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近大新宮が出場2度目の近畿高校選手権で大躍進。磨いてきた技術力や判断力で強豪校に挑み、決勝進出!

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近大新宮高が履正社、近江、初芝橋本という強豪校を連破し、近畿高校選手権決勝進出

[2.20近畿高校選手権準決勝 近大新宮高 0-0(PK3-2)初芝橋本高 紀三井寺公園球技場]

 第76回近畿高等学校サッカー選手権大会準決勝が23日に和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で行われた。近大新宮高(和歌山3)と初芝橋本高(和歌山2)の和歌山県勢対決は、0-0で突入したPK戦の末、近大新宮が3-2で勝利。初の決勝進出を果たした。

 雨中で行われた一戦は後半、5度目の優勝を狙う初芝橋本がプッシュ。DFリーダーのDF中野倖太郎(2年)や空中戦で強さを見せるDF西真那人(1年)を中心とした5バックが前向きな形でボールを奪い、オープンスペースを活用した攻撃で相手を押し込んだ。

 個で相手を剥がす力や展開力を持つ10番MF河崎慶二(2年)が係ると、攻撃のスピードや精度が向上。だが、全体的にゴールへ向かう動きが少なく、ミスも多い。5本のCKなどで相手DFにプレッシャーをかけたが、CB和田尽主将(2年)とCB垣内伊織(2年)を中心に守る近大新宮の守りをこじ開けることができなかった。

 近大新宮は守備をする時間が増加。それでも、GK畑中優希(2年)が「粘り強いです。みんな頑張って体張ってくれるんで助かってます」と説明したように、球際やゴール前の局面で身体を張るなど決定打を打たせない。

 また、MF住川宗正(2年)やFW弓場蒼太(2年)といったアタッカー陣だけでなく、DF陣も相手のプレッシャーを剥がす巧さを見せ、地元・新宮から駆けつけた家族や後押ししてくれた人たちを沸かせる。

「大会パンフレットには『胸を借りる』って書いてましたけど、(近畿大会で)自分らの技術とか、どこまでできるのかっていうのを出していきたいなっていう風には思っていました」(塩崎統夫監督)。正確にボールを前進させ、背後を狙った攻撃でチャンスも。県内トーナメント戦で一度も勝ったことがないという名門・初芝橋本に食らいついた。

 初芝橋本は実直に守る強みは発揮したものの、細かな精度が上がらず、無得点で70分間を終了。迎えたPK戦は、近大新宮のGK畑中が躍動する。先攻・初芝橋本の2人目と3人目を連続ストップ。初芝橋本のGK江田悠輝(2年)も相手3人目を止め返したが、畑中は5人目のシュートも止めて近大新宮に白星をもたらした。

 近大新宮は00年代後半に創部し、歴史はまだ17年と浅い。また、和歌山県大会での最高成績がベスト4というチームが、2度目の出場となった今回の近畿選手権で大躍進だ。履正社高(大阪2)、近江高(滋賀1)、そして、これまで県内トーナメントで勝てなかった初芝橋本も連破。決勝への切符を勝ち取った。

 チームは和歌山県南部の、「(チームメートはみんな)小さい頃から知ってて。(当時)別チームでも幼馴染ばっか」(畑中)という選手たちで構成。彼らが磨いてきた「ボールを大切にしながら判断して」(塩崎監督)という攻撃やプレッシングを発揮し、近畿の強豪校と渡り合えることを示した。学校所在地の新宮市から、同じ和歌山県の和歌山市まで車で片道約3時間かかるというほどの距離。毎週のように県外などへ“出稽古”に出るなど強化してきた成果も大きかったようだ。

 自分たちも驚く快進撃で歴史を大きく塗り替えたが、決勝では東山高(京都1)の強度、スピード感に屈し、6失点。塩崎監督は「プリンスリーグに絡むチームばっかりとやらせて頂いたのは、もう非常に財産。この子たちにとって良い経験だったと思います。この強度とか、こういう経験をやっぱりずっと継続して、次のインターハイ、選手権へと継続していけるように、こっちがサポートしていかないといけないなっていうのは改めて感じてます」。3月には県リーグ戦がスタート。近畿大会で経験したことを忘れず、成長に結びつける。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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