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24年シーズンの主役候補たちが奮闘。U-17日本高校選抜がMF木村、MF笹のゴールでU-17静岡県ユース選抜を撃破

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後半27分、U-17日本高校選抜がMF笹修大(札幌大谷高/2年、左端)の決勝ゴールを喜ぶ

[3.3 ヤングサッカーフェスティバル U-17静岡県ユース選抜 1-2 U-17日本高校選抜 草薙陸]

 第39回静岡県ヤングサッカーフェスティバルが3日に静岡市の静岡県草薙総合運動場陸上競技場で開催され、U-17男子の部でU-17静岡県ユース選抜とU-17日本高校選抜が対戦。U-17日本高校選抜が2-1で勝った。

 U-17日本高校選抜は21年度から活動をスタートして3年目。昨年度の経験者からはGK中村圭佑(静岡学園高→東京V)とMF安齋悠人(尚志高→京都)、MF碇明日麻(大津高→水戸)、FW西丸道人(神村学園高→仙台)がプロ入りしたほか、9選手が今年の日本高校選抜に選出されている。

 今年のチームはこのヤングサッカーフェスティバルを含めて計4日間の静岡合宿を行い、一度解散した後に再合流して3月15日開幕のJ-VILLAGE CUP U-18(福島県・Jヴィレッジ)を戦う。指揮を執る富居徹雄監督(旭川実高)は、選手たちに「ここからJ-VILLAGE CUPの3週間って凄い大事な3週間になるよ。(やれることはもちろん、やらなければならないことに)とにかくトライしなさい。その能力も絶対必要になってくるから、そういうところを見てるよ」と伝えたという。24年シーズン、そして1年後の第103回全国高校選手権の主役候補として期待される選手たちはこの日、静岡の才能たちと対戦。アグレッシブな攻守の中で自分の特長を発揮しようとしていた。

 U-17高校選抜の先発はGKギマラエス・ニコラス(市立船橋高/2年)、右SB森奏(堀越高/2年)、CB鈴木悠仁(神村学園高/2年)、ゲーム主将のCB山田佳(前橋育英高/2年)、左SB岡崎礼暉(関東一高/2年)、MF大谷湊斗(昌平高/2年)とMF嶋本悠大(大津高/2年)のダブルボランチ。右SH大内完介(尚志高/2年)、左SH木村有磨(履正社高/2年)、前線は柚木創(流通経済大柏高/2年)と久保原心優(市立船橋高/2年)がコンビを組んだ。

 一方の静岡選抜は高体連、Jクラブユースの選手たちで構成。先発のGKは飯田恵然(磐田U-18/2年)、右SB中野遥翔(沼津U18/1年)、CB渥美慶大(磐田U-18/2年)、CB岩田琉唯(静岡学園高/2年)、左SB後藤翔吾(磐田U-18/2年)、23年U-17ワールドカップ日本代表のMF矢田龍之介(清水ユース/2年)とMF森力介(磐田U-18/2年)が中盤の底の位置に構え、右SH川嶋琉之亮(浜名高/2年)、左SH小竹知恩(清水ユース/2年)、トップ下が川合徳孟(磐田U-18/2年)、1トップをFW山本将太(磐田U-18/2年)が務めた。

 立ち上がり、風上の静岡選抜が攻勢に出て、小竹が強烈な右足シュート。これはU-17高校選抜GKギマラエスが落ち着いて処理する。その後はU-17高校選抜がアグレッシブな攻守で主導権。そして8分、柚木が相手GKにプレッシャーをかけると、連動してDFに寄せていた木村がインターセプトし、PKを獲得した。このPKを木村が右足で決めて先制。直後にも大内がチャンスを迎えるなど畳み掛けるU-17高校選抜は、左SB岡崎が積極的な攻め上がりを見せる。左SH木村との連係も良く、そのスピードを活かしてPAまで潜り込んでいた。

