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[J-VILLAGE CUP U-18] 「ひっくり返す」「後半に足が止まらない」チームへ。川崎F U-18がU-17日本高校選抜に逆転勝ちし、2連覇王手

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川崎フロンターレU-18が逆転勝ちを喜ぶ

[3.17 J-VILLAGE CUP U-18 U-17日本高校選抜 1-3 川崎F U-18 Jヴィレッジ全天候型練習場]

「ひっくり返す」「後半に足が止まらない」チームを目指す川崎F U-18が逆転勝ち。連覇に王手をかけた。プレミアリーグ勢10チームなど高校年代の強豪19チームと、U-17日本高校選抜が争う「第6回 J-VILLAGE CUP U-18」(福島)は17日、予選最終戦を行った。U-17日本高校選抜と前回大会優勝チーム・川崎フロンターレU-18(神奈川)との一戦は、川崎Fが3-1で逆転勝ち。予選リーグ3連勝の川崎Fは、18日の決勝で前橋育英高(群馬)と戦う。

 昨年、U-17日本代表としてU-17ワールドカップに出場した川崎F右SB柴田翔太郎(2年)は、「まさに今年のチームを象徴するとまでは言わないですけど、自分たちの力を見せれた試合なのかなと思っています」と説明する。昨年のプレミアリーグでは先制しながらも追いつかれた試合や、2-0から3失点して敗れた試合も。だからこそ、「粘り強く、先制されても『ひっくり返す力』をっていうところを掲げてた中で、その通りにいけたので自分たちとしては結構嬉しかったです」と微笑んだ。

 川崎FはU-19日本代表に選出されたCB土屋櫂大主将(2年)が不在。だが、ここまで神村学園高(鹿児島)に7-0、静岡学園高(静岡)にも1-0と2連勝していた。この日はGK松澤成音(1年)、右SB柴田、CB林駿佑(1年)、CB楠田遥希(1年)、左SB関德晴(1年)、中盤は10番MF矢越幹都(2年)とMF八田秀斗(2年)のダブルボランチで右SH知久陽輝(2年)、左SH児玉昌太郎(2年)、ゲーム主将のFW加治佐海(2年)とFW香取武(2年)が2トップを組んだ。

 一方のU-17日本高校選抜は鹿島ユース(茨城)、大宮U18(埼玉)にいずれも1点差で敗れて2連敗。初勝利を目指した一戦は、GKギマラエス・ニコラス(市立船橋高/2年)、右SB新垣陽盛(神村学園高/2年)、CB山本圭晋(帝京長岡高/2年)、CB鈴木悠仁(神村学園高/2年)、左SB岡崎礼暉(関東一高/2年)、MF嶋本悠大(大津高/2年)とゲーム主将のMF大谷湊斗(昌平高/2年)のダブルボランチ、右SHオノノジュ慶吏(前橋育英高/2年)、左SH宮地陸翔(京都橘高/2年)、そしてMF柚木創(流通経済大柏高/2年)とFW久保原心優(市立船橋高/2年)が前線でコンビを組んだ。

 前半、高校選抜は相手の背後を効果的に突きながらバリエーションのある攻撃。久保原が前線でボールを収め、柚木や大谷、嶋本が攻撃に係る形でゴールを目指す。前半23分には、右ハイサイドへ抜け出した久保原に正確なロングパスが通る。そして、ラストパスをニアへ走り込んだ宮地が1タッチでシュート。これがゴールに突き刺さり、高校選抜が先制した。

 川崎Fはボランチの選手が外へ開いたり、前線の選手が下りたりするなど流動的に動きながらのビルドアップ。14分に香取とのコンビから加治佐が放った一撃は相手GKギラマエスの好守に阻まれたものの、3人がかりでボールを奪い返して速攻へ持ち込んだり、柴田がDFをかわしてシュートを放つなど高校選抜にプレッシャーをかけていた。

 先制されたものの、慌てずにボールを保持しながら反撃を続ける。36分には、左サイドでDFをかわした児玉がクロス。加治佐のヘッドはGKに反応されたが、クロスバーの跳ね返りを矢越が頭で押し込んだ。加治佐が「悪い時間が続いた中で、(矢越)幹都が点取ってくれて、この1点で変わったと思います」と感謝する一撃で同点に追いついた。

 対する高校選抜はGKギマラエスや前への強さを発揮する山本、鈴木を中心とした守備からボールを繫いで対抗。新垣のクロスや大谷の縦パスでPAまでボールを運んでいたが、川崎Fは対応が非常に速い。シュートへ持ち込まれかけても確実にブロックして枠に打たせず、後半に差を広げた。

 後半14分、川崎Fは八田のクロスからの混戦で加治佐がボールキープ。左へ運んでから左足を振り抜き、勝ち越し点を挙げた。柴田は「(長橋康弘監督から)『後半が大事』『後半に足が止まらないチームになる』っていう風に言われていて、そこの運動量っていうのは、チームとして本気で図りにいっていたので、それが多少、後半のこの差に繋がったのかなと思います」と胸を張る。
 
 味方選手と繋がりながら動き、相手の判断がわずかに遅れると寄せ切ってボール奪取。高校選抜をゴールに近づけない。そして、後半に鋭いドリブルを連発した児玉や加治佐、知久がシュートへ持ち込む。

 39分、川崎Fは柴田の右クロスを中央でフリーの加治佐が決めて3点目。高校選抜は勝ち越された後にMF大内完介(尚志高/2年)やMF笹修大(札幌大谷高/2年)、FW清水彪雅(旭川実高/2年)を投入し、岡崎の攻め上がりとクロスなどで反撃した。だが、相手の堅守を攻略できず。また、守備の時間が続いたことでシュート数を増やせなかった。

 高校選抜にはプレミアリーグ勢のチームに所属する選手も多数。そのうちの一人である柚木は、「やっぱりフロンターレの粘りだったり、ゴール前の堅さっていうところは十分理解した上で攻撃しましたけど、ゴールをこじ開けることができなかったのは、チームとしても、個人としての課題かなと。(川崎Fは)この段階で、もう組織としてプレーできてたんで、仲間とも『凄いな』っていう話をしてました」と、プレミアリーグで対戦する川崎Fへの警戒心を強めていた。

 川崎Fは高校選抜に快勝。アシスト、攻守における対人の強さなど特長を発揮した柴田は、「(高校選抜は)同い年でしたし、代表でやったことのある選手もいたので、自分的にはそういう相手の方が燃えるタイプなので絶対にやられたくなかったですし、最後止まらなかった方が勝てると思ってたんで、その根性というか、気合というか、そこで最後は上回れたかなと思います」と微笑んだ。

 その柴田は決勝へ向けて「もうここまで来たからには優勝するつもりでしかないですし、そこを目指してここに来たので、開幕前、最後優勝してタイトルを取りたい。こういう(フェスティバルの)タイトルも取ることに意味があると思ってるので、いい形でプレミアの開幕に向かっていけるように、明日もいいゲームを見せれたらなって思います」と力を込めた。連覇を果たし、4月開幕のプレミアリーグEASTへ弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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