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J1優勝でトップ昇格へのハードル上がった柏U-18、全タイトル奪取で個人もチームも「もっと上へ」:千葉県クラブユース新人戦

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[2.19 千葉県クラブユース新人戦 柏U-18 6-0 浦安JSC 日立柏総合G]

 19日、平成23年度第10回千葉県クラブユース新人戦第3節で昨年の日本クラブユース選手権4強の柏レイソルU-18が、FW吉川修平(2年)のハットトリックの活躍など浦安JSCに6-0で快勝。3連勝とした。

 全タイトル奪取を目標に掲げるタレント軍団・柏U-18が強さを見せ付けた。CFを置かずに中盤の機能性向上を狙ったゼロトップシステムを昨年末以来、約2か月ぶりにテスト。すると試合開始直後の前半2分、MF小林祐介(2年)のスルーパスで抜け出した左FW平久将土(2年)が左サイドから中央へラストパスを送る。これをファーサイドから走り込んだ吉川がワンタッチでゴールへと沈めてあっさりと先制点を奪った。

 ジェフユナイテッド千葉U-18との初戦を1-2と健闘している浦安JSCはGK佐藤伊織を中心に声を良くかけ合い、DF同士の距離を保つなど集中した守備を見せていた。だが、柏は中盤後方でボールを捌くMF秋野央樹(2年)の安定したパス出しを起点に小林、MF伊藤光輝、MF中川寛斗(ともに2年)がほぼ2タッチ以内でボールを左右へと動かす。下平隆宏監督は「今週はサイドアタックの迫力を高めようとやってきた。まずはゴールを目指してパワーを持って(ゴール前に)入っていく。ただ中の状況が悪ければ無理にクロスを出さない、というところはレイソルが継続して取り組んできているところ」。

 可能性の低いクロスには安易に頼らず、ショートパスを繋ぎ続けて相手の穴を探った。ただ2点目は遠かった。柏U-18は右の吉川とSB堤勇人(2年)、左の平久とSB新藤菜央(2年)がタッチライン際の高い位置でボールを受けて相手に圧力をかけるが、サイドをえぐるような崩しやPAへ飛び込む動きがない。ボールこそ失わずに攻め続けていたが、指揮官が「2分で1点を取って満足してしまって、ボールがみんな足下、足下になっていた」と指摘したように、ゴールをもぎ取る積極性が欠けていた。

 それでも、ようやく25分頃から相手の背後を突く動きが見られ始め、24分には中川のスルーパスから右サイドを抜け出した吉川が右ポスト直撃の右足シュート。36分にはポストに入った中川の落としから、伊藤が決定的な左足シュートを放った。そして40分、小林のループパスを引き出した吉川がPAでDFに背後から引き倒されてPKを獲得。これを吉川が自ら右足でゴール右隅へと沈めて2-0とした。

 後半は得点への高い意識を見せた柏U-18のゴールラッシュ。2分、小林の展開から吉川とのコンビで右サイドをえぐった堤の折り返しを、小林がダイレクトで押し込んで3点目を挙げる。すると7分には、ゴール正面でDF間へ上手く飛び込んだ伊藤のラストパスを平久が左サイドからゴール右隅へ流し込んで4-0。16分には後半立て続けに左サイドをえぐっていた新藤の折り返しを交代出場の中学3年生FW大島康樹が右足シュート。こぼれ球をアンカーのポジションから前線へと飛び出してきていた小林がゴールへ流し込み、5-0とした。

 止まらない柏U-18は、19分にも右サイドからのワンツーで浦安守備陣を攻略した吉川が右足で決めてハットトリックを達成した。6得点のほとんどが相手の守備を崩しきって得点者がワンタッチで決めたゴール。乱れることのないパスワークとどこからでも出てくるスルーパスに加え、吉川のスピードや平久のバワーも相手の体力を削り取っていた。5人の交代枠を使い切った後に小林が負傷退場し、10人での戦いを強いられた柏U-18だったが、FW長嶋靖也の背後を狙う動きやMF野崎雅貴、MF新中隆太のドリブル突破から反撃しようとする相手にシュートを全く打たせず。千葉県2部リーグの浦安JSCに力の差を見せ付けて3連勝とした。

 目標は今年のユース世代を席巻することだ。昨年のU-17W杯で日本の8強進出に貢献した世代ナンバー1GK中村航輔(2年)と秋野を擁し、中川、小林といった年代別日本代表や実力者たちが名を連ねる柏U-18。彼らのトップチーム昇格はもちろん、チームとして全国タイトル奪取にも期待が高まる。下平監督は「(プリンスリーグ関東1部から全国リーグの)プレミアに上がることが一番。そしてクラブユース、Jユースも全部獲るぞ、と言っている」と話し、中村も「優勝を狙えるところにはいる。狙っていきたい。チームとしても個人としても、もっともっと上にいきたい」と力を込めた。

 個々のモチベーションはかなり高い。それは昨年、トップチームがJ1で優勝したことも大きく影響している。トップチームはJ1連覇、ACL優勝を狙う戦力を有しているだけに、今やU-18チームからトップ昇格を勝ち取るためのハードルは以前よりも高くなった。中村や秋野ら昇格の有力候補でもトップチームのグアムキャンプには招集されなかった。J王者となったことで間違いなく困難となっているトップへの道。下部組織の選手達がそれを成し遂げるためにはかなりのレベルアップを求められる。試合後、中村は「トップにいい選手がいる、その下部組織にいることはいいこと。(自分は)すべてのことを上げていかないといけない」と居残り練習で約1時間チームメートたちのシュートを受け続け、筋トレルームへ向かった選手たちも何人もいた。トップを目指し、トップに続け、と高い意識で春を過ごしている柏U-18。どこよりも多くの結果を残して、それぞれが評価を勝ち取る。

[写真]柏U-18の吉川はPKを決めるなどハットトリックの大暴れ
(取材・文 吉田太郎)

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