 U-17高校選抜は右SB森もダイナミックな突破にチャレンジ。だが、静岡選抜は的確なカバーリング、守備対応の光る岩田を中心に、対人守備の強い後藤や渥美が相手選手のゴール前への侵入を阻止する。そして、奪ったボールを大事にビルドアップ。ともに世代屈指のゲームメーカーである矢田と川合が正確な配球、ドリブルで運ぶ力も見せて相手を押し返す。MF森らを含めてチーム全体でテンポよくボールを動かし、高速ドリブルで会場を沸かせていた小竹や山本がシュートへ持ち込んだ。

 岩田と川合の縦パス2本で相手をひっくり返し、矢田がインターセプトから一気に前進しようとするシーンも。だが、U-17高校選抜は守備に重きを置いてプレーしていた嶋本が潰し切っていたほか、小柄な大谷も回収力が高い。鈴木と山田の両CBがボールを奪う力と攻撃面での落ち着きも表現していたこと、また経験値豊富なGKギマラエスが強風に応じた守備を見せていたことで相手に呑み込まれなかった。

 U-17高校選抜は後半開始からギマラエスとGK早川ウワブライト(日体大柏高/2年)を交代。静岡選抜も怪我明けで前半限定の出場だった川合、渥美、川嶋に代えてCB中山温樹(清水ユース/2年)、MF湯山大輔(藤枝東高/2年)、MF河合優希(磐田U-18/2年)を送り出す。

 U-17高校選抜は大谷が中央から効果的なドリブル。前線で良く収めていた久保原や柚木にボールをつけて攻撃のテンポを変える。そして、柚木の右足FKがゴールを脅かしたほか、木村の奪い返しから久保原が一気に仕掛けて左足シュート。さらに大内のカットインから嶋本が左足シュートを撃ち込む。

 静岡選抜は推進力のある動きを見せていたDF中野を右SB荒明斗空(浜松開誠館高/2年)へ。U-17高校選抜も21分に嶋本、大内、久保原に代えてMF笹修大(札幌大谷高/2年)、MF清水彪雅(旭川実高/2年)、FWオノノジュ慶吏(前橋育英高/2年)を同時投入した。すると27分、右CKの流れからCKキッカーの山田が左足でクロスを入れる。このこぼれを笹が右足で蹴り込み、2-0とした。

 この後、静岡選抜は29分に飯田、山本とGK戸塚陸(浜松開誠館高/2年)、MF藤井有志(藤枝東高/2年)を交代。U-17高校選抜は30分に木村、柚木をMF福島和毅(神村学園高/1年)とMF宮地陸翔(京都橘高/2年)へ、33分には森、岡崎を右SB谷口輝(西武台高/2年)、左SB山本圭晋(帝京長岡高/2年)へそれぞれ交代した。

 U-17高校選抜はオノノジュが抜け出しから放ったループシュートなど追加点のチャンスを作ったが、決め切ることができない。逆に静岡選抜はボールを保持する時間を増加。強風の中、グラウンダーのボールを繋ぎながら前進する。そして35分、左SB後藤の左クロスが相手オウンゴールを誘い、1点差。さらに矢田が前への姿勢を強め、小竹のループパスから左足を振るが、U-17高校選抜は鈴木がブロックする。U-17高校選抜はその後もセットプレーからゴール前のシーンを作られたものの、GK早川らが我慢強く守り、決定打を打たせなかった。

 そのまま2-1で試合終了。勝ったU-17高校選抜の富居監督は「単発なチームなので、発想をある程度大事にしながら、きちんと合わせていきなさいっていうことをやっていて、そういった意味では、ある程度守備のところとか規律を守ってくれたし、その上でこういうプレーができるんだってところも見せてくれました」と頷く。

 今回の活動で学んだことを活かし、次はJ-VILLAGE CUP U-18での2年ぶりの優勝に挑戦。予選リーグでは鹿島ユース、大宮U18、川崎F U-18というプレミアリーグ勢3チームと戦うことが決まっている。大谷は「強豪のJチームばっかりなんで。凄い楽しみです」と語り、木村は「優勝っていう目標を掲げてやっています」。24シーズンの主役候補たちが、ライバルたちと切磋琢磨して成長。そして、全国の高校サッカー部の代表選手としてのプライドを持って戦い、J-VILLAGE CUP U-18でも全勝を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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