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アジア杯の経験を還元、神戸GK前川黛也が語る変化…失点は「事故で終わらせない」

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GK前川黛也

[2.17 富士フイルムスーパー杯 2024 神戸 0-1 川崎F 国立]

 アジアカップから帰ってきたヴィッセル神戸の日本代表GK前川黛也が、今季J1リーグをうらなう川崎フロンターレとの富士フイルムスーパー杯に先発。0-1で敗れはしたが好セーブを連発し、神戸サポーターを沸かせた。

 前半11分、川崎DFファン・ウェルメスケルケン・際のヘディングシュートをしっかりコースに入ってパンチング。17分にはFWバフェティンビ・ゴミスのグラウンダーのシュートを正面でキャッチ。44分にはPA内で細かくつながれたが果敢に前で出てピンチを断ち切った。後半22分には川崎MF瀬古樹の右FKがバーを直撃して難を逃れると、同32分にはFWマルシーニョのドリブルシュートを左足一本で防ぐビッグセーブ。

「久しぶりの試合にしてはいい感じにプレーできた。全体を通して個人的には悪くなかった」と言うように、昨年12月3日のJ1リーグ最終節以来となる公式戦で安定したプレーを見せた。

 後半3分のアンラッキーな失点には悔しさをのぞかせた。瀬古のFKを一度はセーブしたものの、こぼれ球をMF山口蛍がクリアすると目の前にいたファン・ウェルメスケルケンの足に当たってゴール方向へ。ボールはさらに別の選手の足に当たって軌道が変わり、そのままゴールに吸い込まれた。ただ、反省は忘れない。

「ああいうのもサッカー。個人的な改善も必要だし、その後のケアもそう。事故っぽいところではあったが、事故で終わらせず分析して次に繋がれば良くなると思う」。そう語るのは、「次に繋がる負けになるようにすれば良い試合だったと思える」と考えているからだ。

 1月上旬から2月上旬まで1カ月間、日本代表としてアジアカップに参戦した。出番はなかったが日々の練習では精力的に汗を流し、試合では若いGK鈴木彩艶を全力でサポートした。もちろんそれだけではない。

「緊迫した試合はアジアカップしか味わえないもの。プレーしたわけではないですが、外から見て肌で感じたことがあり、それが活きてこういう試合(スーパー杯)でも落ち着いてよりできるようになった」

 カタールから帰国後はチーム内で戦術の細部について確認し合うなど、コミュニケーションを増やしているというが、「これは代表で学んだことであり、チームに還元できている」とも言う。

「今まであまりなかった細かいところについて、試合前に確認することをやっている。新しい選手の特長をつかんでいくことについても自分が以前より積極的にできるようになってきているのは、間違いなく代表での経験があるからこそだと思う」と言葉に力を込める。

 代表に関しては、今後は北中米W杯アジア予選でメンバー入りし、試合に出ていくことが目標になる。そのためには神戸で実力を磨き、J1リーグ連覇を果たすことが最も有効な方法だ。

「今日みたいに自分の特長を追求をしていけば、自ずと呼ばれると思う。すべて向上させてまたそこに入っていきたい」

 意欲に火がついた前川がチームをJ1連覇へ導いていく。

(取材・文 矢内由美子)

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Text by 矢内由美子

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