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「本当に競争だと思います」。3-0快勝の青森山田はより切磋琢磨と徹底をして新シーズンへ

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青森山田高は186cmFW比嘉大陽(9番)の2ゴールなどでサニックス杯初戦を勝利

[3.13 サニックス杯 青森山田高 3-0 東海大福岡高グローバルアリーナ]

 23年シーズンにプレミアリーグと選手権の2冠を成し遂げた青森山田高(青森)が13日からサニックス杯国際ユースサッカー大会2024(福岡)に参戦。13日の初戦で東海大福岡高(福岡)と戦い、3-0で勝った。

 前半4分、青森山田は前線へのロングボールから相手にクリアをさせずに連続攻撃。そして、キャプテンマークを巻く10番MF谷川勇獅(2年)が1タッチで左サイドへはたく。これを左SB福井史弥(2年)が左足ダイレクトで上げると、中央の186cmFW比嘉大陽(2年)が豪快に頭で決めて先制した。

 前半は東海大福岡にボールを保持される時間が多く、後半もMF永田覚都(2年)を軸に攻める相手に前進を許してしまっていた。青森山田はけが人が多く、プレミアリーグメンバーの数人が帯同できていない状況。それでも、1月の東北高校新人大会直前の怪我から復帰したCB伊藤柊(2年)や、選手権優勝メンバーの右SB小沼蒼珠(2年)らが要所を封じて得点を許さない。

 正木昌宣監督は、準決勝で尚志高(福島)に延長戦で敗れた東北高校新人大会に比べると、「声も出てきてるし、チームでやることも少しずつ整理はしてきて。これをやらないとダメなんだろうなっていうのも理解してきてくれている」と頷き、谷川も「まだ全然ですけれど。声も後ろからも出してるんで、山田のゴールを隠す守備っていうのが結構できてきてるんじゃないかなという感じはあります」と前向きだ。

 無失点のまま試合を進めた青森山田は後半10分に追加点を奪う。谷川が右サイドから鋭いパスを入れると、セカンドボールの攻防でMF山口元幹(2年)が相手にプレッシャーを掛け、比嘉が回収。下のカテゴリーから這い上がってきている大型FW比嘉は、切り返しでDFのマークを外し、技ありの左足シュートをゴール左へ沈めた。

 青森山田は後半35分にも交代出場MF三浦陽(2年)が右サイドを抜け出してからクロス。これをFW桑原唯斗(1年)が右足ダイレクトで決め、3-0で勝利した。だが、相手の俊足10番FW倉田連(2年)に背後を突かれ、クロスバー直撃の右足シュートを放たれるなど失点してもおかしくないシーンも。試合後、正木監督は「今日のピンチってほとんど自分たちが変な取られ方。取られた後の切り替えの遅さ、プレスバックの遅さ、後ろのオフの準備、後ろの対応の悪さって、自分たちに原因がある」と厳しく指摘していた。

 昨年はCB山本虎(3年)、CB小泉佳絃(3年)、MF芝田玲(3年)らほぼ不動のメンバー構成で1年間を過ごし、プレミアリーグと選手権の2冠。だが、現状は激しいメンバー争いと戦い方も固めている最中だ。正木監督は「(誰が出るのか分からないという)危機感が良い方向に行ってくれればいい。本当に競争だと思います」と口にする。

 この日はけが人が出た影響で急遽チャンスを得た選手や途中出場の選手も奮闘。谷川は「競争意識持って高めていけば、そのままどんどんチーム力も上がっていけると思う。そういうところは、逆に良いところかなって思います。(今日も出た選手が)自分の特長っていうのを出してくれたんで。チームとしても、個人としても結果っていうのは、この遠征大事だと思ってるんで、そこを意識しながら全員やってるんじゃないかなと思います」と評価する。

 現在、出番を得ている選手たちにとっては不動の存在になるチャンスだ。青森山田としてやるべきことが徹底できていないことも多く、まだまだこれからであることは確か。だが、競争の中で「最近結構クッと行こうっていう兆しが見えている」(正木監督)チームは、昨年優勝しているサニックス杯など春の遠征で一段階、二段階成長して新シーズンを迎える。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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