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[ヤングサッカーフェス]加賀美がハット&ロスタイムV弾!2年生軍団の静岡県高校選抜が日本高校選抜撃破!!

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[3.11 ヤングサッカーフェスティバル 日本高校選抜3-4静岡県高校選抜 愛鷹]

 11日、静岡県沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場で第27回静岡県ヤングサッカーフェスティバルが開催され、U-18の部では全国高校選手権の優秀選手から結成された日本高校選抜が静岡県高校選抜と対戦。前半を1-3で折り返した日本高校選抜はFW和泉竜司(市立船橋)と高校選手権得点王のMF浅野拓磨(四日市中央工)のゴールによって追いついたものの、後半ロスタイムにこの日ハットトリックを達成した静岡選抜FW加賀美翔(清水ユース)に決勝ゴールを献上して3-4で敗れた。

 今月末から欧州遠征を行う日本高校選抜を2年生軍団の静岡選抜が破った。静岡選抜は3-3の後半ロスタイム、MF渡辺隼(静岡学園)が自ら獲得した右FKをDFとGKの間へ入れると、これにCB望月大知(静岡学園)があきらめずに飛び込んだことでGKがボールをファンブル。「大知が競ってくれて、振り向いたらボールが目の前にあった。あとは決めるだけだった」と振り返る加賀美が左足でゴールへ押し込み、決勝点を奪った。静岡選抜の指揮を執った川口敬則監督(磐田北高教)は「きょうは満点以上。スキルだけでなく、メンタリティーを出してくれた」と選手たちを絶賛していた。

 王国の次世代を担うタレントたちがつかんだ劇的勝利だった。静岡選抜はU-18Jリーグ選抜として出場したFUJI XEROX SUPER CUP2012 NEXT GENERATION MATCH(3月3日)で日本高校選抜からゴールを奪っているMF石毛秀樹(清水ユース)をトップ下、左MFに静学のエース・渡辺、右に加賀美、1トップに弾丸ストライカーのFW佐野翼(清水商)を配置。スカウティングによって相手がサイド攻撃、クロスへの対応が甘いと分析したチームは両翼を起点としたサイド攻撃からゴールを連発する。
 
 それでも先制したのはMF差波優人(青森山田)、和泉のU-19日本代表候補2選手らが先発した日本高校選抜。試合開始直後の2分、左MF浅野の左アーリークロスに飛び込んだ和泉が先制ヘッドを押し込んだ。だが指揮官が「絶対に点は入るよと言っていた」という静岡選抜は5分、右SB三田真也(清水東)の右クロスを加賀美が決めて同点。さらに17分に石毛のシュートのこぼれ球を加賀美が詰めて逆転に成功する。日本高校選抜は差波のスルーパスから浅野が右足を振りぬき、静岡選抜も白井悠太朗が右足ミドルを狙うなど前半半ばまでは一進一退の展開だったが、徐々にホームの静岡が流れを引き寄せていった。

 静岡選抜は攻守両面で圧巻のパフォーマンスを見せていた石毛が相手ボランチへ鋭く襲い掛かり、再三インターセプトに成功。また前線で抜群の存在感を見せていた佐野が、馬力のある突破で日本高校選抜の守備網を引き裂いていく。この2人に高精度の左足とキープ力が武器の渡辺、隙あらば前線へ駆け上がっていた白井と渡辺吉都(ともに藤枝東)のダブルボランチたちが効果的に絡む。また守備面でも、驚異的な粘り腰で浅野との攻防戦を制していた三田や身体を投げ出して危険を潰していた左SB早坂龍之介(浜松開誠館)、そして中央の望月と西村佳祐(清水ユース)の両CBも健闘してなかなか日本高校選抜をゴールへと近づけない。そして37分、インターセプトした石毛が佐野とのワンツーから左サイドへ展開すると、縦にえぐった渡辺がラストパス。ファーサイドから走り込んだ加賀美が再び決めて3-1へリードを広げた。

 和泉が「前半あれだけやられたら後半キツイ。チームの中で話し合った」という日本高校選抜は後半修正し、特にディフェンスの勢いが増した。そして7分、前線からプレッシャーをかけたFW菊池将太(浦和東)が相手GKのミスパスを誘発。インターセプトすると、最後はPAでマークを外した和泉が決めて1点差とする。そして11分には後半開始から出場したFW宮市剛(中京大中京)が右サイドを豪快なドリブルで破ってクロス。ファーサイドの浅野が頭で押し込んで同点に追いついた。

 ただ日本高校選抜は勝ちこすことができなかった。C大阪MF後藤寛太(市立西宮)を投入して和泉をボランチへ移したことでさらに勢いを増した日本高校選抜は18分、左SB帷智行(市立西宮)からの決定的なラストパスが後藤に通るが至近距離からのシュートはGKがストップ。27分にはMF山田真史(奈良育英)からのパスを菊池が落とすと右サイドから猛然と走り込んだ後藤がDFと交錯してPKを獲得するが、PKはキッカー・菊池の右足シュートのコースが甘く、GK牲川歩見(磐田U-18)に阻まれてしまう。勝ち越すことができなかった日本高校選抜は38分にもMF田村翔太(四日市中央工)の右クロスを和泉がドンピシャのタイミングで合わせたものの、シュートはゴール左へ。そしてロスタイムにセットプレーから決勝ゴールを献上してしまった。

 静岡選抜にとっては悪夢の敗戦を振り払う勝利だった。2年前、石毛、加賀美ら今回のメンバー8選手が県選抜の一員として千葉国体に出場。順当に勝ち上がっていったが、準々決勝の兵庫戦で加賀美がゴールへシュートを突き刺しながらも、ゴール内に設置されていた砂袋に跳ね返ったボールをポストに当たったと勘違いした審判団の判断によってノーゴールに。猛抗議実らず得点を“奪われた”チームは延長戦の末に敗退する憂き目にあった。今回のチームでの練習は前日のわずか1日のみだったが、それでも悔しさを忘れずに結束したチームは劇的な勝利。川口監督は「悔しさをちょっとは晴らしてくれたと思います」と微笑み、石毛も「国体は本当に悔しかったので嬉しい」。悪夢を振り払い、日本高校選抜を撃破したタレントたちがこの後、各チームでさらに成長し、今年度のユースサッカー界を盛り上げてくれるはずだ。

[写真]後半ロスタイム、静岡選抜の加賀美が決勝ゴール
(取材・文 吉田太郎)

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