ多いほど、研ぎ澄まされた感覚で好セーブを繰り出せる自信は、間違いなくある。
「これだけ応援される中でプレーするのはほとんど初めてだったので、メチャメチャ嬉しかったですし、メチャメチャ楽しかったです。国立でやるのも初めてで、スタジアムも凄く大きくて、いつもにはない緊張感もありましたし、思ったより自分のプレーができたのも良かったです」。
1年生だった昨シーズンからタレント集団のゴールマウスを託されてきた、強心臓を誇るヴィッセル神戸U-18の守護神。GK亀田大河(1年=ヴィッセル神戸U-15出身)がチームにもたらす安定感は、今まで以上に際立ち始めている。
日本高校選抜と対峙する「FUJI FILM SUPER CUP 2024 NEXT GENERATION MATCH」。会場は日本サッカーの聖地・国立競技場。この一戦を楽しみにしていた亀田は、試合が始まるとその雰囲気に高揚感を隠せない。
「前半は無失点で終われましたし、ディフェンスラインもしっかりコントロールしていたので、守備陣は安定してできていたと思います。全体的に去年から出ている選手が多かったので、いつも通りという感じでした」。DF山田海斗(2年)とDF茨木陸(2年)のセンターバックコンビと構成するトライアングルは、昨シーズンのプレミアリーグから熟成させてきたもの。相手の勢いを冷静に削いでいく。
前半19分には右サイドを崩され、枠内へ収められたフィニッシュに丁寧なキャッチで対応すると、30分と38分にも相次いで打たれたシュートも、きっちり正面でキャッチ。全体の状況を把握し、事前に取っていた正確なポジショニングが光る。
「後半は相手のフォワードの選手も速い選手に代わって、前からプレスを掛けてきたので、ちょっと自分も慌てる場面があったんですけど、中盤の選手が声を掛けてくれているので、改善はできていたなと感じました」。ハーフタイムを挟むと、相手にリズムを掴まれる流れの中でも、前半同様に高い足元の技術でビルドアップにも積極的に参加。攻撃の起点としての役割も全うする。亀田は後半30分に途中交代。チームはそこから1失点を喫して0-1で敗れたものの、一定以上のパフォーマンスを披露した背番号1は及第点の出来だったと言って良さそうだ。
亀田にとって神戸U-15で臨む最後の大会となった、高円宮杯JFA第34回全日本U-15サッカー選手権大会で優勝を成し遂げ、日本一を知るGKとしてU-18へと昇格した昨シーズンは、プレミアリーグWESTの第4節でスタメンに抜擢されると、以降はすべてのリーグ戦の試合に出場。「大舞台というのは結構やってきているので、緊張より楽しさが強かった感じでした」と年代最高峰の舞台を楽しみつつ、腕を磨き続けた。
ただ、小さくない収穫も感じながら、同時に難しい時期を過ごしていたこともあったそうだ。「去年のプレミアではリーグ戦で最少失点やって、それは今年も続けたいですけど、去年は試合の中で得意なキックという武器があまり出せなかったので、スランプ気味にもなっていたんです」。
それでもプレミアのラスト5試合はすべてクリーンシートを達成。「スランプの時に(安部雄大)監督が信用して使い続けてくれたので、いっぱい経験を積めた恩返しという意味でも、今年は自分の武器をいっぱい使って勝利に貢献したいですし、もう2年生になるので、チームを引っ張っていけるような存在になりたいなと思います」。我慢強く起用してくれた指揮官やスタッフのためにも、今季は中心選手として今まで以上にチームを牽引していく準備も整っている。
まだ1年生だった昨季から、既にトップチームの練習に参加する機会に恵まれており、今季の沖縄キャンプにも帯同。J1のディフェンディングチャンピオンで主力を張るフォワード陣から、日常ではなかなか得られない“感覚”を突き付けられたという。
「サコさん(大迫勇也)もヨッチくん(武藤嘉紀)も(宮代)大聖くんも、フォワードは全員凄いんですけど、特に大聖くんのシュートは次元が違うというか、スピードと威力が今まで受けてきたシュートとはまったく違って、『アレを止めなあかんねんな』『アレを止めるのがプロなんか』と痛感させられました」。到達すべきレベルはハッキリした。彼らのシュートを止められるかどうか。基準は明確過ぎるぐらい明確だ。
GKとして参考にしている選手は2人いるという。「チームとしてはヴィッセルとバルセロナが好きなので、もちろん(前川)黛也さんはずっと見ていますし、テア・シュテーゲンのキックに憧れて僕もキックを磨いてきたので、今日もですけど、いつも試合前にはテア・シュテーゲンのキックと黛也さんのシュートストップの動画を見ていますね。その2人をずっと憧れにしてやっています」。目指すはテア・シュテーゲンと前川黛也のハイブリッドといったところだろうか。
口を衝いたヴィッセル愛も印象的だ。「僕はヴィッセルが大好きなんです!チームに入ったのはジュニアユースからですけど、スクールには小1から通っていましたし、大好きですね。去年もトップチームに何度か練習に行ったんですけど、その時はケガをした人の穴埋めが多かったので、今度は実力で行けるように頑張りたいですし、やっぱりヴィッセルでトップに上がりたいです」。
好セーブを繰り出せる自信は、間違いなくある。ここからはそれを確信に変えていく作業を推し進めていくだけ。神戸U-18のゴールに鍵を掛ける、左利きの護り人。亀田大河が力強く描いていく成長曲線は、その努力を止めない限り、どこまでもしなやかに伸び続けていくはずだ。
(取材・文 土屋雅史)
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