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帝京FW森田晃は「10番の差」を痛感した初戦の悔しさを糧に。1本を仕留めて連発、プリンス得点王へ

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後半アディショナルタイム、帝京高FW森田晃(3年=Forza'02出身)が右足ボレーで今季初ゴール

[4.7 プリンスリーグ関東1部第1節 帝京高 2-4 矢板中央高 帝京科学大学千住総合グラウンド]

 10番初戦の悔しさをゴール量産に繋げる。選手権優勝6回の名門・帝京高(東京)FW森田晃(3年=Forza'02出身)は、プリンスリーグ関東1部初戦に10番を背負って先発出場。3点ビハインドの後半アディショナルタイムに右足ボレーで意地のゴールを決めたが、チームは2-4で敗れた。

 前半に右中間を抜け出したシーンがあったほか、後半立ち上がりに右クロスからシュートを狙うなどチャンスがあった。特に後半、180cmのFWは、相手のタイトなチェックを受けながらも前線で縦パスを収め続けて攻撃の中心に。その力強い動きで相手を押し込んだ。

「基本、自分はボール収まる自信があるので、『ボールを欲しい』ってチームメイトに言って、出してくれていた。でも、収まった後のターンだったり、落としが悪かったかなと思います」。相手がゴール前に人数を掛けて守る中、味方とのコンビネーションでシュートチャンスを演出。だが、競った展開の中でゴールを決めること、もたらすことができず、試合終盤に突き放される結果となった。

 森田は「去年の(横山)夢樹君だったら決めてて、自分は決められない。これは10番。去年と今年の10番の差かなって、感じました」と首を振る。前任の10番は、今治入りしたFW横山夢樹。3月のYS横浜戦でJ初ゴールを決めているフィニッシャーだ。エースは一発の突破や一振りで流れを変え、帝京にもたらしていた白星。その先輩と自分とではまだまだ差があることを痛感した。

 森田は1年時の関東ROOKIE LEAGUEで注目を集めたストライカー。当時、AチームにいたDF大田知輝(現中央大、日本高校選抜)とDF梅木怜(現今治)の「レベルが違う」CBコンビと紅白戦で対峙する中で自分を磨くことができたという。昨年は与えられた出場時間の中で信頼を勝ち取り、プリンスリーグ関東1部では6得点と活躍。今年のプレシーズンはなかなか結果を出すことができなかったというが、この日の試合前に森田は新10番に指名された。

「試合前に丸くなって番号言われてたんですけど、『10、森田』って言われて。みんな、『おおっ』『えー』みたいな。選手権の時、13番だったんで、『13』かなとか思っていたんですけど、びっくりしました」

 先輩の横山からは「あんま気にしないで、気楽にやりな」と言葉を受けていたが、開幕戦の緊張もあったのかもしれない。「今年は自分が背負った10番、10点より多く取りたい。『取って欲しい』と(コーチの)松澤(朋幸)先生にも言われていたんで、『取ってやろう』と思っていて。でも、(力みすぎて)逆にチームに迷惑掛けていたかなと思います」。この日、力を発揮していたボールキープについても、本人の自己評価はまだまだだ。

「1枚目は大丈夫なんですけど、2枚、3枚来られちゃうと勝てなくなっちゃうことがあるかなって思っていて。(横山)夢樹君は2、3枚来ても余裕で、簡単にかわせると思いました。去年、2トップやらせてもらっていて、『これが帝京の10番』っていう自分のイメージがあって。程遠いかなと思います」。今季はその10番像に近づき、追い越す一年だ。

「今日は1点決めたんですけど、もっと裏抜けた時に1点決めれたり、チャンスを確実に。そこが(新監督の)藤倉(寛)先生にも課題って言われましたし。1本で決められたらチームにもいいし、今年の課題かなと思います。(リーグ戦で)個人としては得点王を狙いたいですけど……(やっぱり)なります。狙います」と上方修正。チームのためにも、コンビを組む強力FW宮本周征(2年)と切磋琢磨しながら、より成長しなければならない。この日の悔しさを糧に、ここぞの場面で10番の役割を果たすこと。そして、大目標の選手権やインターハイへの出場、日本一、そしてプレミアリーグ昇格に結びつける。



(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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