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「スピードで相手を翻弄できる」高川学園FW行友祐翔が右サイドバックとして攻守両面で躍動。欧州挑戦中の兄に近づく

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高川学園高の高速右SB行友祐翔(新3年=プラシア山口ジュニアユース出身)が攻守で抜群のスピードを発揮

 昨年の選手権予選では10番を背負っていたストライカーが現在、右サイドバック(SB)のポジションでスケール感の大きなプレーを見せている。高川学園高(山口)DF行友祐翔(新3年=プラシア山口ジュニアユース出身)は、50m走5秒台のスピードスター。第14回PUMA CUP ㏌ SAKAI U-17(3月25日~28日)ではその武器で違いを生み出していた。

 三浦学苑高(神奈川)戦では試合終了間際に同点ゴール。続く草津東高(滋賀)戦は前半21分に対峙した相手選手を瞬間的な速さで剥がして前進し、スルーパスを通す。これで抜け出したMF中津海蓮恩(新3年)のラストパスが相手オウンゴールを誘発。行友のスピード、突破力がゴールに結びついた。

 オーバーラップした際のスピード、迫力は群を抜く。スペースがあれば1つのフェイントで簡単にDFを突破。また、ハイサイドへの配球にも快足を活かして追いつき、クロスを上げ切っていた。

 元々FWだったため、「点を取りたい」「上がりたい」という欲求はあるという。だが、やみくもに攻め上がるのではなく、周囲の特長を活かしながら、自分が勝負に行く際はやり切る考えだ。草津東戦も後方でタイミングを見計らい、ここぞの場面で武器を発揮。「上がるタイミングとか最近分かってきて。上がった時にはちゃんと点に絡めるようになってきてるんで、それは続けていきたいです」と頷いた。

 まだまだSBの難しさを感じているという。「(攻め上がった際に)カウンターとかされる時があるんで。(監督の)江本(孝)先生に上がった後の戻りのスプリントだったり、結構ずっと言われています」。この日は守備対応で遅れるシーンも見られたものの、戻りのスプリントを意識していたほか、快足を活かしてセンターバック(CB)の背後もカバー。行友はサイドでのボールを奪う力やビルドアップ、崩しのパス、ヘディングのセンスも示し、江本孝監督もその守備範囲の広さや攻撃力について高く評価していた。

 行友は新シーズンへ向けて「最初は、FWしたいなとか思っていました」と明かす。だが、先輩ドリブラーのMF大下隼鋭(現産業能率大)が右SBへのコンバートで活躍したこともあってチャレンジ。自身も右SBの感触を掴み、チーム事情も考慮してSBでの挑戦を継続することを決めた。

「高川では1番速い自信がある。スピードで相手を翻弄できるところ」はSBとしての一番の強み。コンバート当初から比べると、1対1や背後の対応も向上したという手応えを掴んでいる。「色々な相手とやるにつれて、自信がついてきた。これから多分、大学の練習も、プロにも行けると思うんで。(FWをやりたいという気持ちもあるが、将来を考えて)サイドバックもいいかなと思っています」。DFカイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)のスピードの活かし方や攻撃参加のタイミング、クロスを参考にプレー。今はまず、SBのポジションでアピールする。

 行友の兄は、23年U-19日本代表のFW行友翔哉だ。2学年上の兄は愛媛FC U-18に所属していた高校3年時にトップチームデビューを果たし、J3で3ゴールをマークした。その後、トップチームへ昇格し、昨夏からポルトガル1部リーグのFCファマリカンへ期限付き移籍。行友は「いい目標がいるんで、ちょくちょく話したりもして。日本と海外じゃ全然違うっていうことを言ってるんで、まずJリーグのプロになって、経験を積んで、そこからお兄ちゃんに近づけるようになりたいです」と語った。

 兄に追いつくためにも、今年は大事なシーズンだ。掲げた個人目標は、「サイドバックでも点を取れるんだっていうことをちゃんと証明したいなと思います。(プリンスリーグ中国で)5点は取りたいです」。そして、「今年は中国新人を連覇できなくて。山口県新人も連覇できなかったんで、次はインターハイと、4月からはもうプリンスリーグも始まってくるんで、高川初のプレミア(リーグ)参入戦を目指して頑張っていきたいです。(現明治大のMF)林晴己さんたちの代が(選手権準決勝まで勝ち上がり)国立行けてるんですけど、決勝には行けてないんで、国立行って、優勝っていう景色を自分たちの代で成し遂げたいなと思います」。個人としてはフィジカル面、メンタル面もまだまだ成長する必要性があることを実感。個とチームの力を磨いて先輩たちを上回るような結果を残し、自身の評価も勝ち取る。
 
(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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